• 2019/09/10
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マーケター冨沢 7話目 【冨沢の気づき】  

  • 冨沢  
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■マーケター冨沢
2019年1月に中途入社、当メディア・マーキャリチームに配属され、新人マーケターとして日々奮闘する25歳の冨沢を追った連載記事。
6大卒という学歴や元カーディーラーという肩書がありながら自己ブランディングを全くしていない為、キャリアを活かしきれていない彼が、<マーキャリチームメンバーと関わる中で自身の希少価値の見出し方を日々学び、成長していくドキュメンタリー>です。本人許可の元、プライベートも完全にさらけ出したリアルな内容はメディア記事としては大変珍しいのではないでしょうか。創業30年以上のBtoBマーケティング専門会社の一員として働きマーケティングノウハウを吸収する中で自己ブランディング能力を身につけていくことができるかが見どころです。

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第7回「冨沢の気づき」

仕事の合間に冨沢とコーヒーを買いに外へ行った時のことだ。仕事にも慣れてきたのかリズミカルに歩きながら彼は口を開いた。
「自画自賛に聞こえてしまうかもですが、最近僕は成長期に入っていると感じています。
5カ月前だと集客にしてもプロモーションにしても誰かに聞かないと業務が進まなかったですし、自分じゃ何も意思決定ができなかった。人にあれをやれ、これをやれと言われて初めて動き出していました」

「だけど今は……経験の蓄積ももちろんあるのですが自分で考え責任をもって行動することで生産性も上がりましたし何より成果が出てきました。今は良い成長サイクルに入っていると思うんです。この流れを止めないよう副業して社外でも成長機会を持ちたいと思っています。社内の業務だけでは上限があるので」

聞こえようによっては調子に乗っているようにも思えるが、これをさらなる成長の兆しだと捉えた私は迷わず背中を押した。

しかし副業と言葉では簡単に言えても険しい道である。
フリーランスやパラレルワーカーが増えているトレンドの中で、案件を一つ受注するのも難しく、仮に受注できたとしてもプロフェッショナルとして相手との折衝から納品までのプロセスをすべて一人で実行しなければならない。さらに当たり前のことだが納品物は相手の要望に完全に答えた満足のいくものでなければならない。

「やってもいいんじゃないかな。だけど決して驕るなよ」

すごんだ私を前にして彼は

「はぃ」

とさっきまでのやる気を全く感じさせない返事をした。

その後冨沢は持ち前の実行力の高さを発揮し、副業ができるサービスサイトにいくつか登録して
彼の実績や経験に”仕事を楽しんで行う”という人間性をアピールする文章を加えて自己紹介文を掲載した。

掲載した日以降、冨沢は休憩時間の度にスマートフォンをチェックし案件はまだかとそわそわしていた。
なんだか期待を裏切るようで悪いのだがそんなにすぐ案件が来るわけがないと思う。

それから一週間しても何の反応もなかった。彼はメッセージ文や動画などの自己紹介コンテンツを頭を掻きむしって改善案を絞り出して毎日変更していた。しかしその努力は未だ報われなかった。

サイトに登録してから2週間が経過してもなお案件はなく、冨沢は最初の威勢などすっかり消えてあきらめモードに入っており、到底楽しんで仕事を行う人間の顔ではなかった。私と会えば口を開くたびに

「完全に調子に乗っていましたね……以前話した社外活動を積極的に行ってもっと成長したいという話、あれなしにしてください」

と濁った声を漏らしていた。私も何とかしてやれないかと思い
おやつとしてつまんでいた食べかけのチョコバットを彼の前に差し出そうとしたところ私のポケットの携帯が震えた。

仕事のパートナーからかなと開いた携帯の画面には「金橋」という知らない相手からの着信だった。一旦席を外して電話をとる。
「お世話になっております。以前御社主催のイベントに参加させて頂いた株式会社○○の金橋と申しますが覚えていらっしゃいますでしょうか?」
「ああ~金橋さん!ご無沙汰しております!」
「実はご相談したいことがございまして、少々お時間いただいてもよろしいでしょうか?」
「ええもちろん」

詳しく話を聞くと今度開催するイベントの企画から実行までを依頼したいとのことだ。
きっかけは前回参加していただいた自社のイベントの司会進行を担当していた冨沢の一生懸命な姿に心を打たれたという。

「冨沢さんの司会進行はまだ未熟な点があるが若さあふれるエネルギッシュなものだったし、何より目がキラキラとしていて仕事そのものを楽しんでいるように見えた。次に我々が企画しているイベントに来るユーザーたちは冨沢さんのような若年層をターゲットとしているので活力みなぎっている彼のような人間こそ我々イベントに携わってほしい」

と金橋さんは言っていた。私は冨沢もアサインさせるので是非イベントを成功させましょうと伝え、後日金沢さんと打ち合わせをすることになった。

冨沢の満面の笑みを予想しながらこのことを彼に伝えたところ想定外のきょとんとした顔であった。

「こんなこともあるんですね……まさに棚からぼたもちだ(笑)」
「これは冨沢の功績だ。君が仕事で発揮した能力に価値を感じた人が他の誰でもない君を選んだんだ。
そして期待以上のパフォーマンスを提供して選んでよかったと満足してもらう。そうやって信頼を積み重ねていけば人から人へ情報も広がる。ブランディングにはこういった活動も欠かせないんだ。さあ、まずはイベントで前回以上の満足感を与えなくちゃな」

と先輩風を吹かし説教じみたことを言うと

「ハイ!」

と威勢のいい返事が返ってきた。

認知や興味関心だけで相手(ユーザー)を揺さぶっても
自分に対して特別な感情を持ってもらうまでには至りません。
相手(ユーザー)にとってあなたじゃなきゃ嫌だという顧客心理はあなたが提供する価値(イベントの司会進行役であればその成果)が実際にもたらされて初めて感じてもらえるものです。
そして満足してもらったあなたの相手(ユーザー)に情報発信(口コミでも拡散でも)がされることであなたの信頼性、ブランドの価値が高まります。

興味をそそるような情報発信だけ続けるのではなく、すでに自分の価値を知ってもらっている人たちに対しても
タッチポイントを作って継続的にコミュニケーションをとればあなたというブランドも次第に広まっていくのではないでしょうか

第8回 マーケター冨沢「冨沢の自己評価」はこちら

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