会社に欠かせない広報。それを企業の事業として代行して行うのがPR会社です。PRと聞くと広告宣伝のようなイメージがあるかもしれませんが、PRと広告は実は大きく異なるもの。この記事では、ヒットの仕掛人とも言えるPRプロデューサーとはどんな仕事なのかについて、PR会社の業務内容とあわせて解説しています。PR会社への就職・転職や広報職を目指す方にとって特に参考になる内容となっています。ぜひ最後までご覧ください。
PRとは?
PRプロデューサーは、文字通りPRを企画する仕事ですが、PRプロデューサーの仕事内容を理解するためには「PRとは何か」を知っておく必要があります。就職活動などでよく聞く「自己PR」という言葉のPRでは、自分のアピールポイントを述べるものですが、実はこのPRは和製英語です。今回解説するPRとは異なるものですので注意してください。
PRとは「Public Relation」の略称で、企業が社会と良好な関係を築き上げるという意味があり、広報と訳されることが多いです。つまりPRには「広告・宣伝」という意味は含まれていないのです。PR会社は、広告宣伝を行う会社ではなく、企業に代わって広報業務(PR)を行う会社です。効果的な企業広報ができるようアドバイスをする、テレビや雑誌などのメディアに企業やその商品が取り上げてもらえるようにメディアに働きかけるのがPR会社の大きな役割です。
広告はお金を支払ってテレビや雑誌などに広告を載せるものですが、広報は会社プレスリリースの配信やオウンドメディアの運営を自社が主体となって行いメディアに取り上げてもらうことを狙っています。しかし、取り上げてもらったとしてもその際に費用は発生しません。ここが広報と広告宣伝を比較した際の大きなちがいです。
PRプロデューサーとは
PRプロデューサーの仕事は、PR(広報)活動をプロデュースすること。プロデュースとは、マネジメントをすること。つまりPR活動を統括しているのがPRプロデューサーです。TV業界などと同様にPRディレクターという職種もあります。ディレクターは言うなれば「現場監督」。現場での細かい指示出しなどがPRディレクターの仕事です。ただ、PR活動の規模などによってはその限りではありません。
PRプロデューサーの活動事例
PRプロデューサーについて、より深くイメージできるようここからはPR会社「TMオフィス」の代表で、日本屈指のPRプロデューサーとして知られる殿村美樹氏を例に、PRプロデューサーの仕事についてみていきます。
今年の漢字・うどん県・ひこにゃんなどの有名事例多数
殿村氏の名前は知らなくても、年末に毎年発表される今年の漢字やゆるキャラのひこにゃんのことを知らない人はいないでしょう。これらの仕掛人が殿村氏です。
ゆるキャラブームの火付け役となったひこにゃん。元々は滋賀県から「国宝・彦根城築城400年祭」の来場者を増やすという依頼から始まったものです。彦根市は当初、甲冑の展示や歴史セミナーを開催する予定で、それを盛り上げたいというつもりだったのですが、甲冑の展示やセミナーでは歴史好きの方しか呼べません。当時は「歴女」などの言葉もなかったので、人を集めることは難しいものでした。殿村氏は女性が一人ではなく誰かと連れ立ってくることや買い物をして口コミを広げる性質であることを活かして、400年祭に女性客を呼び込むことを考えました。そこで目をつけたのが、彦根市が400年祭に合わせてつくった「ひこにゃん」だったのです。
当時は全然注目されるものではなかったひこにゃんですが、かわいいものに女性は惹かれますので、彦根城ではなくひこにゃんを主役にしたPRが行われます。ひこにゃんがガイドを行うプレスツアーには女性記者ばかりを招き、記者の間でかわいいと評判になったひこにゃんを特集した記事や番組が多数報道され、結果として大成功をおさめます。
今では恒例となっている「今年の漢字」も、もともとは漢検の受験者を増やすためのPR活動から始まっています。
PRプロデューサーになるには
PRプロデューサーになるには、まずはPR会社でPRについての実績を積むのが近道です。ブームの仕掛人と聞くと、とても華やかなイメージがありますが、発想やひらめきは突発的に生まれるものではなく、常日頃からのリサーチや興味関心を広げておくなど目に見えない努力が重要なことは間違いありません。
PRは広告とは異なります。何よりもインパクトが重要となる広告と違い、PRはあくまでもプレスリリースや自社のオウンドメディアを通して事実を発信していくものです。そのため、PRを行うためには、クライアントのことを徹底的に深堀りして考える必要があります。クライアントにとっては当たり前のことやとるに足りないことが、周りからすれば特別なことである場合も少なくありません。効果的にPRを行うための「ちょっとした工夫」には、周りが気づいていない魅力を引き出すことが重要になります。
PR会社に入り、将来的にPRプロデューサーになることを目指すならば、まずは物事について広い視野を持って暮らしていくことを意識してみるとよいでしょう。