BtoB企業がマーケティングを行う上で欠かせない活動の1つ「リードナーチャリング」をご存じでしょうか。リードナーチャリングは、Webが発達したことにより長期化傾向にある企業の購買プロセスにおいて、非常に重要な活動です。この記事では、「見込み顧客の育成」と訳されるリードナーチャリングについて詳しく解説しています。見込み客を「育成」するとはどういうことなのか、どんな手法があるのかについて紹介していますのでぜひ参考にしてください。
リードナーチャリングとは?
リードナーチャリング(Lead Nurturing)は、獲得した見込み客を育成する段階です。つまり、リードナーチャリングは顧客獲得に至る2つ目のステップ。見込み客を獲得する1つ目のステップの次の段階になります。 リードとは「見込み客」のこと。そしてここで言う育成とは「関係を強化し信頼関係を築く」ということを指します。どんなに良いものであったとしても、よく知らない人や会社から買おうとは思わないものです。リードナーチャリングが重要な理由
Webの発達に伴って、お店に行って商品の購入を即決することは少なくなってきています。家電製品など、少し値段のする買い物をするときにはほとんどの人がネットで価格や評判を比較しているはずです。インターネットの発達により、買おうと思ってから購入に至るまでのプロセスが増えている状況にあります。これは企業においても同じことが言えます。日本では、ボトムアップといって担当者から上司に、上司からさらにその上司へと話をすすめてもらうことで商品の購買や契約に至る流れになっています。ただでさえ商品の購買プロセスが多いのにもかかわらず、ネットがあることでそのプロセスはさらに長期化しているのです。見込み客を育成するリードナーチャリングが重要な理由はこの「購買プロセスの長期化」にあります。
長期化しているからこそ、その間にきちんとフォローをしないと結果として見込み客が離れてしまいます。リードを長期的にフォロー出来なかった場合、なんとその80%は2年以内に競合から製品・サービスを購入しているという調査結果があるほどです。これは大きな営業機会の損失と言えます。
リードナーチャリングのメリット
リードナーチャリングを行う最大のメリットは「機会損失をなくす」ことにありますが、企業としてリードナーチャリングに取り組むことで得られるメリットはそれだけではありません。フォローの仕組みができる
フォローが重要とはいえ、営業担当が同時にたくさんの見込み客を担当することは難しいでしょう。営業には課せられた目標値がありますので、すぐに購買にならない見込み客のフォローはどうしても後回しになってしまいます。リードナーチャリングが仕組みとして取り入れられれば、適切に見込み客フォローを行うことができるようになります。すでに持っている顧客情報を使って適切にアプローチができる
購買意欲が低い段階でしつこくアプローチを行っても効果はありません。リードナーチャリングが適切に行えれば、相手が興味を持ったタイミングでアプローチができます。さらには、過去に購入してくれた顧客に対して適切な期間を経ての再アプローチも可能になります。リードナーチャリングの手法
ここからは、リードナーチャリングは具体的にどのような手法で行われるのかについて確認していきます。メールマガジン
リードナーチャリングの最も基本的な手法といえるのがメルマガです。ダイレクトメールに比べてコストもかからないため、リードとのコミュニケーション回数を増やすことができます。単なる情報発信ツールとして使うのではなく、メールマガジンへの反応を分析することで、どんな人が反応しているか、どのような情報が求められているかをつかむことができます。商品の情報ばかり配信していては、配信停止につながりますので、相手のニーズに沿った情報を届け、長期に渡ってコミュニケーションをとることが重要になります。Web上での情報発信
メールマガジンで網羅しきれない情報などの詳細をWeb上で発信します。近年では企業の公式サイト(コーポレートサイト)とは別に業界の情報についてのコラムやブログを掲載するオウンドメディアを持つ企業が増えてきています。ここでも、ターゲットにとって有益な情報を盛り込んでいくことが重要です。アクセス解析などの効果測定が行えるツールを使うとよいでしょう。 さらには、FacebookやTwitterなどのSNSで企業アカウントを作り、オウンドメディアに掲載した新しい記事の情報や商品の情報などを投稿してサイトへのアクセスにつなげるという方法も同時に行えればより効果的です。
セミナー
セミナーは見込み客の検討段階に合わせて内容を変えることをおすすめします。見込み客を獲得する段階であれば業界全体の基礎的な知識を伝える場にしてまずは情報を獲得し、その後メール配信などで感触が良かった方を対象にして特に知りたいだろうテーマに関してセミナーを開催するというように、相手のニーズに合わせて行うことが重要となります。セミナーに参加してくれる時点で、かなり興味・関心があるはずですので、しっかりとフォローしていきましょう。リードナーチャリングを行う上での注意点
リードナーチャリングを行い、見込み顧客の興味関心を大きく育てたら、最終的には営業へとパスをつなぐことになります。基本的にマーケティングを行う部署と営業を行う部署は分かれていることが多いですので、2つの部署間でしっかりと連携をとることが重要になります。せっかくマーケティングが最高のパスを出しても、営業部が受け取れなければ意味がありません。顧客の情報はもちろん、これまでどのようなコミュニケーションをとってきたかといった詳細に至るまで情報を共有しておく必要があります。 また、マーケティング部から見た最高のパスと営業部の立場から見た最高のパスにもズレがあることが多いです。最終的に契約を取るのは営業部ですから、どのようなパスを求めているのかについてはマーケティングを始める段階で確認しておきましょう。
リードナーチャリングは、これまで活用してこなかったデスクの中の見込み客の名刺を、最終的には購買へとつなげるチャンスを作り出す活動です。画一的な手法ではなく、相手のニーズに合わせた育成のために何ができるかを、考えるところから始めてみてはいかがでしょうか。