競争の激しいビジネス業界において、企業は常に新しい事業を創造し続けていく宿命にあります。それは新規事業を立ち上げることで、新たな収益源を担保して、安定した経営基盤を構築しなくてはならないからです。しかし、新たな事業を手掛けることは、並大抵のことではありません。円滑に新規事業を立ち上げるためには、押さえるべきポイントを理解して進めていく必要があります。そこで本記事では、以下のようなことをテーマに解説していきます。
・新規事業の立ち上げでは会社資産の実情を把握
・新規事業の立ち上げを成功に導くポイント
・新規事業の立ち上げを成功させるにはスモールスタート
・新事業の立ち上げの成功プロセス
新規事業の立ち上げでは会社資産の実情を把握
事業を運営するには、会社のリソースが必要になります。それは一般的に4大リソースと呼んでいる「ヒト・モノ・カネ・情報」ですが、新規事業を企画して立ち上げる際にも、このリソースに課題が集中してきます。したがって、新たに事業の構想を練る時点で、これらのリソースについて、しっかりと検討しなくてはなりません。では、これらのリソースにおいて、どのような課題があるのでしょうか?ヒト
事業を運営するためには、人材の質・数を確保することは必須のことです。しかし、新たな事業を手掛ける際には、どのようなスキルを持った人材が必要になるのか、どの程度の人員を確保し投入しなくてはならないのか等をしっかりと把握することが必要になります。特に経験豊富な人材が必要になってきますので、社外から求人募集することも必要です。モノ
2つ目は、会社が持つ資産の中で、何が必要になるかを見極めなければなりません。ここで言う資産(モノ)とは、社内の技術や特許、設備等を指していますが、どの資産をどのように使うのかを理解しておくようにします。カネ
いわゆる資金=予算ですが、どの程度の予算を確保しておくかも、新規事業の立ち上げの時に、重要なテーマになってきます。どんなに見込みのある新規事業でも、やはり資金をしっかりと準備しておくことが必要です。情報
事業の立ち上げで最も重要なことが、情報です。事業を検討する前に様々な観点から、リサーチしなくてはなりません。どのようなジャンルで事業創造するのか、マーケット規模や競合の有無等々。そのために客観的に判断できる情報収集と選別が、それ以降の検討材料になるので、色々なアプローチをしなくてはなりません。新規事業の立ち上げのプロセスが重要
新規事業を立ち上げる時に、頭を悩ますのが、「事業の進め方が分からない」ということです。進め方のノウハウが無いために、どのようにプロセスを構築すべきか、プランの意思決定をする際に、そのノウハウがあれば、会社のトップと担当者の間に、「何を押さえるべきか?」という共通認識が共有でき、スムーズに検討を進めることができます。
しかし、このプロセスのベースがふらついていると、全く関係のない意見の応酬があるだけて、まとまるアイデアもまとまりません。その結果、企画を何度も作り直すことになってしまい、いたずらに時間が過ぎていくだけです。
新規事業の立ち上げを成功に導くポイント
新規事業の立ち上げを成功に導くためには、次のようなことを押さえておくことが必要です。
着眼点は顧客の課題が起点
新しく事業をスタートできたものの、結果的に失敗に終わるケースとしては、企業発のアイデアから新規事業が動く場合です。いわゆるシーズ発信型の新規事業だと、顧客のニーズが反映されていないので、売れるものも売れません。新規事業を検討するなら、まず顧客の課題をしっかりと把握することを起点とすべきです。顕在化している需要を見つける
顕在化しているニーズを探してフォーカスしてみることも必要です。潜在化している課題を見つけることは、かなりの労力と時間が必要です。しかし、既にはっきり分かる需要があれば、新規事業に結び付けられるか、検討する時間を短縮することができます。プロジェクトメンバーのバランスを考える
