「情けは人の為にあらず」という言葉を30歳までは勘違いして理解していました。
必要以上に人にやさしくするのは、その人の為にならないと言う認識でいましたが、本当は「人の為に動く事は、後になって自分に返ってくる」という意味でした。
実際この感覚が本当に理解できるようになったのは、会社を始めて5年くらい経った30代半ばの頃でしょうか。義を先にして他者の為に尽くして後から利益を得る「先義後利」的な事を言う方も当時からいましたが、後から得る利益がそんなに簡単に戻ってくるはずもなく、ずいぶん経ってからそれを認識する事になったからです。目の前の人の為に、今で言うところのタイパを考えずに接し続けていると3年くらいたったころから、なんか返って来たなという感じになります。期待感はなくて習慣として続けていたらそうなったという感じですね。友人知人、会社の仲間も含めてそういった連続性の中でお互いの信頼残高が蓄積して行き、お互いに何等かの形で利が得れる関係になっていくのだと思います。
「7つの習慣」を参考にし会社の研修用として私が作成した「人脈資産の関係性の9段階」という資料があります。下記がその内容です。
★関係性の9段階★人脈資産/今までの信頼残高の証
1.臓器移植の関係
2.連帯保証・借金の関係
3.全力を尽くして結果も出してくれる
4.全力は尽くしてくれる
5.約束は守ってくれる
6.約束を守ってくれるか微妙
7.本当は何か違う事を考えてると思う
8.悪意を持たれていると思う
9.身の危険を感じる
1.の臓器移植の関係は、普通に考えると家族だと思います。その人の命のために自分の腎臓を一つ差し出せるという事ですね。
2.連帯保証や借金が出来る、これも簡単に人に頼む事ではありませんが、必要に迫られる事は人生においてあるかと思います。私自身も経営をする中で、私自身に保証人になれる家族がいなかったこともあり友人に助けてもらった事があります。今でも感謝しています。
仕事上や友人関係においては、3.の全力を尽くして結果も出してくれる人がいると心強いですね。結果はコントロールできない事もあるので、4.の全力は尽くしてくれる人でも十分にありがたいです。6. 約束を守ってくれるか微妙くらいからちょっと微妙な感じになり、7.本当は何か違う事を考えてると思う以降の人が回りにたくさんいる状態は、日々が安全にすごせなくなりますね。精神的にもきつい感じになると思います。
一方この状態はお互いの認識なのですが、結局のところ過去の他者との関係性継続において、どのくらいの信頼残高を積み上げてこれたかの結果だと思います。よい関係の人が数多くいればよいという事ではないですし、その為に周りの人に合わせすぎたり、気を使いすぎて生きていくのも大変です。ですが、普通に考えて良好で信頼関係のある人が多い環境で過ごす方がパフォーマンスも発揮しやすいですね。約束を守るとか、真摯に対応するとか、出来る事ならその人の為になる事に時間を費やすとか、結局は自分の日々のふるまいでそれが形づくられていくのだと思います。
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■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。