• 2020/09/29
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百貨店大手の三越伊勢丹ホールディングスが取り組むデジタルトランスフォーメーション(DX)

  • マーキャリ 編集部
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百貨店大手の三越伊勢丹ホールディングス。三越と伊勢丹はどちらも老舗の百貨店ですが、2008年に経営統合し母体を1つにしています。この記事では対人接客が前提の小売業である百貨店において、大手の三越伊勢丹ホールディングスがどのようなデジタルトランスフォーメーションをすすめているのかを紹介しています。


デジタルトランスフォーメーションと聞くとIT系企業だけの話のように思われるかもしれませんが、三越伊勢丹ホールディングスの例はITやデジタルと関わりが浅い業界・業種においてもヒントになるはずです。ぜひ参考にしてください。

デジタルトランスフォーメーションとは

デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)は、2004年にスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱されました。DTではなくDXと略すのは、英語圏では「Trans」を「X」と略すことに由来しています。 デジタルトランスフォーメーションとは何かについて、経済産業省では以下のように定義しています。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」。


つまりは製品をデジタル化するといった取り組みではなく、「デジタルを使ってビジネスモデルに変革を起こすこと」と言えます。当然ビジネスとは企業や一般消費者に向けて行うものですので、企業内だけでなく社会全体に変革が起きることになります。


よくある誤解としては「デジタル化=デジタルトランスフォーメーション」というものです。環境の変化に適応するための手段としてデジタルのテクノロジーやツール、データを活用することがデジタルトランスフォーメーションの本質です、デジタル化はあくまで1つのステップにすぎません。この点については誤解がないようにしておきましょう。たとえばオンライン商談ツールやWeb会議を導入するといったことはデジタルトランスフォーメーションではありません。  

デジタルトランスフォーメーションが進まないとどうなる?

経済産業省はデジタルトランスフォーメーションの推進についての具体的方策を盛り込んだガイドラインを発表するほど、デジタルトランスフォーメーションを積極的にすすめようとしています。これは、デジタルトランスフォーメーションが進まないことにより、日本企業全体が大きな損失をこうむることが予想されているからです。  

2025年がタイムリミット「2025年の崖」

多くの経営者は、将来の成長、競争力強化のために、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネスモデルを創出・柔軟に改変するデジタルトランスフォーメーションの必要性について理解しています。しかし、デジタルトランスフォーメーションが進まないのには社内に大きな課題が潜んでいるからです。課題とは「既存システムの複雑化・ブラックボックス化」と「現場サイドの抵抗」です。


企業では、業務を行うにあたってすでに何らかのITシステムが導入されています。長年使われているものは、システムが老朽化するだけでなく複雑化することで、どんなものなのか実態が見えないブラックボックス化しています。新たなシステムを1から導入しようとしても、仕事のやり方そのものを大きく変更する必要があるため、現場からの抵抗が大きいことも、ブラックボックス化がすすむ要因となっています。


しかし、これらの課題が解消されずデジタルトランスフォーメーションが進まなければ、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性があるといわれています。これを「2025年の崖」と呼びます。 経済損失が起きる大きな理由には、市場での競争に敗れてしまうことに加えて人材不足が挙げられます。


属人化してしまった既存システムの運用者は、基本的には長年会社に勤務している方が担当しています。そのため運用者が退職、高年齢化し、既存のシステムが使えなくなる日が来ます。しかしそれを引き延ばせば引き延ばすほど、時はすでに遅しという状態になります。いざ、新しいシステムを導入しようとしても、人材の確保や育成ができていないため最先端の知識を持った人材はいません。2015年時点ではIT分野における人材は15万人不足していましたが、2025年には約43万人にまで膨れ上がるとされています。


デジタルトランスフォーメーションは、なにもITやデジタルに関わる企業だけに求められるものではありません。企業が競争力を強め、今後も成長を遂げていくためには欠かせないものです。 デジタルトランスフォーメーションは「した方がよい」というレベルのものではなく、必達項目であると言ってよいでしょう。

三越伊勢丹ホールディングスのデジタルトランスフォーメーション

出典:https://www.mistore.jp/shopping


百貨店業界はリーマンショックや消費税増税などを経て、現在の百貨店業界のピーク時から約4割も落ち込んでいるとされています。百貨店には、昔ながらの変わらないものというイメージが強いですが、マーケティング手法のシフトが求められていると言えます。百貨店もデジタルの力を使った変革、デジタルトランスフォーメーションが必要なのです。


三越伊勢丹ホールディングスはデジタルを活用した顧客体験の変革に取り組んでいます。三越伊勢丹ホールディングスはデジタルトランスフォーメーションを経営戦略の柱の1つにすえています。歴史と伝統を持つ店舗という強みを活かして、デジタルを使って顧客により良い体験をしてもらえるように始めた取り組みの1つが、スマートフォンのアプリにオンラインでの接客機能を取り入れるというものです。三越伊勢丹ホールディングスはこれまで三越と伊勢丹で別々だったアプリを統合し、店舗の情報を共有できるようにし、それに合わせてオンライン接客を取り入れていこうとしています。


アプリの利用時にユーザーが欲しい商品や気になる商品について店舗にいるスタッフやチャット機能を使ってサイズや色などを問い合わせることや、その場で商品を購入することもできるというものです。


2020年6月からトライアルが始まり、伊勢丹新宿店のランドセルについてのオンラインチャットでの相談とZOOMでのオンライン接客を行っています。現在ではファッションアイテムなど他のさまざまな商品もオンライン接客が可能になっています。オンラインでの接客だけでなく、来店予約もできるようになっているので、食べ物のギフトなどの店舗受け取りなどもスムーズに行えます。


百貨店という「直接お客様に接客する」ことが当たり前である会社であってもこのようにデジタルによる変革を始めています。注目すべきは百貨店ならではの接客力という強みを活かしたかたちになっていることでしょう。デジタルトランスフォーメーションにおいて、デジタルを使うことは手段であって目的でもゴールでもありません。


自社が社会に提供できる価値をどのように届けるのが理想であるかを追求していく際に、デジタルの力を借りる。そのように考えればデジタルトランスフォーメーションをスムーズに推進していくことができるのではないでしょうか。   

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