この記事は「バリューチェーン分析とは?分析の目的や方法について解説します!」の後編になります。
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バリューチェーン分析の4つステップ
ここからはバリューチェーン分析は具体的にどのようなフレームワークで実施し、経営に活かしていくのかを紹介します。大きく4つの段階がありますので順番に解説していきます。ステップ1. 自社のバリューチェーンの内容を把握する
最初の分析は、自社のバリューチェーンを把握することから始まります。自社においてどのような主活動と支援活動をしているのかを明確にさせる段階となります。商品を作って、お客様に届けるという大きな流れは同一であってもそれぞれのバリューチェーンは業種によって大きく異なります。
イメージがしやすいようにコンビニやスーパーといった小売業を例にしてみましょう。小売業は商品を仕入れて、利益をのせて売るのが大まかな流れとなりますので、「商品を作る」ステップはありません。「何を仕入れて店に置くのか?」を考えるところから主活動が始まります。商品を仕入れて、店舗を運営し広告を打つなどをして集客します。最後に、実際に対面により消費者に商品を販売します。
同じ小売業でもその後にアフターサービスが入る業種もあるでしょう。何を仕入れるか考える商品企画・仕入れ・店舗運営・集客・販売・アフターサービスが主活動となります。支援活動にはスタッフの雇用・経理・広告のためのキャンペーン企画などがあるでしょう。
これは小売業の例ですが、IT系などのシステムを売る企業や商社・メーカーなど業態によって内容は異なります。
ステップ2. それぞれの項目ごとにコストを把握する
主活動・支援活動を洗い出したら次はそれぞれの項目についてコストを把握していきます。それぞれの項目のことを「レイヤー」と呼びます。コスト把握を行うことで洗い出した活動へかかっているコストを算出します。これにより、どの活動にどれくらいのお金がかかっているかがはっきりとするので収益性もつかめます。利益が上がっているように見えても、実は必要以上にコストがかかっていたといったことなどが浮き上がってきます。ステップ3. 強みと弱みの分析
それぞれの活動にかかっているコストをもとに、自社の強み・弱みを分析します。ここでは自社のみでなく競合他社との比較も行うことが重要となります。エクセルなどで表にして、社内で回すなどしてできるだけたくさんの意見を確認するようにしましょう。立場や部署が違えば見え方も変わってきますので、できるだけ多くの人から意見を集めるのがポイントとなります。ステップ4. 強みをVRIO(ヴェリオ)分析する
VRIOとはValue(価値)、Rareness(希少性) 、Imitability(模倣可能性)、Organization(組織)の頭文字です。ステップ3で見えてきた強みを、VRIOの4つの項目でさらに細かく分析していきます。具体的には、それぞれの強みについて・目標を達成するための価値がある強みか・強みには希少性があるか・競合他社に真似されにくい独自の強みか・強みが生かせる組織運営ができているかについて分析する流れになります。4つのステップを経ることで、適切な予算配分や、コストカットへむけた計画など、具体的なアクションを起こすことができるようになります。
各企業の成功事例
最後に、バリューチェーン分析を行うことにより、大きな結果へとつながった企業の事例について紹介します。スターバックスコーヒー
スタバと呼ばれ親しまれているスターバックスコーヒーでは、質の高いコーヒー豆の選定・スタッフのハイクオリティなサービス・オシャレで居心地のよい店内を強みにし、「独自の仕入れルートの構築」・「他にはないかわいいドリンクの販売などのスターバックスならではの体験」を使った差別化が図れています。オイシックス
オイシックスは安全な食品だけを扱ったECサイトとして、ポーター賞を受賞したことがあります。通販で食べ物を買うのには抵抗がある人も多いなかで「食品の安全性」・「おいしさ」・「サイトでの買い物のしやすさ」を強みに成功を収めています。何を買うかよりも、誰から買うかが重視されている現代。多くのファン作りのためにも、徹底したバリューチェーン分析がますます重要となるでしょう。