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イノベーター(Innovator)には「革新者」という意味がありますが、「革新者の理論」とは一体なにを指しているのでしょうか。この記事では、マーケティング職に従事する上で必要不可欠とも言われる「イノベーター理論」の概要や活用方法について解説します。
イノベーター理論とは?
1960年代に、スタンフォード大学のエベレット・ロジャース教授によって提唱された理論です。新しい商品やサービスが世に浸透していくまでの顧客の購買行動は、5つのグループに分類することが可能であり、商品やサービスを販売する際にはそれぞれのグループの特徴に沿った販売戦略が効果的であるとしたマーケティング理論。
イノベーター理論の5つのグループ
イノベーター(Innovators):革新者
新しい商品やサービスを進んで採用する、いわゆる「新しい物好き」が革新者に該当します。イノベーターは市場全体の2.5%ほどの割合と言われています。新しい技術に興味のある人や、ゲームのファイナルファンタジーのようなシリーズ化された人気ある商品で言えば、いち早く予約をして発売日当日に店頭に並び、誰よりも先に手に入れたいと行動する人です。イノベーターに属する人々は、商品のスペックよりも「目新しさ」や「最新技術」といった部分に強く興味を惹かれる傾向にあり、メリットやベネフィット部分にはそこまで興味がないとされています。なので、イノベーターにはとにかく「新しさ」を訴求することが重要であると言えます。
アーリーアダプター(Early Adopters):初期採用層
流行に敏感で、自分から進んで新しいものへの情報収集を行う人が該当します。アーリーアダプター(は市場全体の13.5%ほどの割合と言われています。イノベーター以外のグループへの影響力を持つ人々で、「オピニオンリーダー」または、「インフルエンサー」とも言われています。イノベーターとの違いは、商品の具体的なメリットを重要視するところです。自分が良いものと判断できれば、まだ世に流通していないものでも積極的に購入します。アーリーアダプターに認められることがその後の流通を大きく左右するとされています。
アーリーアダプターへのアプローチは、その商品やサービスを手に入れることでどのようなメリットがあるか。もしくは、従来のものと比べてどう変わったのかを具体的に訴求することが重要です。
アーリーマジョリティ(Early Majority):前期追随層
全体の平均より少し早く新しいものを取り入れるが、比較的慎重なグループ。アーリーマジョリティは市場全体の34%ほどの割合と言われています。前述したアーリーアダプターからの影響を受けやすい層とされており、市場に占める割合も多い層であることから「ブリッジピープル」とも表現されています。テレビや雑誌、今の時代だとインスタグラムで紹介されているのを見て、購買行動に移すようなイメージ。アーリーマジョリティは商品やサービスのメリットに加え、「今まさにトレンド」であることを訴求することが効果的です。
レイトマジョリティ(Late Majority):後期追随層
新商品やサービスを多くの人が採用したことを確認してから購買行動に移す、新たなものを受け入れることに比較的懐疑的なグループ。レイトマジョリティもアーリーマジョリティ同様、市場全体の34%ほどの割合と言われています。周りの動向を確認してから行動することから「フォロワーズ」とも表現されています。レイトマジョリティには、新しいものを購入・採用しても失敗しないという安心感を与えることが重要です。
ラガート(Laggards):遅滞層
トレンドへの関心が薄い、最も保守的なグループ。ラガートは市場全体の16%ほどの割合と言われています。「伝統主義者」とも表現されており、利用することが一般的、当たり前になった段階で購買行動に移すようなイメージ。人によってはいつまでも頑なに行動を起こさない人もいます。身近な人の中にずっとガラケーを使っていて、ようやくスマートフォンにした、もしくは未だにガラケーを使い続けている人はいませんか?その人はまさにラガートに属する人と言えるでしょう。ラガートの人には、今使っているサービスより新しいものの方が安く使えるといった明確なメリット訴求が効果的です。
普及率16%の論理
イノベーターとアーリーアダプターを合わせた16%の人々に支持されることが、その後の普及率に大きく影響するとした理論のこと。イノベーターはわずか2.5%のグループなので、「インフルエンサー」とも呼ばれるアーリーアダプターがキーマンとされています。アーリーアダプターは、良い商品を自身のSNSでアピールしたり、レビューを書いたりと発信することにも積極的なため、アーリーマジョリティ以降に繋げる重要な存在なのです。
キャズム理論
イノベーター理論を調べれば高確率で一緒に出てくるワードが「キャズム理論」です。キャズム理論はハイテク製品の普及理論とも言い換えられるもので、ハイテク製品の分野においてはアーリーアダプターとアーリーマジョリティの間に大きな溝(Chasm:キャズム)があることを説いているもの。キャズム理論では、いくらアーリーアダプターへのアプローチに成功しても、この溝を超えられないと市場は拡大せずに消えていくため、アーリーマジョリティへのマーケティングも必要であるとしています。現代の商品でキャズムを突破できていない(売れ行きが芳しくない)商品では「Apple watch」が挙げられています。