• 2020/09/02
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デジタルトランスフォーメーション(DX)を誤解していませんか? よくある失敗事例集

  • マーキャリ 編集部
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目次

この記事では近年話題となっているデジタルトランスフォーメーション推進におけるよくある失敗事例を紹介しています。失敗を防ぐためには小手先の改革ではなく、しっかりとデジタルトランスフォーメーションの本質を理解することが欠かせません。この記事では、「デジタルトランスフォーメーション」とは何かについてもあわせて解説していますので、ぜひ参考にしてください。

デジタルトランスフォーメーションへの大きな誤解

デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)は、2004年にスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱されました。DTではなくDXと略すのは、英語圏では「trans」を「X」と略すことに由来しています。


よくある誤解としては「デジタル化=DX」というものです。デジタル化は、デジタルトランスフォーメーションへ向けた1つのステップにすぎません。環境の変化に適応するための手段としてデジタルのテクノロジーやツール、データを活用することがデジタルトランスフォーメーションの本質です。多くの失敗はこの点の誤解にあります。デジタルトランスフォーメーションについて理解をすることが、デジタルトランスフォーメーションの失敗をさける前提となります。デジタルトランスフォーメーションとは何かについて、経済産業省では以下のように定義しています。


「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」 


つまりは製品をデジタル化するといった取り組みではなく、「デジタルを使ってビジネスモデルに変革を起こすこと」と言えます。当然ビジネスとは企業や一般消費者に向けて行うものですので、企業内だけでなく社会全体に変革が起きることになります。  

よくあるデジタルトランスフォーメーションの失敗

デジタルトランスフォーメーションの失敗のほとんどは、デジタルトランスフォーメーションが何かを理解しきれていないのが要因であることがほとんどです。よくある失敗事例についてみていきましょう。  

名称だけを変更して満足する

聞いてみると「そんなことがあるわけない」と思うかもしれませんが、意外なほど多いのが情報系やマーケティング系の部署を「デジタルトランスフォーメーション推進担当」などとどこかの部署の名称を変えたり、新しい部署を立ち上げたりするだけで終わってしまうパターンです。名称を変えただけで、従来と同じように業務をしていれば意味がありませんし、新しく部署を作ったところでデジタルトランスフォーメーションへの道筋が明確でなければ具体的に何をすればよいのか分かりませんよね。


名称を変えること自体は問題ではありません。しかし何のために名称を変えるのかが明確でないと名称を変えること自体が目的化してしまうこともありますし、新しい名称を決めるために何度も会議をするといったもったいない時間の使い方をしてしまう可能性もあります。  

経営陣がデジタルトランスフォーメーションを理解していない

デジタルトランスフォーメーションが重要だと認識し、それを推進しようとするのは素晴らしいことです。しかし「AIを使ってなんかやれ」といった言葉に代表されるように、中身が伴っていない指示で、現場が混乱するだけといったマイナスの方向にだけすすんでしまうようなことが起きています。


デジタルトランスフォーメーションについては、その本質を誤解している人も多いです。経営陣がデジタルトランスフォーメーションを理解していなくては現場に的確な指示は出せません。指示が的確でなければ現場の人間も理解があやふやなままデジタルトランスフォーメーションに取り組んでしまうという悪循環が生まれやすくなります。  

デジタル化をデジタルトランスフォーメーションだと誤解している

デジタルのシステムやツールを導入することをデジタルトランスフォーメーションだと誤解しているケースも、デジタルトランスフォーメーションが失敗に終わるパターンです。システムやツールを導入して、人件費が下げられたり、業務が効率化したりするのはよいことですが、それらはあくまで業務改善に過ぎません。最新のものを導入したからデジタルトランスフォーメーションが完了するわけではないのです。


とはいえ、デジタルトランスフォーメーションを行うためには3段階があり、デジタル化は必要なステップです。デジタルトランスフォーメーションへ至るまでには「デジタイゼーション(Digitization)」「デジタライゼーション(Digitalization)」の2つのステップを経ることになります。


デジタイゼーションとは特定の業務のデジタル化のことです。アナログで行っていたものをデジタル化する、たとえば紙やハンコで行っていたことをペーパーレスにすることなどが該当します。営業職が分厚い紙のパンフレットではなくタブレットで商品説明をしたり、成約時に電子署名をもらったりすることもデジタイゼーションです。


デジタイゼーションの次のステップであるデジタライゼーションは、デジタル化されたデータを利用して業務プロセスの一部ではなく全体を効率化することを指します。デジタルトランスフォーメーションを行うためには、デジタイゼーションとデジタライゼーションが完了しているのが前提となります。デジタライゼーションができていないのにデジタルトランスフォーメーションに取り組もうとすると上手くいきません。デジタルトランスフォーメーションは、テクノロジーを前提にビジネスモデルさえも変えることです。そのためには技術さえ取り入れればよいのではなく、人も組織も変わる必要があります。


このことを理解せずにデジタルトランスフォーメーションを推進しようとしても、「どこのメーカーのシステムやツールがよいか」といった話に終始しかねません。なぜデジタルトランスフォーメーションを推進する必要があるのか、根本的なところからしっかりと議論をした上で、最初のステップとしてデジタル化を行うようにしましょう。

