「最近、キャリアパスについて考えろと経営者に言われた」
「うちの会社はキャリアパスが貧弱だと言われているけれど、具体的に何をキャリアパスというのだろうか」
昨今、企業で重要視されているキャリアパスですが、在籍する社員にとってのキャリアパスと、雇用する側の企業が掲示するキャリアパスでは、大きな相違があることが問題になっています。
特に終身雇用制度がどの企業も維持できなくなっているため、優秀な人材を確保するためには、キャリアパスをしっかりと社員に明示することが重要となってきています。
今回は、採用におけるキャリアパスについて解説させていただきます。
キャリアパスとは何か。
組織にとって必要な人材に対して、必要な経験を積ませて、役職などに応じて処遇することをキャリアパスといいます。各社員が目指す目標や役職などのポストまでたどり着くまでの道を示すこともキャリアパスといえますね。
仮に課長職になるには、15年勤続をし、試験を行い、合格した場合には課長職にするといったやり方で処遇するのがキャリアパスです。
これまでは新卒で入社して、65歳の定年まで社員を雇用することが当たり前だったため、キャリアパスといえば入社年次に応じて、何歳になれば課長、部長、役員という風に、年齢で処遇するキャリアパスが一般的でした。
現在では転職する人が増えた影響もあり、キャリアパスをこれまでの年齢と入社年次で一律に処遇するのは難しくなりました。
転職希望者からすると、キャリアパスが明確でない会社には入社しにくい
転職が活発化して、中途採用者が社内にいる状態が当たり前という会社も増えてきています。キャリアパスがしっかりと整備されていないと、入社した後にどれくらいのポジションになればどのくらいの給料がもらえるのかなどが分からなくなり、入社後のイメージが持てず、敬遠されてしまうことになります。
転職希望者から敬遠されないためには、キャリアパスは重要です。
採用とキャリアパスの重要性
転職活動が非常に活発化してきており、キャリアパスをしっかりと示せないと社員が定着しないだけではなく、優秀な社員も採用することが難しくなってきています。
特に中途採用者を雇用する際、社内でどのポジションからスタートさせて、給料はいくらにするのかなどは社内のキャリアパスがしっかりしていないと機能しません。
個人が転職先を探す場合、自分の貰っている給与や与えられている地位より上か、それとも同程度かなど、しっかりと勘定してから転職する人が大多数です。
キャリアパスを明確にしておけば、年齢と経験に応じて入社直後の処遇などを決めるのがスムーズなため、採用される中途採用者も採用する企業側もストレスなく採用することができます。
大企業だけではなく、中小企業もキャリアパスを考える必要性がある
キャリアパスといえば、大企業が中心となってキャリアパスなどを組み立てており、中小企業ではそんなものは不必要だと考えている人事の方もいらっしゃいますが、そうではありません。理由としては、キャリアパスを明示することが出来れば、大企業を採用で出し抜ける可能性があるためです。
特に中小企業はネームバリューや支払える給料などの差で大企業に人材を奪われることも多いですが、採用時にしっかりとしたキャリアパスを示すことが出来れば、中途採用者には「この会社は本気で私のキャリアを考えて育てようとしているのだな」と思ってくれるためです。
大企業は入社年次や年齢で給与を決定する傾向にありますが、それは労働組合との関係で、給与テーブルがしっかりと設定されているためです。
中小企業であれば、給与テーブルなどは確率されていなくとも、中途採用者に対しては「5年勤務すれば課長となって、強い権限を持って仕事をできるように処遇を考えている」と伝えることも可能です。
お金で勝負できない場合は、成長できる環境を整備しているとアピールするだけでも効果があります。
キャリアパスを作るときは、現実的に作る
キャリアパスを企業で作る場合には、理想論で作らないほうが良いといえます。理由としては、キャリアパスは企業の経営状況によって変化しやすいものだからです。特に不況に陥った場合など、昇給や昇格をして人件費を上昇させることが難しいという局面に追い込まれる可能性もあります。理想的なキャリアパスではなく、現実的に実現可能で、社員が少し頑張れば実現できる程度のキャリアパスにするのが無難であるといえます。
具体的な方法としては、会社内で社員面談を実施して、社員の望んでいるキャリアパスを聞き出して情報収集を行い、その上で、キャリアパスを考えるのが良いといえます。
これから採用される社員だけではなく、まずは社内でキャリアパスをしっかりと構築しないと、中途採用者を迎え入れる準備が出来ていないということになります。
また、柔軟性を持たせて時代に合わせてキャリアパスを変化させることも必要になってきます。
そのため、あまりにも詳細まで突き詰めたようなキャリアパスではなく、変更できる余地を持ったキャリアパスを構築するのがよいといえます。
キャリアパスを構築することで、採用活動で有利に立とう
しっかりとしたキャリアパスを転職希望者に掲示することで、採用活動時に有利になる可能性が高いです。また、それだけではなく、すでに在籍している社員に対しても、定着率が上がるなどの効果も期待できます。
定年まで一律で処遇できる時代ではなくなったために生まれたキャリアパスですが、しっかりと対処することで、中小企業であっても大企業を出し抜いて採用活動で有利に立てることがあり得ます。
キャリアパスを構築することで、採用成功と、社員定着率をアップさせて、優秀な人材の確保と定着を実現しましょう。