聞く力
どんな業種であれ「何かを売る」のが営業の仕事ですから、商材をおすすめしてクライアントに「売る力」が求められるように感じますが、実はそうではありません。普段の生活を思い返すとイメージしやすいです。相手の話を聞かずに自分の話ばかりする人に好感を抱いたり、助けてあげたいと思ったりする人はいないでしょう。営業の世界でも同じです。自社の商品を「売ろう売ろう」とするあまり、クライアントのニーズをヒアリングできずに話してばかりの営業職には成績はついてきません。
聞く力とは「相手の見えない課題を発見する力」とも言えます。クライアントが自分の商品を購入しようとするのは「困っていることが解決できるから」に尽きます。当然のことではありますが必要がないものは購入してくれるはずがありません。相手にあなたが提案する商品に興味を持ってもらうために必要なのは商品をすすめる「話す力」ではなく、相手が気づいていないような深いニーズを探りあてる「聞く力」なのです。
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力が高いということは、なにも「おしゃべり上手」であるということではありません。口下手だから営業に向いていないという話はよくありますが、口下手であることと営業に向いていないことはイコールではありません。コミュニケーション能力がるかどうかは一言でいうと「会話のキャッチボール」ができるかです。例えば面接などの緊張感のある場面で面接官の質問に対して返答をしているつもりが、話が長くなり、結局言いたいことが伝えられなかったといった経験はありませんか?これは会話のキャッチボールができていませんよね。相手の質問に対して的確な返答ができる、相手に適切な質問ができるというコミュニケーション能力は信頼関係を築いていく上でも非常に重要なスキルと言えます。
時間管理能力
営業には「目標」や「数字」と呼ばれるようなノルマがあります。成績は月ごとにリセットされてゼロからスタートとなりますので、必然的に営業職は1つのクライアントだけでなく複数のクライアントに同時にアプローチをかけていくことになります。会社にもよりますが、クライアントとのアポイント取得から契約後のアフターフォローまで1人の営業職が担当するということも少なくありません。経験を重ねて自身が抱えるクライアントが増えれば増えるほど、新規開拓する時間がなくなってしまうということもあり得ます。継続して契約を取得できるような営業マンになるためには、仕事の効率化のためにきちんとスケジュールを立てて行動していく時間管理能力は必須のスキルです。
記憶力
頻繁にというほどではありませんが、最初は名刺交換だけだった関係から時間を経てクライアントに発展するということもあるのが営業の世界です。アプローチをかけたお客様に「今会社が忙しいから数カ月後に連絡してほしい」と言われることも。手帳などにメモすることは基本ですが、どんな相手とどのように接触したかということはある程度覚えておくことが求められます。クライアント企業における担当者の顔や名前はしっかりと覚えておかないと失礼にあたることもあります。毎回もらった名刺で確認するわけにもいきません。また、顔や名前だけでなく、自分が相手に対してどのような提案をしたかということがぼんやりしていると、例えばクレームをいただいた際に自身の発言に自信がもてなくなり「言ったか言っていないか」で相手を余計に怒らせてしまうということにもつながります。
どうやってスキルを身につけるか
ここまでにご紹介した4つのスキルは、元々得意な人はいますが訓練次第で身につけられるものです。ここからはそれぞれのスキルを身につける方法をお伝えします。1.聞く力・コミュニケーション能力のつけ方
この2つはクライアントとの「会話」に関わる能力で、能力のつけ方も共通していますので合わせて紹介します。まずは焦らないということ。会話とは「聞く」と「話す」があって初めて成立します。営業の仕事がクライアントとの会話の末に、最終的に契約を獲るということであるならば会話に焦る必要はありません。焦って早口になってしまうだけでも、頼りないという印象を抱かれてしまうこともありえます。相手が話し終わるのを待って、こちらが質問する・話すということを心がけましょう。自分がクライアントを訪問してから商談を終えて会社を出るまでをスマホなどで録音しておき、後から聞き返すのも有効です。自分では「わりと上手くいった」と好感触でも、録音したものを聞けばそうではなかったということも多いです。自分のプレゼンを含め会話を客観的に聞くことで、改善点を見つけることもできます。聞く際には声のトーンやスピード、クライアントとの会話量のバランス(自分ばかりが話していないか)に注意してみましょう。
2.時間管理能力のつけ方
スケジューリングをしていく中で気をつけることは「相手に合わせすぎない」ということです。1日の多くを社外で過ごすことが多い営業職は、アポイントごとに会社に戻るよりは、その日の全てのアポを終えてから帰社するというのが一般的です。営業職であっても日報や資料作成など、会社で行う業務も多いですのでなるべく空き時間を作らないということが非常に重要になります。オフィスが近いところで複数アポを入れたのに次のアポまでの間の時間が2時間も3時間もあっては効率的に働けませんよね。可能な限りアポイントはこちら主導で取得するようにしていきましょう。また、休日に1~2時間ごとに予定を立てて実行するのもよい訓練になりますよ。3.記憶力のつけ方
記憶力は、その場で気をつければ済むというものではないので、普段の生活から意識していく必要があります。社内の同僚と違って毎日顔を合わせるものではないので、初対面のときにクライアントの顔と名前をしっかりと覚えることは難しいかもしれません。しかし記憶は時間とともに薄れてしまうので、何事も一度はしっかりと記憶するということを心がけましょう。一度も記憶していないものを、呼び起こすことはできません。たとえばクライアントに対しては、商談を終えた後に顔と名前をはっきりと思い出して記憶するといったことを心がけてみてはいかがでしょうか。営業職は自身の努力や活躍次第で結果が左右されるという意味で非常にやりがいの持てる職種です。営業職に求められるスキルをしっかりと把握した上で就職活動に臨んでください。現在営業職の方もスキルアップに取り組むことで、これまで以上に活躍できることを願っています。応援していますよ!