河村芳行による連載企画【営業とマーケティン組織構築のススメ】の第5回目は多様化の一途をたどる営業・マーケティング活動、手法の中で人材に着目したリソースマネジメントについて解説する。
前回はこちらから→『営業とマーケティング組織構築のススメ~04 ナーチャリングが軸となる現代のマーケティングプロセスを知る~』
多様化する営業、マーケティング活動におけるリソースマネジメント
相互の協議、フィードフォワード、フィードバックの場の整備
現代の急速に変化する社会では、同じ戦略で長く成果を上げ続けることは困難を極める。つまり継続的に戦略の形を変えて改善を続けるPDCAが不可欠だ。
その際、営業とマーケティング間が市場環境が活動成果に関わる協議の場を定期的に持つ環境づくりを必ず行うようにする。
営業は市場と最も近い立ち位置で顧客接点を持っているのに対し、マーケティングは広い視野で市場接点を捉えている。
相互の別の視野を突き合わせて市場環境を捉えることが、変化に適応する上で効果的だ。
それぞれが活動成果をフィードバックするだけでなく、得られたインサイトからこれからの活動に対してフィードフォワードを行う。
この相互の循環を繰り返すことによって、お互いの市場に対する知見、ノウハウを相乗効果的に高め、成果を上げる推進力となるだろう。
営業、マーケティング組織のリソースマネジメント
最後に営業、マーケティング組織のリソースマネジメントについてまとめたい。特に社内の人材配置とアウトソーシング活用の見極めなど、体制構築は成果を左右する非常に重要な要素となる。
営業組織、マーケティング部門双方で活動や手法が多様化したことによって、求められる人材要件も多様化が進んでいる。
Webやメール、広告運用やイベント、インサイドセールスまで、多様化した手法に対するノウハウはもちろんのこと、ベンダーマネジメントを中心にキャリアを積んできたケースもあれば企画から実行までワンストップでキャリアを積んできた人材と見極めるポイントはさまざまだ。
PDCAを前提とした営業-マーケティング業務は大きく分解して新たに企画する創造性と、創造したものを具現化する再現性と、再現したものをオペレーションする実行と3つに分かれる。
これまで展示会出展やテレマーケティングなど、販促活動はアウトソーシングを活用して外部委託を中心に運用している企業は多かったと思うが、現在のトレンドは内部組織化だ。
ナーチャリングや顧客管理、そしてそれに伴うツールの導入など、現代の営業-マーケティング活動は継続的な運用と改善を前提とした活動が増えてきている。そうすると継続的に運用と改善を担う人材がそれだけ必要となるのだ。
また内部組織化することで、急速に変化する社会変化の適応力を高めることもできる。
しかしあらゆる分野で創造性を発揮するとなると、非常に高度な人材を何人も抱えてなくてはならないリスクもある。
人件費の高い運営コストはPL上も高いリスクを抱えなければならない。特にデジタル分野は高度な人材獲得が非常に難易度が高く、なかなか獲得の難しい領域でもある。
つまりアウトソーシングを活用するなら、目先の費用で比較するのではなく、どんな業務領域を期待するかを明確にし、選定するベンダーを見誤らないことが最も重要となる。
一番悲惨なケースは企画や創造を担う人材が社内にもおらず、目先のコストだけに囚われて実行に特化したベンダーを選択してしまうケースだ。この場合短期的な成果しか望めなかったり、または顧客との接点が上手く形成されずまったく成果が伴わなかったり、安物買いの銭失いとなってしまう。リソースマネジメントは活動分野+活動領域の2点の視野をもって検討を進めることをお勧めしたい。
次回は「コト消費への移行で企業が取り組まなければならないこと」をお届けします