• 2020/03/03
  • インタビュー
  • 突撃!となりのマーケター

小売から異色のキャリア転換。強みを活かしたプロダクトマネージャーへ

  • マーキャリ 編集部
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今回はplaygroundでプロダクトマネージャーを担当している村石怜菜さんにインタビューを行いました。現在、デジタル領域でのプロダクトをマネジメントされている村石さんですが、キャリアのスタートがパン屋さんというのは驚きです。今回はそのキャリアの変遷とマーケターとしてのあり方についてお聞きすることができました。「プロダクトマネージャーに興味のある方」「プロダクトマネージャーのキャリアについて考えている方」は必見です!

プロダクトマネージャーとしての業務内容

――まず、御社の事業内容について教えてください。

村石さん(以下敬称略)

playgroundは総合エンターテック企業として、エンターテインメントとテクノロジーを融合させることで、興行主の収益性を上げることをミッションにしています。創業事業は、ブラウザで完結する電子チケット発券サービスQuick Ticket(クイックチケット)です。2017年より提供しており、埼玉西武ライオンズさんや吉本興業さんなど多くのスポーツ・エンターテインメントの会社に導入いただいています。Quick Ticketはスマートフォン画面に電子スタンプを押すことで、正しいチケットかどうかを判別し、簡単にモギリができるので、不正転売などの社会的な問題やコスト削減などのニーズに応えられる点でもご好評いただいております。

さらに、紙のチケットでは実現できないデータ活用が可能で、モギリ時にスマートフォンへメッセージを送ったり、特典を付与したりといったコミュニケーションで顧客体験をつくっていけるのが特徴です。

――村石さんが担当されている業務について教えてください。

村石
プロダクトマネージャーとして、弊社のサービスであるQuick Ticket全体のプロダクトマネジメントを開発部署で行っています。メインで関わるのは、プロダクトを開発するエンジニアやデザイナーですが、基本的には全方位ですね。例えばビジネスサイドのメンバーから市場のニーズ、機能をヒアリングしてエンジニア、デザイナーにそれを発注していくことも多くあります。

Quick Ticketを起点に、スタジアム内の体験をデジタルでつなぎ合わせたコネクテッドスタジアムを実現することで、お客様に素晴らしいライブ体験を味わってもらうと共に、興行の収益性を向上させることを目指してプロダクトを磨いていっています。

小売からデジタルへキャリアをチェンジ



――playgroundに入社されるまでのキャリアについて教えてください。

大学では服飾について学んでいたので、その道に進みたいと考え、ファッション誌の編集部でライターアシスタントのアルバイトをしていました。ちょうど巻き髪やパステルカラーのニットのアンサンブルといった、モテを意識したキレイめOLファッションが流行っていた頃です。ただ、当時の〇〇系といった型にはまった金太郎飴のような洋服が並ぶばかりの世の中の流れやアパレル業界のあり方について疑問を感じるようになり、新卒ではパンの小売直営店を運営する食品企業に就職しました。就職した理由は、消費者に商品を届けるのが目的ではなく、パンからはじまる暮らしや家族・友人とのつながりを提供するという企業理念をもっていたからです。ファーストキャリアがパン屋というと、現在のキャリアのイメージとかけ離れているのかよく驚かれます。

新卒で配属された店舗は旗艦店で、パン屋では珍しく一般的なセルフサービスではなくお客様との対話やおもてなしを重視する対面接客でした。当時の接客経験はとても貴重で、コミュニケーション能力やヒアリング力の向上に貢献したと思います。接客は性に合っており楽しかったのですが、スタッフのリソースや店舗、営業時間など物理的制限のあるリアル店舗の限界を身に沁みて感じ、新しい小売の形態を学びたいという思いが強くなったのが転職のきっかけです。ITの知識はほぼなかった状態でしたが、ECサイトのフルフィルメント(ECや通信販売において、受注から配送までの一連の業務プロセス)を請け負う企業に就職しました。その後、クライアントとパートナーという関係で、デジタルマーケティングの上流から関わりたいという気持ちが強くなり、商業施設「PARCO」を運営する株式会社パルコのグループ会社である「パルコデジタルマーケティング」に入社。デジタルマーケティングやオムニチャネルの導入推進などに携わりました。

――小売業界からIT業界への転身は大変ではなかったですか?

村石
HTMLなどの簡単な知識はあったのと、幼い頃からPCやデジタル製品に囲まれていたので、特に抵抗はなかったです。当初は、服の採寸や撮影のアシスタント、画像の編集作業やライティング、メールマガジンの作成・配信設定といった地道な反復作業からスタートしました。基礎的なスキルは日々の業務から習得したほか、マーケティングに必要な数値管理や広告出稿といった知識を、ECサイト運営を通して学びました。

2000年代のECサイトは、PCサイトとガラケーサイトが主流で、今と比べて画像の解像度が低かったのですが、2,000個以上も在庫がある商品が一瞬で売り切れたりするんです。リアル店舗出身の自分としては、瞬時に物が売れる様子は爽快でしたね。

今の時代ってデジタルマーケティングと一口に言っても領域がかなり広いですが、当時は技術も発展もしていなくて、デジタルマーケティングを学びやすい時代だったかもしれないですね。

