BtoBマーケターとは? 〜仕事内容・やりがい、キャリアパスを徹底解説!〜

BtoBマーケターとは? 〜仕事内容・やりがい、キャリアパスを徹底解説!〜

目次

デジタルシフトが進み、企業によってはオンライン中心の活動になるなど、大きな変化が訪れました。BtoBのマーケティング活動においても新しい施策や戦略の練り直しが始まったことで、転職市場では優秀なBtoBマーケター人材の需要が徐々に増えつつあります。ここではBtoBに特化したマーケターとは? 活躍するために必要なスキルや適性とは何か? について解説していきます。

1. BtoBにおけるマーケティングの特徴とは

「マーケティング」とは簡単にいうと、商品やサービスに新しい価値を創出し、取引を増やすために必要な「売れる仕組み」を作る活動です。このマーケティング活動は、企業を相手とするBtoBビジネスか、個人間での売買とするBtoCビジネスかにより、アプローチする方法が大きく異なります。

BtoB向けのマーケティングの場合、BtoCと比較し購買プロセスと購入期間に大きな違いがあります。

例えば、


  • 組織配下で複数の担当者が稟議を通し購入を検討する
  • 複数人での意思決定となるため購買プロセスが多くなりがち
  • リードタイムと呼ばれる購入までの期間も長期間になる

などです。そのため、BtoBマーケティングを行う上で最も重要視すべき点が、プロセスマネジメントです。顧客の購買プロセスを分け、工程ごとにフィットするアプローチ施策を考え、購買行動を促進するというアクションです。BtoCの場合、「AISAS」と呼ばれるモデルが存在し、BtoBも当てはめて考えることは可能ですが、ビジネスモデルによりプロセスが変化することもあるため、各業種や業界、顧客に合わせてプロセスを構築することが大事になってきます。

2. BtoBにおけるマーケティングの流れと仕事内容

より具体的に、BtoBにおけるマーケティング活動の流れと仕事内容を説明していきます。企業の購買行動に合わせて行う、マーケティングプロセスは以下の10ステップです。

1.顧客のニーズや課題を知る
2.売れる商品を開発する
3.見込み客獲得(リードジェネレーション:Lead Generation)
4.見込み客育成(リードナーチャリング:Lead Nurturing)
5.見込み客の絞込み(リードクォリフィケーション:Lead Qualification)
6.案件化・商談化する
7.受注する
8.顧客との関係を維持する
9.顧客の満足度調査を行う
10.調査データを基に改善を行う

基本的には、この1から10までのステップをベースとし、各ステップ毎に改善を施しながら繰り返し行うことになります。

これらの中でも特に注力すべきステップは、3、4、5です。これら3つの活動をまとめて、マーケティング用語で「デマンドジェネレーション」と呼ばれ、「デマジェン」「デマンジェン」など略称されることもあります。

このステップが重要な理由は、「営業案件を増やす仕組み」が含まれているため、適切に構築しない限り、それ以外のステップを強化したところで売り上げにつながらないためです。次項で、「デマンドジェネレーション」の具体的な業務内容について見ていきましょう。

3. マーケターの業務内容

BtoB向けにマーケティングを行う「マーケター」の業務は多岐に渡りますが、メインとなる活動が、前述したとおりBtoB向けのマーケティング活動を行う上で、最も重要とされる「デマンドジェネレーション」です。また、キャリアアップした場合にはマーケティングの戦略立案等も業務内容に含まれることもあります。ここではこの2種類の活動業務について解説します。

3-1. デマンドジェネレーション活動

リードジェネレーション

デマンドジェネレーション活動の1つである「リードジェネレーション」は、見込み顧客を獲得することを意味します。オンラインとオフラインの両方の獲得手法があり、オンラインではWeb広告、コンテンツマーケティング、ウェビナー、メールなど、オフラインでは展示会の出展やテレアポ、などがあります。さまざまな手法を試し、リードの質や費用対効果などを見ながら効率的に獲得する方法を探るのが主な業務です。


リードナーチャリング

「リードナーチャリング」は、リードを育成することを意味し、顧客との信頼関係を築きながら、商品やサービスの興味度合いや購入意欲を高めていく活動です。顧客の課題やニーズの情報収集、解決策の提案などを行い、顧客の関心度が高まったタイミングで営業につなぎ、商談につなぎます。BtoB企業は、購買に対する検討期間が長期化する傾向にあるため、顧客と信頼関係を築き、中長期的な目線でリード育成を行うことがBtoBマーケティングでは重要とされています。


