転職サイトやキャリア情報などを見ていると「HR職」や「HR業務経験者歓迎」といった文言を見かけたことはありませんか? 何かの略語だということは分かっても、人によってははっきりとしたイメージがつきにくいかもしれません。
この記事では「HRとはなにか」といった基本的なところから、HR職に求められるスキルや、キャリアの流れなどについて解説しています。自身のキャリアを考えていく上で、HR職を目指す方にとっても参考になる内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
HRは何の略?
HRと聞くと学生時代のホームルームが浮かぶかもしれません。もちろんビジネスで使うHRとは、ホームルームの略語ではありません。HRとは、Human
Resource(s)の頭文字を合わせたもの。直訳すると「人的資源」。つまり人材のことを指します。
人事関連の仕事と思えばOK!
HRが人材を指す言葉なので「HR職」とは企業でいうところの「人事職」にあたります。企業によって人事部や人材開発部・人事担当などと呼び方は変わりますが、社員の配置や採用に関して管理している点では同じです。名刺に「HR職」や「HR担当」などとあれば、人事関連の担当だと思って差し支えないでしょう。採用だけじゃない!人事の役割
採用担当も非常に重要な業務ではありますが、人事の仕事はそれだけではありません。転職や就職の際の面接官や、説明会の担当者といったイメージがあるので採用にフォーカスされることが多いですが、企業の内部充実を図るためにさまざまな役割を担っていますので紹介します。採用業務
最もイメージしやすい人事の主な仕事として、人事採用があります。採用にあたって企業が求める人物は単に優秀な人材であったり、コミュニケーション能力が高かったりといったものだけではありません。もちろんそれらも重要な項目でありますが、企業によって重視する項目は異なります。志望動機を重視するところがあれば、これまでの経験を重視するところがあるというように、千差万別です。人事=HRは、会社にどのような人材が必要かを判断し、採用計画を立て、それに基づいて採用活動を行います。 採用方法は人材紹介会社・求人サイト・履歴書による直接応募などさまざまですが、どの場合においても、人事が企画立案をおこないます。会社の規模が大きければ、「新卒採用専任」「中途採用専任」などのように分かれていることもあります。
人材育成
新卒であれ中途であれ、入社してきた社員には教育や研修が必要です。ビジネスマナーやコンプライアンスなどさまざまな研修を担当します。それぞれの研修には個別に専門の講師を外部から呼ぶこともありますが、どんな研修が必要なのかを立案し、調整を行うのはHRの仕事です。会社の業務に関連する資格や検定試験のためのセミナーや講座を実施することもあります。人事評価
社員の実績の評価を適切に行い、評価結果に基づいて給与・配置・異動についての取りまとめを担当します。特に評価に関しては、それぞれの社員の給与や昇進につながるので、非常に重要な仕事と言えるでしょう。ただし、営業社員の評価を直接関わりのない人事部が評価するのは難しく、数字上だけのものになりやすいなどの理由から、評価に関しては直属の上司と面談を実施して決定する企業も多いです。労務管理
人事は、安全衛生管理、福利厚生業務、健康診断、社会保険手続きなどの書類やデータを扱う業務も行います。一見、人事的な内容でないように思えますが、どれも「ヒト」に関わる仕事であり、社員が安全に働くために欠かせないものばかりです。会社によっては、これらの仕事を総務が行う場合もあります。人事制度の企画立案
社員の処遇を決定する際の基準となる評価制度や報酬制度の人事制度全般の企画立案を行います。社員のモチベーションに大きく関わるところですので、責任は重大ですがやりがいのある仕事と言えるでしょう。求められるスキル
直接的ではないにしろ、人事職が広い範囲で社員と関わっていることがお分かりになったのではないでしょうか。ここからは、人事職として活躍していく上で必要なスキルやどのような人が向いているかについてご紹介します。コミュニケーション能力
人事に最も必要なスキルだと言っても過言ではないでしょう。HRは社内だけでなく社外向けのイベントにおいて「会社の顔」となるシーンが非常に多いです。たとえば企業説明会では、学生や転職希望者と接することになります。その際に説明会で話をする人事が疲れていそうに見えたり、愛想が悪かったりしたらどうでしょうか。せっかく会社に興味を持ってくれた人も、応募を見送ることになるでしょう。社内においても社員の教育や評価に携わる部署であるので、さまざまな部署と関わりを持つことになります。きちんと自身の考えを明確に述べる力や、相手の気持ちを汲む能力は非常に重要であると言えるでしょう。
情報収集能力
人事は、採用だけでなく労務管理を行いますのでたとえば残業のし過ぎや、派遣社員の扱いなどについても知っておく必要があります。労働に関する法律は年々変わってくるので常に目を光らせておかなければなりません。社内では、労務管理に関するエキスパートとして見られますので、法律改正を知らなかったではすみません。常に新しい情報を仕入れる能力が求められます。日経などの新聞も日本の法律に関して調べるサポートとなるでしょう。
進捗管理能力・計画性
たとえば、採用スケジュール1つとっても自身のスケジュールだけを管理すればよいわけではありません。いつからどの媒体に求人を出すか、面接は何度行うか、部長や社長など管理職の面接のスケジュールも確保しなければなりません。いきあたりばったりではなく、計画性を持って1つ1つコツコツと進めていける人に適性があります。HRのキャリアパス・HRになるには
HRになるには、新卒で最初から配属されるか、営業や広報、マーケティング職などを経験してから異動になるかの大きく分けて2つのパターンがあります。転職での募集はほとんどが経験者採用ですので、非常に狭き門と呼べるでしょう。転職を狙うよりはまずは今いる会社で人事担当になる方が近道のことも多いです。ここでは、異動ないし新卒でHRに配属された際のことに焦点をあてて述べていきます。
まずは新卒採用を担当することが多い
特に新卒で人事部に配属された場合は、学生と年齢が近いこともあり新卒採用担当になることが多いです。インターンや会社説明会、選考の事務局、内定者フォローなどを行うことになるでしょう。いきなり面接官を行うといったものではなく、採用業務について経験を積むことが重視されます。中途採用に関しては、即戦力を求めていることもあり、会社の業務に関してより理解を深めてからとなるでしょう。採用計画・研修計画の立案
新卒入社者対象に研修プログラムを自ら行うようになって場数を踏んだら、現在の研修制度の課題点が見えてきます。中堅社員になれば経営的な視点も踏まえた採用計画や研修計画を担当したり、同部署の若手の育成に携わったりするようになります。その後管理職となれば、人事のプロとしてプレーヤーを続ける人や、経営陣の一人となる人などが出てきます。HR職は、会社にとって最も重要な「ヒト」を扱う部署です。企業が発展を遂げるのも衰退してしまうのもすべては「ヒト」に懸かっています。責任が大きな仕事ではありますが、やりがいを持って働ける職種だと言えるでしょう。