• 2019/10/17
  • 連載企画
  • マーケティングエバンジェリスト

営業とマーケティング組織構築のススメ〜#04 ナーチャリングが軸となる現代のマーケティングプロセスを知る〜

  • 河村 芳行
article-image

河村 芳行[著]
河村芳行による連載企画【営業とマーケティン組織構築のススメ】の第4回目はデジタルの普及により加速するマーケティングプロセスの変化について解説する。
前回はこちらから→『営業とマーケティング組織構築のススメ~#03 営業とマーケティング間における顧客価値への共通認識化〜』

ナーチャリングが軸となる現代のマーケティングプロセスを知る

現代の営業-マーケティングプロセスの考え方

現代の営業-マーケティング活動のプロセスを見ると、「ナーチャリング」というキーワードを目にする機会が非常に増えてきた。ナーチャリングとは言葉の通り「育成」という発想だ。特に営業活動を行うターゲットは限定的な市場を対象とするケースが多いため、有限の対象に対して継続的な営業活動が求められる。

これは今に始まったことではなく、営業であれば必ず行っていた活動だろう。
一回の初回訪問で受注が得られなかった場合、取引が将来的に見込める顧客であれば中長期的に関係を構築して先行投資して接待を行い、受注を獲得していた営業は多いはずだ。
なぜ今になってナーチャリングという言葉が普及し始めたのか。これは言うまでもなくデジタルマーケティングの影響だ。
デジタルマーケティングによって、顧客接点を作ることが1-nで容易に行えるようになったことで、コミュニケーションに戦略性を求められるようになったからだろう。

1-nになると、確率論を高める戦術が必要になる。確率論を高める為の最大公約数としてどんな資料が必要となるか、
どんなメールコミュニケーションが求められるのか。こうして施策の中にペルソナやカスタマージャーニーといった発想が
必要となる。

また別の視点で、育成した顧客が営業訪問に値するか、「クオリフィケーション」といった考え方も生まれている。
これは顧客を精査する、という目的のもと行われる活動だ。例えばカスタマージャーニーのもとで育成活動を行った後に、
おそらく十分に育成されたであろうと思われる顧客をそのまま営業に引き渡すのではなく、まずは精査を目的とした
「プレ」営業活動を行うと言った考え方だ。
この活動を効率的に行う為に、内勤営業(インサイドセールス)という手法が急速に普及をはじめている。
外勤営業が訪問時間を割いて精査する工数を削減する為に、電話やメールを用いて精査を実施するという考え方だ。

また内勤営業が行うにはいくつか目的もある。
例えばWeb上での問い合わせや資料ダウンロードが育成のトリガーだとした場合、外勤営業よりも内勤営業の方が
タイムリーに顧客にコンタクトを取り温度が下がらないうちにフォローすることもできる。

更にインサイドセールスという中間職を置くことで、営業とマーケティングの橋渡しとして、双方が合意のもと
確度の高い顧客を営業に引き渡すことで双方の活動満足度を高めることもできる。

こういった新たな手法を取り入れて先進的に行っている企業が成果を飛躍させている事例も増えてきている。
是非少しずつでも取り入れて頂きたい。


販促から戦略的活動へ(フローからストックへ)

またナーチャリングという考え方を組織的に浸透させる場合、もう一つ重要な要素がカスタマーイクイティ(顧客資産)の発想だ。
これまでは展示会など新たな顧客接点を生み出す活動を行った場合、その顧客に対して一度だけアプローチを実施して
そのまま終わり、という考え方で活動を行っていた企業も多かったが、

顧客育成という発想が営業とマーケティング間で生まれると、営業側だけで見込み顧客を抱えて育成するのではなく、
全社的にナーチャリングという発想を持って顧客資産を形成していく必要がある。
生み出した顧客接点をフローで流れ作業で消化していくのではなく、ストック(蓄積)して管理するという発想だ。

ストックして管理するとなると、顧客データを統合管理する為のインフラが必要となる。
例えばCRMやマーケティングオートメーションといったツールがこの役割を担わせているケースが多いだろう。
最近ではSFAでも名刺管理機能を付加して顧客管理機能を提供する機会も増えている。
日々さまざまな目的で多くのツールが今日ではリリースがされているので、詳細機能や目的については
本ガイドでは割愛するが、導入目的を明確にして、導入設定と運用後のオーナーを明確に決めて
意思決定すると良いだろう。

とにかく低価格化が進んでいる分、導入コストに目がいきがちでまずは導入を、という意思決定を行うケースも
増えているが、実際のところ限られた人材が投下する設定・運用コストが最も重要であることを忘れてはならない。
また、導入の際には営業、マーケティング双方がアクセスし活用することを視野に入れた方が良いだろう。
顧客との接点はリアルタイムに発生する為、営業とマーケティングそれぞれの活動履歴が相互に確認できる環境は
不可欠と言える。

次回は「営業、マーケティング組織のリソースマネジメント」をお届けします!

「マーキャリNEXT CAREER」無料キャリア相談実施中

マーケタースキル診断公開中!!

関連記事

検索条件を変更する

フリーワード

記事カテゴリ
タグ