• 2021/08/20
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はりこらむ 第28回「リクルートで学んだ、マネジメント ~自分事としてみんなが主体的に頑張る文化~」

  • 萩原 張広  
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リクルートで学んだ、マネジメント

~自分事としてみんなが主体的に頑張る文化~


⇒第27回「平時と有事のリーダーシップ ~思考と判断と行動~」はこちらから


 前回はリーダーシップについて書いたので、今回はマネジメントについて書こうと思います。

 マネジメントについては、ドラッカーの本とかいろいろな書籍もあるし、あくまでも私個人の考えとしてです。ドラッカーと言えば、もしドラの映画も好きでしたね。高校野球のマネージャーの話。前田敦子が主人公でした。「真摯さ」というマネジメントの本質をちゃんと描いていたような気がします。

 私自身は創業前に在籍したリクルートのマネジメントスタイルには影響を受けていますね。そのスタイルは、リクルートの社訓でもある「自ら機会を作り出し、機会によって自らを変えよ」という言葉に一番表現されていると思います。

 私なりの解釈ですが、リクルートなりのマネジメントって、逆に管理しなくても、自らが勝手にそれぞれの意志で頑張って結果を出す文化みたいな感じでしょうか。

 経営的に見ると、コスト(人件費)が同じでも著しくパフォーマンスに差が出るのが、人なので(どのパソコン入れても、コピー機でもその機械の性能自体には、たいしてパフォーマンスの差はないが、使う人によって結果は桁違いの差が出るから)、人をどう活かせるかが企業価値の差になる時代ですね。

 製造業花盛りの世に、ここにいち早く目をつけたのがリクルートであり、創業者の江副さんだったと思います。私自信も、リクルート以前も営業として働いていましたが、リクルート入社後に、さらにモチベーションも上がって成長しようと努力したと思います。

 江副さんと同じ時期に、人事系の取締役だった大沢さんが書いている「心理学的経営」って本を後日読んで、自分は気づいていなかったけど、ちゃんとした考え方が合った上で自分もマネジメントされている環境にいたのだなと得心したのを覚えています。社員がそのマネジメント的な仕掛けを意識していないのに、普通にそうなっているのが強いですね。

 その後起業して、私なりには、そういった主体性や当事者意識を持った人材が多く活躍する文化を実現する環境として必要なマネジメントは、おおむね以下の3つの要素になるのではと理解しています。

 1.動機付け(個人ビジョンと企業ビジョンの融合) 

 2.育成(自己課題認識の醸成、成長の為の機会と情報の提供)

 3.適正配置(採用、配置転換、アウトソース、外部人材活用も含む)

 とくに重要なのが、1の動機付けで、これは怒ったり褒めたりみたいな表面的な事ではなく、そもそもその人が働く内側にある目的と、会社の環境や仕事内容がフィットしている事、そして会社が将来目指すビジョンとその中での個人のビジョンが一致している部分が多い事だと思います。

 そういった状況であれば、働く動機付けは自分の中にある事になりますから、上司がやいのやいの言う必要はありません。そしてその上で、その人が自らの課題に気づき、成長していける機会と情報を与える事。

 無理やりその人を変えようと接する必要はなく、その人が自分の自己課題を認識し本気で向き合えば、自ら変えて行こうと動くはずだからです。逆に、どんなに接しても、相手を変える事は出来ないという達観も必要かと思いますね。人は内側からしか変われないと。

 今は必要以上のプライベートへの関与は難しい時代になりましたが、私自身は、この会社と個人のビジョンの融合の為に、主要メンバーの置かれた環境とか、過去の出来事やこれからどこに向かって行こうとしているのか、描いている将来像とかを知ろうとしますし、そういうコミュニケーションをとろうとします。

 その上で選択としてうちの会社で働くことが本人の意志としてよい状況を作ろうとします。もしそうでない場合は無理やり変えるのではなく、その意志を尊重した上で、よい選択を出来るだけ、手助けしようと思います。

 以前、管理層にいた社員が会社を辞めて独立したいという話があった時も反対はせず、実際に独立して創業した社長とかを紹介してコミュニケーションとったりして、彼がよい判断が出来る為の情報を提供しようとしました。

 結果彼は自分の選択でうちの会社に残り今も頑張ってくれています。リクルート時代の経営の3原則にも「個の尊重」というのがありました。簡単な事ではありませんが、個々人の意志の総和が企業のビジョンと融合している状態が一番強いのだと思います。


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■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。

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