プロダクトライフサイクルにおいて、成長期を超えた成熟市場では、同一カテゴリの製品・サービスは増えていき、購入者や所有者の割合も増加し、多く普及している状態になる。製品が多様化することにより、競争相手も多い状態となり、結果的に価格競争に陥ることも考えられる。
このように成熟市場の中では競争状態が進むため、営業やマーケティング活動においては、組織だけでなくメンバーの競争戦略意識も重要になってくる。今回は成熟市場における営業組織の在り方について解説する。
成熟市場で必要となる競争戦略意識
競争戦略意識としては、営業、マーケティング組織の各メンバーが、自社の製品・サービスの市場動向を認識することが必要になってくる。例えば、
・ユーザの購買決定要因
・ユーザニーズの把握
・市場規模
・市場における価格帯
・競合状態
・新規参入や代替品の脅威
・自社製品・サービスの強み、弱み、独自性
など、自社の製品・サービスを取り巻く状態、消費者動向など、市場全般の理解は必然的と言える。
ここではマーケティング的な視点が必要にはなるが、分析するために3C分析、ファイブフォース分析などのマーケティングフレームワークを活用することで、理解を進めることができるだろう。
そして、営業やマーケティングの現場で、そのような競争戦略意識やマーケティング視点が生まれてくると、そもそもの自社のマーケティング・営業戦略に対しての納得や理解が重要になってくる。
例えば、
「提案までは進むが、競合が多く他社との比較や相見積もりになるケースが多い。結局は価格で判断される成熟市場だから、臨機応変に値引きして受注につなげたい」という営業マンに対して「むやみやたらに値下げはしたくない、セールスマンの魅力で、契約をとってきてほしい」と突っぱねるマネジメント層という対立があったとして、このケースうまくいくだろうか。
値引きで対応すれば良いという営業マンの対応では、自分たちよりさらに安い会社が見つかってしまえば顧客は流れてしまう。月額課金制のSaaSのサービスであれば、継続してもらうことも重要になってくるし、LTV(顧客生涯価値)の考え方が抜けている可能性もある。またマネジメント層は、属人的で、再現性のない営業スタイルを推奨してしまっている。
上記は少し極端な例かもしれないが、営業マンが上位レイヤーの考える戦略の本質を理解していない、一方、マネジメント側は現場への理解が足りていない状態というのはよくあるケースだ。
現場施策を進める上で、組織の戦略合意形成が重要となる
また、機能の差別化や優位性が薄くなる成熟市場では、・営業やマーケティング現場のコミュニケーション
・アプローチ戦略
・キャンペーン戦略
などの各施策・コミュニケーションにおいてもミドルマネジメント、プレイヤーの戦略合意形成が重要となってくる。
なぜなら、コモディティ化した市場においては、自社のビジョンやポジショニングを明確にした戦略が現場レベルでも必要となってくるためだ。機能や性能で差別化ができないため、顧客体験をどう設計するか、顧客の課題をどうやって解決していくか、つまりソリューション型営業組織の構築が必要となってくるだろう。
戦略合意形成が強い組織を作る 〜株式会社ラクスの事例〜
先日、弊社の組織診断ツールSTRABOを導入してくださった株式会社ラクスの安藤様にインタビューを行った。STRABOは顧客接点のあるメンバーの理解度、納得度、充足度をスコアリングすることで、戦略実行力を可視化するサーベイで、一言でいうとボトルネックや課題を可視化するツール。
ラクスさんでは「配配メール」を提供しているマーケティング・クラウド事業部において診断いただき、戦略の理解度、納得度が高いスコアで可視化された。
インタビューの中で、安藤様は次のように語った。
出典:https://strabo.jp/case/survey-case/154/
同事業部では、組織の合意形成をもとに強い営業組織を構築し業績を上げてきた。当然、STRABOにおいても高スコアの結果となっている。「組織の戦略合意形成が業績に直結する」というSTRABOのコアとなるコンセプトが証明された事例ともなった。
また診断を受けていただいたことで得た、新たな気づきとしては、次があげられる。
・組織の合意形成が業績につながることを再確認できたとともに、継続的な組織診断の重要性の気づきを得た。
・特定部門の課題が可視化されミドルマネジメント採用の意思決定につながった。
組織の合意形成とミドルマネジメントの重要性がよくわかる事例と言えるだろう。インタビュー内容について詳しくはSTRABOの事例ページをご覧いただきたい。
まとめ
成熟市場において、自社がシェアを拡大し確実な成長を実現する競争戦略として、企業はどんな投資を打つべきだろうか。BtoBビジネスにおいては、営業が訪問に行く前に、57%の購買プロセスが終わっているとも言われ、Web上で選定さえ終わっている場合もある。Webでのマーケティングが必須になってきている中で、マーケティング組織の構築と営業との連携は、早々にやらなければならない。合わせて、組織の合意形成も優先的に実行するべきだろう。