ECオープンプラットフォーム「EC-CUBE」やマーケティングプラットフォーム「AD EBiS」などを開発・販売する株式会社ロックオン。今回は、同社でマーケティング部長を務めるデ・スーザ リッキーさんにインタビューを行いました。BtoB・BtoC双方でマーケターを経験したデ・スーザさんが考えるBtoBマーケティングの魅力やBtoCマーケティングとの違いなどについてお話を伺いました。
*現状のマーケティング活動概要と課題
■現在のマーケティング課題
――獲得したリードのストーリー、予測されるお客さまのマインド、その背景などを正しく後ろの行程にいるメンバーに共有すること
*お客様の生の声を聞くために営業現場へ
――まずは、デ・スーザさんの現在の業務内容について教えてください。
デ・スーザさん(以下、敬称略)
AD EBiSのマーケティング全般に関する戦略立案を主に行っています。あとは、なかなか珍しいかもしれませんが営業活動なども少し。マーケターが営業!?と思われるかもしれませんが、マーケターにとって重要なのは「お客様の生の声」なんです。なので、私はできるだけ時間を作って現場に足を運ぶようにしています。
営業先では、私がお話した提案内容について、お客様から直接フィードバックをもらうことができます。お客様の反応を参考にしてキーメッセージを変えたりセールストークを組み替えたりすることで、お客様に本当に刺さる「活きの良い資料」を生みだすことができます。お客様と話すことで様々な気づきが得られるので、大変だとは思いますが、マーケターが「現場」に行くことはメリットが多いと考えています。
――現在はマーケティング部長として活躍されていますが、ここに至るまでどのようなキャリアを歩んでこられたのでしょうか?
デ・スーザ
まず、新社会人としてWebの制作会社に入社し、そこでWebディレクションと企画営業を5年ほど経験しました。その後、大手通信会社でマーケティングおよびプロモーションに10年ほど携わり最終的にはWebプロモーションの責任者を任されましたが、もっとマーケティングに専念したい、スペシャリストとして突き詰めてやっていきたいという気持ちが強くなり、株式会社ロックオンに入社しました。
――マーケティングのどこにそれほどの魅力を感じられたのでしょうか?
デ・スーザ
こんなに楽しい仕事はないと思っています。マーケティングって分かりやすく言うと「相手に告白させる仕事」だと思うんです。例えばAppleからiPhoneが発売されると、お客様の方から喜んで買いに来てくれますよね。あれが理想形だと思っていて。同じように、うちが商品を出したときに、お客さんの方から「ほしいです!」と来てくれたら最高じゃないですか。うちも嬉しいし、お客さんも満足している。誰が不満なのかというと不満な人は誰もいない。そういう幸せな状況を作り出せるやりがいのある仕事だと思います。
――デ・スーザさんはBtoBとBtoC双方のマーケティングを経験されていますが、2つの違いについてどのように感じていますか?
デ・スーザ
同じマーケティングの仕事をしていてもBtoBとBtoCとでは全く感覚が違います。BtoCは"エモーショナル"で、世の中のトレンドなどの影響を受けやすく、どのような効果が表れるのか読み切れないところがあります。一方、BtoBは"ロジカル"です。稟議を通したり、決裁をもらったりと関わる人が多く、感情の入り込む余地があまりありません。理詰めで考えたものを理詰めで通すことができ、もし失敗しても理詰めで検証できるので、私にとってはBtoBの方が圧倒的に面白いですね。
*誰よりも考えること、リスクを取る「覚悟」を持つこと
――デ・スーザさんご自身のマーケターとしての強みや成功のための秘訣があればお伺いしたいのですが。
デ・スーザ
「誰よりも考えること」でしょうか。社長よりも誰よりも。新人の頃、上司に「お前の作ったこの資料、魂こもってるのか?」「考え抜いたのか? やり抜いたのか?」と言われていました。当時はピンと来なかったのですが、今は言っている意味がすごく良く分かります。それくらい何度も何度も考えてやり抜くことが大切なのだと。お金が合わないとか、リスキーだからとか、怒られたらいやだからとか言って何もしなければ何も変わらないので、ときにはリスクを取る「覚悟」を持つことが必要です。
*マーケターとして大切にしていること
――ではデ・スーザさんがマーケターとして大切にしていることはなんでしょうか?
デ・スーザ
当たり前かもしれませんが、「お客様本位」です。数字を追いかけ始めると忘れがちになってしまいますが、何かを決断するときに「それってお客様のためになるのだろうか」と考えると大体答えが出ます。「こうしたらもっとリードが増えますよ」なんていう甘い誘惑はいっぱいあるんですけど(笑)お客様のためにならないならやらない方がいい。むしろやってはいけないと思います。
*マーケターに求められる人材要件、これからマーケターを目指す人へ
――デ・スーザさんは、マーケターにはどのようなスキルが必要だと思われますか?
デ・スーザ
まず、「自分で考える力」、これは絶対に必要ですね。あとは、考えたことを「実行する力」が必要です。知識量はすごいけど、「じゃあ、やってみて」と言うとあれこれ理屈を言うだけでやらない人が実は結構います。批評家気質みたいな・・・。それって自分の意見に対して責任を持つ覚悟が足りないんだと思います。ゼロベースで考えて、たたき台でもいいから形にして出せる人間になってほしいです。そのためには、「自分で考える力」と「実行する力」が必須で、そこにこなしてきた場数が加わるとマーケターとしての厚みが出てくるんじゃないかと思いますね。
――最後に、マーケターを志す方へメッセージをお願いいたします。
デ・スーザ
厳しいことを言うようですが、若いうちにめちゃくちゃ苦労してほしいですね。最初にやった苦労の数で後から追いつけないくらいの差がついてしまうので。自分が正しいと思うのであれば今すぐとことんやった方がいいし、失敗もいっぱいしておいた方がいい。とにかく、困難から逃げないでほしいですね。
ただ、マーケティングの仕事は面白いし、やりがいもあります。マーケターを求めている企業は多いので、市場価値もあります。行く先は明るいのでぜひ、挑戦して欲しいと思っています。
――マーケティングに対するデ・スーザさんの情熱がとても伝わってきました。本日は貴重なお話をありがとうございました!