この記事は「コアコンピタンス分析は自社の強みを知り、事業展開していくための効率的なフレームワーク」の後編になります。
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コアコンピタンス分析のやり方の流れ
最終的には「根」を見つけるのがゴールですので、分析は葉や果実となる部分である「商品」から始まります。「商品」→「コア製品」→「コアコンピタンス」の順に整理していくことになります。ステップ1 商品について洗い出し
商品とは、すでに自社が市場で販売しているものとなります。飲食店であればメニューがそのまま商品となります。この記事では、イメージしやすいように「個人経営の洋食屋さん」を例に挙げて考えていきます。商品は「ハンバーグ」や「海老フライ」、「ミートスパゲッティ」、「オムライス」などが該当します。強みが見つかりやすいよう、商品がたくさんある場合は主力のものに限って行うとよいでしょう。ステップ2 コア製品を探る
コア製品とは、商品を提供するために欠かせないカギにあたるものです。ハンバーグであれば、仕上げに使うシェフ手作りのデミグラスソースや自家製ブレンドのスパイスを使って味付けをしたひき肉などが該当しますし、海老フライなら新鮮で大きな海老やサクサクの食感を生み出す手作りパン粉、ミートスパゲッティなら自家製麺やひき肉たっぷりのミートソース、オムライスならこだわりの卵や仕上げのデミグラスソース、ケチャップなどが挙げられるでしょう。ここで注意すべきなのは「モノ」に絞って挙げていくこと。たとえばオムライスのとろとろ感を出すためのシェフの技術などは、コア製品にはあたりません。ステップ3 コア製品と商品をリンクさせる
コア製品がいくつか出たら、商品とリンクさせます。大きなホワイトボードなどに書いて、線でつないでいくと分かりやすいです。すると手作りパン粉やこだわりの卵は1つのメニューにしかリンクしていないが、デミグラスソースはハンバーグ・ミートスパゲッティ・オムライスとさまざまなものにリンクしていることが可視化できます。すると、さまざまなコア製品の中でも、特にシェフ手作りのデミグラスソースが重要なものであると分かります。最終的には「他社に真似できない強み」を探るわけですから、たとえばデミグラスソースが、仕入れたものをそのまま使っているのであれば、他社から真似されやすいのでコア製品とはならないことには注意しましょう。
ステップ4 コアコンピタンスを決める
コア製品が決まれば、それがコアコンピタンスを探るヒントとなります。コア製品を作るために欠かせない技術力がコアコンピタンスです。洋食屋さんの例なら、調理技術や、それぞれのコア製品の素材となる卵やお肉といったものの独自の仕入れや目利きの力などが挙げられるでしょう。コア製品もコアコンピタンスも1つである必要はありません。最終的には、コアコンピタンスの条件である ・商品が顧客に価値をもたらすか・広い範囲の市場や業界に応用できるものか・他社に真似できないものであるか に該当するかをチェックして、候補に挙がったものが本当にコアコンピタンスかを判定します。調理技術がコアコンピタンスであるならば、特にそれが活かされたデミグラスソースを通販できるようにする、デミグラスソースを使った新たなメニューを取り入れるといった展開が考えられるようになりますし、目利き力がコアコンピタンスなら、飲食店をオープン仕立ての料理人向けに、市場をいっしょに回って食材の良し悪しの見方を教えるといったイベントを行うこともできるかもしれません。
コアコンピタンス分析を行って、3つの条件をすべて満たすものがあれば1つだけ満たすもの、1つも満たさないものも挙がってくるでしょう。まずは深く考えず数を出していきあとから判定していけばよいです。1つも満たさないならそもそも強みではない可能性が高いでしょう。 ぜひコアコンピタンス分析を通して、自社の強みについて確認・再発見してみてください。なるべく多くの人数で行えば見つかりやすいですよ。