リードクォリフィケーション

「リードクォリフィケーション」は、最も案件化する可能性の高いホットリードを絞り込む活動です。MA(マーケティングオートメーション)などデジタルツールの「スコア機能」などを用いて、行動を点数で評価基準化し、質の高いリードだけを絞り込んでいきます。リードの質を一定化するためにチューニングを行うことが主な業務です。

また、デジタルセールスでのプロセス内では、マーケティング部門が担うのは「リードジェネレーション」のみを役割範囲とし、「リードナーチャリング」と「リードクォリフィケーション」はインサイドセールス部門が担うことが一般的です。

3-2. マーケティング戦略立案

BtoBのマーケターとしてさまざまなキャリアを積み重ね、事業のマーケティング戦略立案も業務として行うこと場合もあります。

BtoBのマーケティング戦略設計時にまず行うべきことが、目標設計と自社のポジショニングの理解です。現在立っているステージを理解し、またどこへ向かうのか目標設計を怠ると、戦略の内容もブレてしまうため、基礎土台として確立することが重要になります。SaaSプロダクトを扱うBtoB企業の場合、「PMF(Product Market Fit)」「GTM(Go to Market)」「GM(Growth to Moat)」3つのスケールフレームワークで分類し、それぞれのフェーズに合った戦略立案を行っていきます。

戦略を練る上で重要な要素となるマーケティング分析業務も大事です。分析を細かく行うことで内部外部の環境を調査し、市場機会を見つけることが可能になります。代表的とされる分析手法は「PEST分析」、「SWOT分析」、「3C分析」、「4P/4C分析」などがあり、狙う市場でのポジショニングを見極めるために行う分析手法の「STP分析」も戦略立案には欠かせません。

分析後は、戦略立案、実行、評価のプロセスを細かく改善しながら回すことになります。


4. BtoBのマーケターとして活動することの厳しさとは

BtoBのマーケターが意識すべき点でもありながら、難易度が高いと言えるポイントが「顧客との信頼関係を大事にしたマーケティング活動を行うこと」です。

購入意思を決定する際の判断材料は、BtoCの場合は嗜好性が購入を決める際に強く影響することが多い一方、BtoBは「信頼性」が重要視されます。単に物を売ることを意識したマーケティング活動では一方通行になってしまい、信頼を勝ち取れず、継続的な契約につながることはありません。

その信頼性を獲得するためには、企業組織と個人の担当の課題に向き合い、立場を理解すること、そしてそれらを共有してもらうための信頼関係を築くことが大事になってきます。顧客に寄り添い、信頼を得る姿勢がなければ、顧客のペルソナ作成や、カスタマージャーニー作成を繰り返したところで机上の空論であり、理想的な顧客像を描くことは難しいとも言えます。

もう1つの難点を挙げると、社内の取りまとめの大変さです。各部門でのミッションが異なり、マーケティング戦略に対する反発意見も出ることでしょう。しかし、個別に戦略を立てていては戦略の方向性を誤ってしまうことにつながる可能性も高まります。マーケターは全部門の指針を捉え、経営視点も持ちながら各部門への提案活動を行う必要があり、その難易度は高いと言えます。

5. BtoBマーケターとしてのやりがいとは

顧客と関係性を重視したマーケティング活動を行うことが難しさであると前述しましたが、逆にいうと、それを意識したマーケティング戦略を練り、実行プランに移し、数値として成果を得た時には、やりがいにつながります。

マーケティング戦略活動は、試行と行動を繰り返し、時間と労力を存分に使います。仮説立てを行い、市場調査でポテンシャルを測り、顧客理解とともにターゲットを分類し、施策と訴求を考えます。素案は営業、商品企画、経営企画などのさまざまな部門に連携されますが、意見が割れることも多いです。幾度も議論を重ね、活動の障壁をクリアした上で実行し、施策の成果が数字として明確に現れると、サービスやプロダクトの価値を感じられ気持ちが良いものです。また、結果として相乗効果で売り上げにつながった際には、フィールドセールスなどの連携部門から感謝され、モチベーションが上がることもあるでしょう。

6. マーケターとして仕事を行う上で得られるスキル・経験とは

BtoBのマーケターとして活動することで得られるスキルの1つが、事業全体を俯瞰して見られるようになる技術です。

マーケティング戦略を立案するためには、事業や組織全体の状態を把握することが大事になります。正しい方向性での戦略を練るためにも、各部門の情報をインプットし、マーケティング領域だけでなく、その後に連携するインサイドセールスやフィールドセールス、カスタマーサクセスなどの部門の工程までも考慮する必要が出てきます。

また、マーケティング施策が売り上げにどう直結したのか、事業へどれだけのインパクトを与えたかなど、事業全体で振り返りを行うことから、組織全体を俯瞰して見る力が自然と身についてきます。