デジタル化には注意も必要

デジタルトランスフォーメーションの前段階としてデジタイゼーション・デジタライゼーションが必要です。これらは技術を取り入れることで推進していくことができますが、実は注意が求められるものでもあります。


近年では「AIによって人の仕事が奪われるのではないか」と言われています。実際にデジタルがこれまで人がやってきた仕事を代行できるようになることは大幅な業務効率化につながりますので、非常に望ましいことのはずです。しかしこれを危惧する人たちもいるのです。それはこれまで行っていた仕事ができなくなる人です。実際にはAIが台頭し社内の効率化がすすむことで余った人員は、社内で他の注力すべきところに人員を充てればよいだけの話なのですが、雇用が守られなくなるのではないかといった不安が生まれることが少なくありません。


もう少し規模の小さな話としては、1つのツールを導入することで業務の流れややり方が変わることが挙げられます。これまでとやり方が変われば、使い方に慣れるまでは非効率に感じることもあるでしょう。しかし使いこなせれば、なんでもっと早く導入しなかったのかと感じるものも少なくありません。とはいえ、仕事のやり方が変わることに抵抗を感じる人は必ずいるものです。


古いやり方にこだわるあまり、新たなツールを導入しつつも、一定期間は古いシステムも並行して使用し続ける会社は少なくありません。その期間は古いシステムと新しいシステムのどちらも使うわけですから、現場の労力は倍になります。業務の効率化のためにシステムを導入するはずであるのに、かえって業務効率が下がってしまうといった本末転倒な事態に陥らないように注意が必要です。


最終的にデジタルトランスフォーメーションを実現するためにデジタイゼーション・デジタライゼーションをすすめる段階においても、きちんとした配慮と説明をすることで「雇用は守られるのか」、「かえって仕事が増えるだけではないのか」といった従業員の不安を取り除くことが重要となります。いくらテクノロジーが進歩しようとも、現場で働いているのは人です。その事実は決して軽視することがあってはならないでしょう。

デジタルトランスフォーメーションが進まないことで起きる弊害

デジタルトランスフォーションを達成することは、目標というよりは必達事項に近いです。その理由はデジタルトランスフォーメーションが失敗することによるデメリットの大きさにあります。


1つ目のデメリットはソフトウェアの開発やシステム設計に伴うコストの拡大です。業種によっては数十年単位でシステムの変更が行われていないというケースも珍しくありません。企業は自社が運用しやすいように既存のシステムをカスタムし続けるのが通常です。そのためシステムが老朽化するだけでなく複雑化することで、どんなものなのか実態が見えないブラックボックス化している状態です。


短期的な使い勝手の良さなどを重視した結果、長期的に運用費や保守費を支払い続けることになります。システムのブラックボックス化がすすむことでデータを活用しきれないだけでなく、新たな技術を導入しても効果が出にくい状況にどんどんとはまってしまうことも避けられません。いわゆるレガシーシステムと呼ばれるシステムを運用している企業は全体の80%以上だとも言われています。レガシーシステムの運用が長期化すればするほど、維持コストは拡大するばかりです。


2つ目のデメリットは人材の問題です。長年同じシステムを使えば、その分ブラックボックス化してしまいますが、レガシーシステムの運用が長期化すればするほど、費用だけでなくそれを使いこなす人材が不足する問題が深刻化します。運用期間が長いほど「社内であの人にしか分からない」といった状況が生まれシステムの運用や保守が属人化します。超高齢社会である日本ではすでに労働人口減少が始まっていますので、古いシステムを使える人材を確保するのは今後どんどん難航していくでしょう。


それゆえ、優秀なエンジニアを確保することも容易ではありませんし、近年ではキャリアアップのための転職も一般的になっています。転職によってある日突然担当者がいなくなるといったことも十分にあり得るのです。属人化したシステムは、引継ぎも困難です。さらには転職をしなくても定年を迎えれば退職してしまうのですから、対応は早いに越したことはないでしょう。


もちろんシステムの刷新には大きな費用と時間がかかります。しかし、これらの問題を放置しておくと、「デジタル市場の拡大に伴って大きくなるデータ量」「システムを現場で運用している担当の定年退職による世代交代」「サイバーセキュリティや事故・災害などによるデータの紛失リスクの高まり」といった状況に陥ると考えられています。


これら3つの要素に対応しきれなくなるのが2025年と言われており、2025年までにデジタルトランスフォーメーションが起こせなければ、国内外を含めて競争に勝ち残れない存在となると予想されています。

デジタルトランスフォーメーションに失敗しないために

デジタルトランスフォーメーションにおけるほとんどの失敗は、デジタルトランスフォーメーションの本質を理解していないことにあります。話題になっているから、流行っているからといった理由でデジタルトランスフォーメーションを推進しようとしても、達成できるわけがありません。なぜ行うのかといったそもそものところから、デジタルトランスフォーメーションでどこを目指すのか、自社ではどのように行うのかといった思考のステップを踏むことが欠かせません。今後デジタルトランスフォーメーションを目指すなら、まずは自社のブラックボックスの解体からはじめてみてはいかがでしょうか。

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