近年、キャリアデザインやキャリアアップ、キャリア開発といった言葉を耳にすることが多くなってきました。さらに、働き方改革のようなこれまでの働き方を見直す動きも活発になっています。
大企業でさえ一生安泰とも言えない現代において、キャリアを見直すことにはどのような意味があるのでしょうか。
この記事では「キャリア開発」を基礎的なところから解説しますので、今一度しっかりと自身の将来について考え直すきっかけとしてください。きっと参考になるはずです。
そもそもキャリアとは
キャリア開発について考える前にまずは「キャリアとは何か」についてはっきりとさせておきましょう。
キャリアは「経験」や「経歴」と訳されることが多いです。たとえば転職時にこれまでの経歴をまとめた職務経歴書を作成しますが、その際、なんという名前の会社で働いてきたかではなく、仕事に取り組む中でどのような技術や知識、経験を得たか、どのように人間として成長してきたかが重要です。
つまりキャリアとは、働く上で身につけた技術・知識だけでなく、結果としてどのような生き方をしてきたかを指す言葉と言えます。
キャリア開発とは
キャリアが「社会人としての生き方」を指すと確認したところで、キャリア開発とはどういった意味合いで使われるのかを見ていきましょう。企業がキャリア開発をすすめる理由
現在では、キャリアアップを目的に自分の力をより発揮できる会社への転職も一般的になっています。従来、新卒で入った企業で定年まで勤めることが美徳とされていましたが、終身雇用制度のゆらぎから長期雇用を前提とした社員教育が難しくなってきている背景があります。とはいえ、短期間での退職を前提にするわけにもいきません。社員が転職してしまう一因としてキャリアアップがあるなら、自社でも十分にキャリアを積める体制を整えれば優秀な人材の流出を抑えることができます。
具体的には、
・目標設定や適性判断といった方向づけ
・研修・教育
・人事異動・昇格
社員からみたキャリア開発のメリット
キャリア開発を企業が推し進めることは、社員側にも大きなメリットがあります。従来のような一律の社内教育ではなく、自己の適性や能力を高められるような人員配置の実施により、働くことがお金を稼ぐこと以上の意味を持つようになります。一言でいうと「やりがい」や「働きがい」を持てる自律的な人間として成長できるのです。
企業側からのキャリア開発により、社員は働く上で何を実現し、どんな生き方をしたいかを自主的に考え仕事に取り組むようになります。
従業員に企業側が用意したキャリアプランを一方的に受け入れさせる従来のものとは異なり、潜在的な能力や個性を発揮していきいきと社員が働けるようにし、その結果企業全体がより活性化することがキャリア開発の最大のメリットと言えるでしょう。
キャリア開発支援の具体的な取り組み
企業側からすれば、自発性の高い優秀な人材が増え、社内が活発になり結果として社員の定着にもつながるキャリア開発は、是が非でも推進していきたい重要な項目となります。ここからは実際にどのような取り組みが行われキャリア開発が進められているのかを紹介していきます。
面談の実施・適性の把握
キャリア開発を支援するためには、社員の適性や将来設計の把握が重要です。定期的に面談を行いキャリアプランを明示したり、どのような働き方を希望しているかを確認していきます。たとえば、「誰もが出世・昇進はしたいはず」といった固定観念の押しつけがあってはなりません。営業職で、教育や管理する側ではなく生涯プレーヤーでいたいと考えている社員も多いものです。社員一人一人がどのような働き方を望んでいるのかを知ることが、企業側からしたキャリア開発の第一歩です。
自己申告制度・社内FA
社員のキャリア開発を実現するためには、社員が希望するキャリアを形成できる基盤を整えることが重要です。たとえば人事異動では、人事部や管理職の間で話し合いが設けられて、決定事項として辞令が下るというのが現在でも主です。もちろん適材適所がありますので、社員の希望をすべて取り入れるということは難しいですが、社員自らキャリア開発に対してアクションを起こせるようにしておくことは重要であると言えます。社員自らがキャリアを開発していくための方法として「自己申告制度」「社内FA」などが挙げられます。
自己申告制度とは自らの業績や職務進捗に対して、自己評価を行い、希望部署や部門に異動・転籍願いを提出する制度です。重要なのは、データとして提出するということです。管理職との口頭で終わるのではなくデータとすることで人事部などとの共有も容易になり、人員配置にも参考にできます。
社内FAでの異動
社内FAとは、社内公募と同時に行われることも多いもので、社員が自分の経歴や能力・実績を希望部署に自ら売り込み、異動や転籍を可能とする人事異動制度です。この場合は、人事部の介入がない、またはサポート程度のことが多く、直接自分が希望する部署へのアピールが可能となります。プロジェクト単位で行えるようにすれば、現在の部署に所属したまま追加業務として、希望部署での仕事を体験することもできます。キャリア開発は、これから働いていく上で非常に重要になっていくものと言って間違いないでしょう。まだまだ整備が不十分な企業も多いですが、だからといって諦める必要はありません。まずは自分がどのように働いていきたいのか、ということを整理するところからキャリア開発をすすめてみてください。