マーケティングに限らずなにかの知識を身に着けるときって、本を読みますよね。にいうちも必ず本を読みます。知り合いの洋服デザイナーも学びたいテーマの本を3つ同時購入して一気にインプットするって言っていました。すごいですね読んだ内容覚えているんですかね。
でも、本って文字ばっかで1ページ読むのにも時間がかかって、「結構読んだな」っておもって現在のページナンバー見てみると予想以上に進んでなくて、その章の残りページ数に愕然としてもはや読むことが作業になることってありませんか?にいうちは大いにそういった経験をしてきたので、本当に興味あって読みたいって思ったときにしか本は読みません。
同じように「マーケティングを学びたいけど活字だらけの堅い本は読みたくない」「もっと気軽にマーケティングを学びたい」と思っている方も多いと思います。そこで今回は、そういったことで悩んでいる方にオススメのマーケティングが学べる映画を3つご紹介します。
そもそも映画でマーケティングが学べるの?
映画から学ぶ利点は3つあります。1つ目は実際の出来事に基づいて制作している映画が多いことから、リアルな事例体験やそのプロセスを知ることができます。
2つ目は映像です。視覚情報での理解が活字よりもしやすいため、見ていても疲れないです。
そして3つ目は楽しい。これに限ります。どうせなら楽しく学びましょう。
マネーボール
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舞台は2000年代初めの米メジャーリーグ。貧乏球団オークランド・アスレチックスのゼネラルマネージャーを務める主人公のビリー(ブラッド・ピット)が、データと統計的分析を駆使して、競合球団を打ち負かし見事地区優勝を果たすストーリーです。
選手をスカウトする球団の老人たちは、「この選手は人気が出る」「スウィングがよい」といった感覚値で選手の良し悪しを決めるのですが、ビリーは根拠がない選択理由からでなく、セイバーメトリクスという統計学的見地から選手を評価して、戦略を立てる分析理論を用いて、選手の雇用をおこないました。
長年スカウトをして目利きがある老人スカウトマンから見たら、他球団から低年俸の評価を受け、「欠陥」「傷物」とレッテルを貼られた選手ばかりです。
経営危機に瀕した野球球団に使い物にならないと評価された選手が入ってきて、どう戦うのかと思ったのですが、ビリーが集めた選手は「出塁率」が高いという共通点がありました。これが「試合に勝利する」という目的のために立てたビリーの戦略です。
1人でホームランをバンバン打つよりも、1塁でも多くヒットを打てる選手で構成されれば、自ずと塁は満塁になり、その後ヒットを打つたびに得点が追加されていくのです。この戦略により、ビリーはアスレチックスに20連勝という成績を残しました。
勝利という目的を達成する為に、現状の経営資源で実現できる戦略を立てて、データからそれを導き出すことが、いかに確実なことか気づかされる映画です。
ウルフオブウォールストリート
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26歳の株式ブローカーであるジョーダン・ベルフォート氏(レオナルド・ディカプリオ)がマネーロンダリングや投資詐欺を繰り返し、20代にして49億円の荒稼ぎをし、のちにFBIに詐欺行為として逮捕されることとなり、22か月間投獄されますが、出所後はプロのセールス講師として活動する、というハチャメチャな人生を描いた映画です。
ジョーダン氏は実在の人物で映画の内容がほとんど事実だそうです。
彼は20代で証券会社を立ち上げるのですが、ビジネスパートナーとしてドラッグの売人に株のブローカーをやらないかと持ち掛けます。その際に、セールス技術を見極めるために、「おれにこのペンを売ってくれ」とペンを差し出します。
すると、売人の1人がそのペンを取り、「このナプキンに名前を書いてくれないか?」と言います。ここでジョーダンは名前を書くものがなく、そのペンを使うしかないのです。ペンを必要とする状況を作り出したのです。
映画のラストシーンで、セールス講師として講演するジョーダンが受講者に対して、同じ質問を投げかけますが、一般的な人はペンの魅力や特徴を語り売ろうとします。これは相手がペンを欲しがっているという前提で考えていることが分かります。
物を売るために大切なことは、それが必要とする状況を作り出すことなのです。そしてジョーダンはそれを手に取れば明るい未来があることを相手に想像させることに非常に長けていました。
ジョーダンが自社の社員の前でスピーチするシーンがあります。新規公開前の株を客に売りつけ大儲けするために、社員にガンガン電話をかけさせガンガン成立させる必要があったのです。一般的な人であれば、この株の将来性や購入することによりどれほどの利益があるかといった論理的な説明をするかと思います。
しかしジョーダンは論理的なことは一切言わず、感情に訴えかけます。
「金持ちになりたいか?金持ちになればこれほどの未来が待っている。そんな未来を実現したければ電話をとってかけまくれ。それがお前たちに必要なことだ。電話をかけなければ金持ちになれない。そうするとこれほど悲惨な未来が待っている。そうなりたくなければ電話とってかけまくって金持ちになり理想の未来を実現しろ」
理想的な未来と理想とかけ離れた未来の恐怖を明確に想像させ、相手の感情に訴えかけ自分の思惑通りに相手を動かすのです。マーケティングにおいても、相手を動かすために、最初にベネフィットを提示し、相手のインサイトを衝いて感情を動かし、購買行動に持っていくので、感情を動かすことがどれほど重要か、どうやって相手を動かすのか、そういったことが学べる映画であります。
オーシャンズ11
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クライム映画として人気のシリーズ1作目のオーシャンズ11。ジョージ・クルーニー扮する主人公のダニエル・オーシャンは泥棒兼詐欺師で4年間刑務所に服役していましたが、出所後、ラスベガスの3大カジノ「ベラージオ」・「ミラージュ」・「MGMグランド」の金庫を襲い、大金を盗むという大胆な犯行を計画していくお話です。
この映画で学べることは、想定したリスクを避けるためにいかに準備する必要があるか、思い知らされます。マーケティング思考は戦略的思考に基づいているため、「目的」を定め、標的とする「目標」を設定し、効果的な「戦略」を考察し、クオリティが高い「戦術」を実行する、この思考プロセスが戦略的思考と言われています。
しかし、戦略、戦術を立てただけで満足していてはダメなのです。なぜなら必ず起こりうるであろうリスクが存在するからです。このリスクを取り除くための準備や施策を怠ると上手くいかないのです。
オーシャンズ11では、実際に犯行をおこなったシーンは放映時間の3分の1程度しかありません。想定リスクを回避するための事前準備に入念に時間をかけたのです。監視カメラのハッキング、金庫の模型を作り解錠の練習、職員の数はもちろんその人の趣味や名前まで調査し、現場の情報を隅から隅まで調べどういったリスクが起こるか仮説を出し、それを回避するための施策を考えたのです。
この入念な準備のおかげで、実際の犯行は想定通りのストーリーでおこなうことが出来たのです。マーケティング施策を実行する際も、「戦略と戦術を作ったから上手くいく!」と安堵するのではなく、その戦略と戦術を、上流から下流に障害なくきれいに流すために想定するリスクをすべて取り除くことを心掛けていきましょう。