新規事業を立ち上げる時には、顧客ニーズをフィードバックする営業と、そのニーズを元に開発を担当する技術スタッフで、プロジェクトチームが構成されます。この時に営業の発言が強いと、いくら顧客のニーズと言っても単なる請負的な仕事になってしまい、事業とは違った方向に向かってしまいます。このようなケースに陥らないように、営業側と技術側のバランスの取れた新規事業プロジェクトチームにしなければなりません。顧客へのフィードバックのタイミングを計る
長い時間と多額の資金を投入して、開発した商品が全く売れないということが、新規事業にスタート時点で、よく起こります。このようなことにならないためには、これから進める商品やサービスのコンセプトやメリットや機能を、想定できる顧客に見せて、その意見を募ります。そして、そのフィードバックを得ることで、余計な無駄のある再開発等を防ぐことができます。 迅速な意思決定
新規事業プロジェクトのメンバーを増やしすぎると、多くの意見を取り入れ過ぎて、収拾がつかなくなることもあります。その結果、不要な時間が増えてしまい、ピントがボケてしまうリスクもあります。メンバーを揃える時は、少数精鋭的なプロジェクトチームで新規事業を立ち上げる必要もあります。未知のノウハウを外部から取り入れる
新規事業の立ち上げる時に、今まで誰もやったことのない斬新且つ革新的なアイデアと技術で取り組みたいと思うことがあります。しかし、自社にその構想を具現化させるリソースがないと、単なる発想だけに終わってしまいます。これでは、既存の事業の領域から脱却することができません。したがって、外部からノウハウを取り入れるという手法も効果的です。外部のプロの意見やノウハウを参考にしながら、新規事業の開発を進めていくことも1つの方法です。新規事業の立ち上げを成功させるにはスモールスタート
新規事業の立ち上げをスムーズに進めていくためには、いきなり全社を挙げて取り組むことは、失敗した時の影響が大きくなります。新たに進める上で最小限のコストでスモールスタートすることが、現実的な手法です。
最小のコストで小さく始めながら、市場や顧客の反応を睨みながら、新事業のあり方や改良の必要性を早い段階で見極めて、軌道修正していくのです。これは多額の費用と時間をかけて新規事業を立ち上げたものの、結局無駄になってしまったということを避けるためです。新事業の立ち上げの成功プロセス
新規事業の立ち上げを成功させるためには、その進め方も重要です。
ビジョニングービジョンを明確にする
新規事業を立ち上げる際は、まず初めにビジョンを考えて、事業を行う理由を明確にしておく(ビジョニング)ことが大切です。新規事業を成功させるためには、顧客のニーズを正しく把握し、プロジェクトや社員のコンセンサスを統一しておく必要もあります。そのためにビジョンをハッキリさせておくことで、従業員の団結力が強くなります。事業領域を定める
次に新規事業を進める領域を決めることです。
どのような事業を行うかを決定することですが、大きく2つの展開方法が挙げられます。1つは、具体的な製品やサービスをベースに事業の展開領域を決める方法です。これは新規事業の内容を社員に理解させやすい一方で、将来的に新規事業を拡大発展させにくい傾向があります。2つ目は顧客ニーズを基に、新規事業領域を決める方法です。社員に立ち上げの内容を理解させることが難しい反面、将来的には幅広い領域での事業展開が期待できます。ビジネスプランの検討
ビジネスプランの検討では、どのような商品・サービスをどのように販売していくか等の検討になります。ビジネスプランを検討するプロセスにおいては、継続的に利益を得ることができるかも重要なテーマになります。対象となる市場の有望性や事業の収益性をしっかりと検討していくことが大切です。アクションプランの策定
新規事業のビジネスプランが決まると、次に具体的なアクションプラン策定に入ります。ここで重要なことは、現実的に達成できるプランにすることです。 まとめ
ここまで新規事業の立ち上げを成功させるために必要なことを説明してきました。今やグローバル化の中で先行き不透明なビジネス業界においては、新規事業の立ち上げは、企業の生き残りをかけた最大の取り組みになってきます。このことから、これから新たな分野にチャレンジしていくことを模索している企業は、ここで挙げてきたことを踏まえて、立ち上げを進めて行って欲しいと思います。