7. マーケターとして仕事を行う上で求められるスキル・経験とは

BtoBのマーケターに必要な能力として挙げられるのは、コミュニケーションスキルとプロジェクトマネージメントの2つです。

BtoBのマーケティングプロセスは施策を実施して終了ではなく、その後に続くインサイドセールスやフィールドセールス、カスタマーサクセスなど領域別での効果測定を行う必要が出てきます。マーケティング部門ではターゲットに合う訴求で集客に結果が出ていたとしても、受注率の向上にはつながらないなど、部門により施策の評価が異なるからです。

各部門を巻き込み、情報や評価の吸い上げを行うためには、高度なコミュニケーションスキルが必要になってきます。また、複数人と連携し、その評価を以て次の施策考案を推進していくマネージメントスキルも同時に、備えておくべき大事な能力となってきます。

8. マーケターに向いている人とは

1つのことに、こだわりやすい性格の人に向いていると言えます。本来のマーケティングの意味合いに戻りますが、マーケティングとは「売れる仕組み作り」を行う業務です。そのため、まずは自社のサービスやプロダクトへ愛着を持ち、こだわりを持つことが大事になります。何事もそうですが、自身が愛着を持てるもの・コトでなければ、それに意識を向けつづくけることは困難です。どんなに良い訴求を考案したとしても届くことはありません。この愛着は、やがて熱量に変わり、そしてそれがこだわりに変わり、マーケティングの精度に関わってくるため、非常に重要な要素だと考えられます。

また、「こだわり」を持つことはマーケターのスペシャリストになるための要素としても重要です。実際にスマートキャンプ マーケティング本部長・佐々木皇太氏は、インタビュー時に次のように語っています。

「性格上飽きやすい人だとスペシャリスト側には来づらいと思います。「オタク」じゃないと絶対成功できないんですよ」

「スマートキャンプ マーケティング本部長・佐々木皇太が語る『SaaS×キャリア』の探し方」

9. マーケターの前職とは?

BtoBマーケターとして活躍する人の前職は多岐に渡りますが、マーケティング経験者を優遇する企業が多いため、別業界でのマーケティング経験、BtoC領域でのマーケティング経験者が多い傾向です。

また、フィールドセールス経験やカスタマーサクセス経験などデジタルセールス職種の経験を得た後に、マーケティング部門にキャリアチェンジする人もいます。これらの職種は、顧客思考を持ち顧客の真の課題を捉え、ソリューションを考えることを日々の業務の中で行います。この顧客思考こそがマーケティング的な思考を身につける基盤となるため、デジタルセールス職からの転身は企業に好まれる傾向にあります。

10. 転職を成功させるためのポイント

BtoB領域でのマーケティングを強化すべく、優秀なマーケターを早期に囲い込もうとする企業が増え、求人案件数も増加しています。一方で、マーケティング案件は人気が高く、争奪戦にもなり得る職種でもあります。BtoBマーケターとしての転身を成功させたい方は、次のポイントを参考に、転職準備を整えておきましょう。



ポイント1. 希望の企業がどんなスキルセットが求めているのか? を確認する

当たり前のようなことでありながら、見落としがちなポイントが、転職先として希望する企業が求めるスキルや経験値を確認しておくことです。マーケティングと言っても業務や役割を一括りにできず、企業によっても求めることが微妙に異なるため、事前に確認し備えておくことが大事になります。

スキルセットが、100%にならなければ成功しないというわけでは決してありません。60〜70%は自身の経験値でのスキル。残りの足りないスキルは「今後マーケティングスキルを向上させる」といった場合でも、成長要素があるため企業としても今後の期待感を持てるでしょう。持っていると成功しやすい具体的なスキルについては、ポイント2で紹介します。



ポイント2. マーケティング関連スキルを得る

即戦力の高いマーケターであることを企業に思ってもらうために、Web系のスキルやツールの経験値を持っておいた方が良いでしょう。業務として行うデマンドジェネレーション活動では、CRMやMAなどのツールは当然のことながら活用しますのでそれらの利用経験や、ウェブサイトで訴求する為に必要となるCMSのスキル、実際のWebサイトやコンテンツ作成経験、ソーシャルメディアの運用経験などです。

BtoB領域もデジタルのシフト化が急速に進んでいますので、デジタルリテラシーは高ければ高いほど重宝されます。また、新しい知識を貪欲に追い、「知ってる・経験がある・できる」と少しでも言える領域が増えると、採用したいと思ってもらえるチャンスが広がります。