――印象的だった仕事にはどんなものがありますか?
ECが台頭し、消費者の消費行動や価値観が大きく変化し始めた時期に、前職のパルコデジタルマーケティングでリアル店舗側の立場・視点で、O2Oやオムニチャネル対応や推進に関われたことは自分のキャリアにおいて大きな資産になりました。当時は小売店や商業施設、百貨店といったリアルに強みを持っていたプレイヤーたちの売上不振や閉店といったニュースが目立つようになり、リアル店舗もオンラインでの情報を充実させ、顧客との接点を強化しないといけないと意識が変わり始めた頃で、いくつかの商業施設にオムニチャネルの導入コンサルとして新しいサービスを導入しました。

消費者行動がオンライン優位に転換する状況で、商業施設のオムニチャネル化には、テナントが取り扱う商品情報や在庫情報を保持していないなどのいくつかの障壁が存在していました。

この新サービス導入プロジェクトでは、消費者のニーズと商業施設側の実情やビジネスモデル・弱点を踏まえた上で、サービス設計やUI・UX設計、システム開発の要件定義などのITスキルのほかに、商流・金流、契約、業務設計、リソースや販促プランといったビジネス観点やマーケティング観点も必要とされましたが、商業施設全体を巻き込んで推進することができたのは、良い経験でしたし、忘れられない思い出になりました。

マーケターとしてのあり方、セルフブランディングの必要性



――マーケティングで必要なスキルについて教えてください。

マーケターの業務って、マーケティング部だけで完結することは少なくて、他部署や他職種を横断してコミュニケーションをとることが多いのでいろんな人を巻き込む力と調整する能力が必要だと思いますね。また、知り合いのマーケターさんは皆さん良い意味でミーハーな人が多く、チャレンジ精神が強い印象です。百聞は一見にしかず、机上の空論を言うのではなく、まずはやってみることが大事だと思います。

そして、売れる仕組みをつくり続けることがマーケティングだとするならば、製品やサービス、企業のビジョンを理解することも必要です。以前、国内飲食チェーン店のマーケティングを支援していた時は、チームのみんなでその企業の商品を食べたり、店舗に通うなどし、リアル店舗を理解することを大切にしてました。どうしてもデジタルを中心に考えてしまいがちなので、売上や客数、会員数といった数値データと実際の現場がどのように動いているのかをリンクさせ、想像できるようにし、クライアントと同じ目線に立つようにすることを心掛けていました。

――マーケターにとって自分自身のブランディングは必要ですか?

ブランディング自体はマーケターに必要だと思いますが、SNSなどでセルフブランディングだけして実際の成果とかけ離れてしまうのは意味がないですよね。一方で、セルフブランディングって一番簡単にPDCAを回せるんですよ。ブランドやサービス、商品が関わるビジネスとしてのSNSの運用は、企業としての取り組みなので、個人に比べるとチャレンジしにくいこともあると思うのですが、セルフブランディングは自分だけで完結し、そして誰からも怒られません。炎上は別ですが…。今は無料の解析ツールも多いですし、自分がどう発信すれば良いか、仮説にもとづいて運用して回していけるのが、マーケターとしてのセルフブランディングの利点ではないでしょうか。

また最近では、ベンチャー企業やIT企業を中心に社員に情報発信をしてもらいたいと考えて、うまく活用しているケースも多いと思います。社員によるUGC(ユーザーが生成するコンテンツ)が促進され、社員が自然に投稿してくれれば、企業のブランディングや認知、採用活動にもプラスになります。

――セルフブランディングについてアドバイスがあれば教えてください

そうですね。弊社ではインターン生が多く、文章を書いてもらうことも多いのですが、「自分がどこで差別化できるか考えて、文章を書いてみて」とアドバイスしたりします。自分が人と違うなと思うところを1つでも掲げていけば、伝わりやすさも変わるのかなと思います。例えば、自分が他人から言われる「○○ちゃんって〇〇っぽいよね」という言葉を参考にして、その方向でブランディングしてみるのも良いですね。

あとは、自分の年齢とキャリアステージに合わせてSNSのツールを変えることも重要かと思います。私の場合、20代ではクローズドなFacebookで交友関係を増やしていきましたが、今は対象者が広いTwitterを使うことが多いです。ただTwitterの文字数では語るのが難しい場合は、noteで記事を書くようにしています。いずれにしてもplaygroundやQuick Ticketのことを知ってもらうために発信していきたいという思いが強いです。

――今後のキャリアや展望について教えてください。

今はサービスであるQuick Ticketを誰もが知るサービスにしたいと思っています。私はエンジニアやデザイナーといったプロダクトを直接作る側の人間ではないのですが、小売や商業施設、ECサイトといったTo C向けのサービスには多く関わってきました。その中で培ってきた強みを生かして、良いプロダクトを作って磨いていくことを極めたいですね。

――最後におすすめの書籍を教えてください

直接的にマーケティングの本ではないのですが、リチャード・セイラ―の『実践 行動経済学』ですね。 いままでの経済学では人間は合理的な判断のもとに商品を買っているとされてきましたが、結局、完全に合理的に商品を買ってはいないだろうという仮説のもと、ちょっとした工夫「ナッジ(つっつくという意味)」で消費者を動かすことができることを解説しています。有名な事例だと、男性用トイレの便器に黒いハエの絵が描かれていることで、綺麗に使ってもらえるといった例ですね。

プロダクト開発において要件を決める際や、UI/UXを設計するときにも、行動経済学や心理学などの観点は必要なので、もっと勉強していきたいと思っています。


――村石さん、お忙しい中ありがとうございました!

マーキャリ 編集部

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