安定した成約率を持つ営業マンが身に付けているのが、「営業テクニック」です。人によっては働いている中で自然と身に付いたテクニックもあり、意識していないコツもあるもの。一体どのようなテクニックが存在しているのでしょうか。また、それは真似できることなのでしょうか。今回は、営業のテクニックについてご紹介します。
営業にテクニックは必要なのか?
営業のテクニックは、人間の行動心理学に基づいたものが基本です。商品やサービス以前に、人と人の関わり、信頼があって営業活動は成り立つものなので、心理学は売れる営業マンの必須知識の領域と言っても過言ではありません。営業テクニック(行動心理学)は、人間の潜在的な意識に働きかけるものなので、相手の性別や年齢、性格などのターゲット分類によって左右されるものではないことがメリットにあります。テクニックを実際に使う・使わないは営業マンそれぞれの考え方ですが、顧客によっては非常に有効に作用することが期待できます。安定した成約率、売上を達成したいのであれば、時に心理テクニックを使う選択も必要であると考えます。
具体的な営業テクニックの種類
ここでは、具体的な営業テクニックをご紹介します。自動車ディーラー、賃貸不動産、保険などの業界では営業力が必要になるため営業向けのセミナーや研修が多く開かれていて、ご存知の心理テクニックもあるかもしれませんが、そうでない方はぜひ、参考にしてみてください、営業テクニック①ドア・イン・ザ・フェイス
詐欺師の常套手段という表現もされるテクニックですが、営業テクニックとしても非常に有名なものです。例えば、果物を販売するお店の商品コーナーに、A:1万円、B:5千円、C:2千円という3つの果物セットが販売されていたとします。どの商品の売り上げが良いと思いますか。
多くの場合、「B」が最も売れ筋商品になるとされています。なぜでしょうか。Aは高すぎるけど、Cは安すぎる気がする、Bがきっと無難だからBにしておこうという心理が働くからです。特に無難な平均値を取ろうとしやすい日本人の行動心理です。
消費者目線で考えれば、店側としてはAが売れ筋になってほしいと思って販売しているように思いますが、実際はBが売れ筋になってくれれば良くて、Aが売れ筋になればラッキーという見込みなのです。本来売りたい額よりも高い額を提示して、本来売りたい額に着地させることが、ドア・イン・ザ・フェイスです。
見積もり額は相手が厳しいと感じる額に設定しておいて、商談が順調にクロージングまで進み、あとは金額の折り合いがつけばという局面まできた時に、相手の予算内に収める額を提案すれば、断る理由はありません。難しいところは、最初の見積もり設定額です。高過ぎればその時点で断られてしまいますし、値引額が大きすぎると不信感にもつながりかねません。
逆に、ちょっとくらい金額交渉はできるものと考える顧客もいるので、初めから安く、ギリギリのラインで設定してしまうと、最後に打てるパンチがなくなってしまいます。顧客に合ったちょうど良いラインの見極めが効果を左右します。
営業テクニック②フット・イン・ザ・ドア
段階的要請法とも呼ばれるもので、こちらも非常に有名な行動心理学に基づく営業テクニックです。ドアを少しずつ開けてもらえるように、小さな依頼を徐々に大きなものにしていくやり方です。プライベートの出来事で当てはめるとイメージしやすいかもしれません。例えば、最近存在を知った、とある女性となんとしてもデートしたいと思っていたとします。
いきなり二人で会うのは気まずいと感じるかもしれないから、共通の知り合いを交えて食事に誘う。
その食事会が盛り上がって、少し距離が縮まったから、今度は休日に同じメンバーで外出に誘う。
お互いのことがよくわかってきたし、普段から連絡もよく取り合う仲になってきたので、デートに誘う。
このように、少しずつ無理なく発展させていくことが、フット・イン・ザ・ドアです。人間には無意識に働く、一貫性の原理が存在していると言われています。それは、自分の発言・行動したことに一貫性を持たせたいと考える心理のことで、食事、外出にイエスと承諾してきたから、次の誘いも承諾しようとする心理が働くのです。提案に簡単にノーとは言えなくなります。
これを電話での営業トークに置き換えると、
顧客 :今忙しいので、またにしてもらえますか?
営業マン:ほんの10分、いや5分で話ができますので、簡単に聞いていただけないでしょうか。
顧客 :5分なら良いですよ。
という具合で新規営業を進めます。商品の説明を「聞いてもらう」という課題をクリアしました。後日、無料お試し利用を進める、実際に使ってもらう、どう思ったかヒアリングする、相手の要望に合ったプランを作り契約してもらう、というように、少しずつステップアップしていくやり方です。
このように相手のペースに逆らわず、焦らずに慎重に営業活動を進めていくことで、徐々に見込みの顧客数を増やしていくことができるでしょう。
営業テクニック③ホット・リーディング
事前に見聞きした情報を使う、ソースによっては今の時代ならではのテクニックとも言えます。例えば、すでに挨拶は済んでいてこれから商談という顧客の、FacebookやInstagramを何気なく見てみたら、投稿が活発にされていて、趣味や現在興味関心があることについて触れられていたとします。自分と共通した価値観のものがあれば、商談の時に何気ない雑談として話題を振れば、盛り上がって一気に距離が縮められることもあるでしょう。
仲間意識のような、同じような価値観を持つ人を悪くは思いませんし、どこか信用できる人という意識の中で話をしていると、提案がポジティブに響きやすいことが期待されます。ただ、注意点として、SNSは基本的に公に公開されているものですが、あまり面識の無い人が自分のSNSをチェックしていることが知れると、引いてしまう人も中にはいます。情報の入手経緯は言う必要が無いので、自分の話題として話せることがポイントです。
「営業マン必見の営業テクニック」まとめ
営業マン必見のテクニックはいかがでしたでしょうか。アポイント(訪問)どりやクロージングまで、幅広く使えるテクニックです。日々生活している中で、これらのテクニックに遭遇している機会も多くあります。例えば、新聞は最初の数ヶ月無料にして、その後継続してもらう。営業訪問の際、雑談から入って本題に近づけていくなどの流れです。デキる営業マンは異性からの評判も良く、恋愛上手な人も多いですが、プライベートでもこういった心理テクニックを自然と使えているのかもしれません。ビジネスノウハウ、心理学の本はたくさん出ていますので、テクニックを参考にしてみましょう。提案を有利にさせるものですが、ただ、テクニックの事ばかり意識して、本題の商談内容に抜けがあったり肝心なことが疎かになっては逆効果。さりげなく、自然に取り入れられることから実践することをおすすめします。