営業を3年程度経験すると、仕事も会社の人間関係にもだいぶ慣れて、自分のペースで仕事ができるようになってきます。先輩や上司の同行営業から離れ、営業部内での競争が本格的に始まる中、しっかり成績を上げていけるか不安に感じていませんか。今回はキャリアアップを狙う人のために、売れる営業の5つのステップについてご紹介します。
営業と一口に言っても、以下のようにさまざまあります。
直接会って商談を進める営業もあれば、電話だけの営業もある。
営業相手 :法人、個人
営業するもの:商品、サービス
さまざまなシチュエーションが想定される中、自社商品・サービスを持っている企業に、ある企業から問い合わせがあって営業活動スタートという想定でまとめたいと思います。
ステップ①:訪問アポイント
問い合わせがあった状況下において、訪問アポイントが取れなければ致命的です。売れる営業マンが訪問アポイントを取れない確率は極めて低く、ここですでに営業としての差が出ます。売れない営業マンによくあるのが、商品やサービスの案内資料を送付して数日後に、「その後いかがでしょうか。」と伺い、「まだ確認できてません。」や「必要な時にまた連絡します。」など、案内資料を送付して用済みとなってしまうケース。相手が興味を持てば、商談アポイントの相談が来る相手主導型です。これでは安定して顧客を確保し続けることは難しいでしょう。
売れる営業マンの常識は、「ご挨拶も兼ねて一度お伺いさせていただきたいのですが、〇月〇日や〇月✖日はご都合いかがでしょうか。」のように、資料送付のみすることはしません。遠方だったり、一度会った事がある相手に対しての追加資料ということであれば話は別ですが、”問い合わせをくれた”=”ある程度角度の高い顧客”であると判断し、資料は訪問して渡すものという前提で進めていきます。
ステップ②:事前調査
アポイントが取れて、訪問する時までの間にその企業のことをロクに調べないようでは売れる営業には程遠いと言えます。問い合わせ段階では、なんの商品やサービスについて問い合わせてきたのか、企業名、問い合わせた人の部署程度しかわかりませんが、その企業の事業内容や規模、理念を知ることで、なぜ問い合わせてきたのかを想像することはできます。ヒアリングの幅が広がれば提案の幅も広がります。さらに、しっかり下調べしてから来た姿勢が好印象を得ることは間違いありません。信頼できる営業マンと思ってもらうことによって、提案が響きやすくなる効果もあります。
ステップ③:初回訪問・ヒアリング
基本的なこともありますが、まずは初見の印象が非常に重要です。髪型、臭い、爪、スーツのしわ、靴の汚れなど、身だしなみは要チェック。売れる営業マンで清潔感の無い人はまずいません。遅刻、忘れ物はあり得ません。最初の印象が悪いと、早く帰ってもらいたいと思われて、話の盛り上がりに欠けて終わってしまうこと予想されます。当然、本提案へと進む可能性も低くなります。
名刺交換を済ませて着席したら、初回はなるべく聞き役に徹することがキーポイントです。自社のこと、商品やサービスについて説明して、どんどん相手の興味を引きたいと思ってしまいがちですが、それではいけません。
初回訪問は挨拶と相手のことを知るために行くものと考え、担当者から質問があれば回答する程度で、あとは現状の課題や方針などを聞くことに専念します。自分20%:担当者80%の発言比率で十分です。
質問攻めになってもいけませんし、話がそれてしまっても厄介なので、相槌を入れたり、「以前御社と同様の課題を持つ企業から、〇〇という課題もあるとご相談を受けたことがありますが、御社ではいかがですか。」のように架空の会社を作って本題に切り込むのもひとつの手です。商品・サービスの導入時期や決裁者、競合他社の有無など聞き取りができれば、まずは御の字。
担当者が決裁者ではない場合、決裁者の方の同席も取り付けた提案の日付が確定できれば上々です。
ステップ④:提案準備~提案
営業は「人見知りをしない話が上手な明るい人」が向いているような印象が世間的にありますが、そんなことは関係ありません。営業は準備が8割と言われるほど、準備が成功を左右します。見積もりだけ作って、あとは話術で契約が取れるほど甘い世界ではありません。提案準備は、主に以下3つです。
②提案資料・見積もりの作成
③上司もしくは先輩(メンター)への確認
①提案を前に意識することは、もし自分が提案先の担当者だった場合、自分の提案を聞いて納得できるものに仕上がっているか、客観的に自分の提案を聞くことが重要です。
②提案資料はパワーポイントで作成する人が多いかと思いますが、【使う色は3色以内、パッと見で読める文字数、フォントは統一】のシンプルなものにしましょう。文字のズレや、数字が飛んでいないかなど、細かいところを確認することをお忘れなく。データなど数字で示せることは極力数字で表現しましょう。
③上司には担当者を演じてもらって、本番のつもりで予行練習させてもらえるとベストです。自分には気が付いていなかった指摘をもらって修正を加えれば、準備は万全。人の意見も柔軟に取り入れることがキャリアアップの秘訣です。
契約成立後ほかの部門と連携が発生する場合は、提案前に商談が持ち上がっている旨を簡単に伝えてコミュニケーションを取っておくと、今後がスムーズです。
提案当日は、準備段階のイメージ通りにやるだけ。お芝居をしに行くような感覚です。
説明過多になって相手が飽きてしまわないよう、情報が少し不足しているくらい端的に伝えて、相手の質問に回答しながら提案ができると良いです。
例えば、【自社の商品やサービスを導入することによって、売上げ20%UPが想定できる】と伝えるとして、
営業:「弊社のサービスを導入することによって、売上げの大幅改善が見込めます。」
担当:「どの程度見込めるものでしょうか。」
営業:「20%UPが見込めると想定しています。理由は...」
同様の課題を持った企業の過去実績など、示せる範囲で数字で表せる資料があると効果的です。もし質問をしてこない場合、自分が思っているよりも重要視していないポイントである可能性がありますので、あまりこだわって話を継続せず、次の話に進みましょう。
自分しか話していないと相手にしっかり伝わっているのかが見えませんので、確認の意味でも時折会話に参加してもらうように促すと効果的です。
提案後、先方から新たな要望や不明点、宿題をもらい、提案終了。
ステップ⑤:クロージング
前回提案時に出た新たな要望や不明点、コスト面をクリアにし、契約後に別の担当者に引継ぎするようであればその部署の担当者や上司を連れて最終提案(クロージング)となります。ブラッシュアップした提案だけでなく、「お土産」があると決め手として強みになります。もし、なにか持って行けるものがなれば、初回提案時のコストを少し多めに見ておいて、お得感を出すような演出でも効果的です。