ポイント3. ゼネラリストとしても動ける人材であることを表現する

ポイント2のような専門的なスキルは企業が持っていて欲しいと考える経験やスキルですが、それらの経験が少ないと感じる方は、ゼネラリストとして活躍できることを上手く表現できると好印象です。

Webの改修や広告訴求などデジタルマーケティングを行うことも重要な業務ですが、プロダクトが確立しておらず、マーケティング活動はこれから、といったフェーズの企業の場合は臨機応変に幅広く動ける人を企業は必要とするからです。

特に、会社全体や事業の全体像を俯瞰的に見てPDCAを回したことがある、といった経験から経営側の視点も持っていることを伝えられると、企業としては将来性を鑑みて、採用したいと考える企業も増えることでしょう。

11. 未経験からなるには

マーケティング経験が無い方であっても、BtoBのマーケティング組織に携われるチャンスはあります。

そのためにやるべきことは、日々の業務でマーケティング的な思考を取り入れ、スキルとして磨くことです。分析を行い、仮説を立てた上で戦略を練り、施策を実行。結果を確認し改善を加えるといった流れはマーケティング的なプロセスと思考ですが、例えばこれを普段のメールでのやり取りに置き換えて、マーケティング的な視点で仕事を行ってみるなどです。

メールを送付し返信がない場合はその理由を分析し、改善を施すといった業務を試行錯誤してみてください。自然と、マーケティング活動の土台となる考え方が身につきます。また、ソリューショニストとして社内活動をしていた経験を上手に伝えられれば、マーケティング経験がなくとも期待できる人材として採用される可能性も高まると言えるでしょう。

12. マーケターのキャリアパス

BtoBのマーケターにとってのキャリアパスは、大きく分けて2種類あります。1つは、スペシャリストとしてマーケティングを突き詰めるルート、そしてもう1つは、経営サイドに転身していくルートです。この2種類のキャリアパスについてここで詳しく説明していきます。

12-1. マーケターとしてスペシャリストになる

まずはマーケターとしてスペシャリストになるキャリアパスです。まずはBtoB専門のマーケターのスペシャリストとして戦略と、運用手法、という観点で経験を積み上げていきます。

例えば戦略別であれば、STP分析、PEST分析、3C分析などのフレームワークを活用し、戦略立案し成果を出すことや、手法であれば、ますマーケティングやダイレクトマーケティング、アウトバウンドマーケティングなどを経験し実績を得ることです。ジェネラル的な経験を得た上で、次は誰にも負けることがないような、専門性の高いスキルを身につけていきます。

それに加えて、SaaS業界に特化する、BtoBやBtoC専門など、得意とする業界をプラスしていきます。スペシャリストとしてキャリアを得ることができれば、企業の組織内だけでなく、マーケティング分野を専門とするコンサルタントに転身するなど、フリーランスとして独立するキャリアもあります。

12-2. マネジメントや経営に関わっていく

スペシャリスト以外のキャリアパスは、企業のマネジメントや経営に関わっていくルートです。マネジメント領域のステップは、大きく分けて4つ、最初はブランドの責任者となる「ブランドマネージャー」、全体的な利益の拡大を目指す「マーケティングマネージャー」、宣伝活動やブランディングなどを統括的なマネジメントを行う「マーケティングディレクター」、そして、マーケティング部門の全責任を担うのが、最高峰となる「CMO(Chief Marketing Officer)」です。CMOを設置していない企業も中には存在するかもしれませんが、マーケティング部門を置いているのであれば最上級職は必ず存在しますので、その位置を狙うことは可能です。

これらの上級職にキャリアアップしたい場合には、マーケティングの知識や経験に加え、経営者視点が必要です。マーケティング施策が事業にどう影響したか、売り上げがどのように変化したのか、企業経営の視点に立ち、ブランド価値を高め、経営戦略を推進することがミッションとなってきます。

まとめ

BtoBマーケティングは、企業が成長の波に乗るために欠かせない要素となり、注力する企業が急激に増加しました。そのために、企業は優秀なマーケター人材を集め、よりマーケティング活動にドライブをかけようとしています。マーケターに興味がある人、キャリアチェンジを検討していた人、キャリアビジョンを描いていた人にとっては、現在追い風が吹いていると言っても過言ではありません。

動きたいと思ったタイミングで行動に移せるよう、本記事を参考に、企業が求めるBtoBのマーケターの経験やスキルなどを早めに備えるようにしておきましょう。

また、マーケティング職を検討しているが向いているか否か、より具体的に適性を知りたいという方はデジタルセールス適職診断を利用してみてください。第三者による意見をもとに自己分析を深めることができますよ。



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