ビジネスで継続的な成長を計ろうとすると「再現性」にチャレンジする事が必要になりますね。アマゾンなどは、人材の評価においても再現性というキーワードを最も重要視していると聞いたことがあります。1回だけの成功や高い業績ではなく、それが再現性のある内容で、それを再現性の高い形に進化させた人が最も評価されるという事ですね。失敗をしても、その失敗を繰り返さないような仕組みを作った人は高い評価を受けるようです。
本当の意味で再現性を高めようとすると、実際に起きた事象を因数分解する事が重要です。すべてが同じ状況の事というのはなかなか起こりえないので、何が同じ状況であればその事象の再現性が高くなるのかを見つける事が重要です。
一方手段についての再現性を言う人もいます。求人募集で例えると、「○○って媒体は人がよく採れるらしいよ!」と言う際の、求人広告媒体は手段です。たしかにその媒体で広告を見る人が多い場合、全般的な反応数が高いと言えます。しかし、どういう企業がどういうターゲットでどんな表現でやったらよかったのか、そもそもどういう期待成果に対してどういう効果だったのかと、細かく因数分解してみないとそれが他の状況においてもそうなるかは想定できません。同じように、セミナーに来た見込み顧客は受注率が高いという事実があったとしても、セミナーは手段です。どういうターゲットが、どういうセミナーコンテンツで、どういった心境の変化やインパクトがあって、その後に商談化していき、最終的に受注につながったのかまで因数分解しないと本当の再現性のあるコアな知見になりません。
そこまで因数分解した答えがみつかると、それはセミナーだけでなく他の手法にも展開できるし、違う活用方法も見つかる事になるのだと思います。
私たちのビジネスはサービス業でありプロモーション系なので、必ず情報の発信元と情報内容そして伝達手段と受け手の属性が存在します。
以前、知り合いのコピーライターに、「愛する君に捧げたい!」
というコピーがあったとして、これをどのビジュアルにかぶせるかで意味が違ってくると教わりました。筋肉マッチョみたいな大柄の中年男性のビジュアルにこのキャッチを載せるのと、イケメンの細見の若い男性のビジュアルにこのキャッチを載せるのでは、良い意味でも悪い意味でも全く効果が違うという事です。
何かしらの成功体験があった時は、情報の発信者(例えば営業パーソン、セミナー登壇者)、コンテンツ内容、ターゲティングされた対象の属性や、接する方々がその情報に接する時のコンディション(どんな心理プロセスにいる状態なのか)などに因数分解してそれぞれの状況や属性が変わっても同じ状態が起こりうるのかなどの検証を緻密にしていく事が重要ですね。
手段や施策の裏に隠れた本質的な再現性のもとを探す事が、ビジネスの次なる成長につながるのだと思います。
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■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。