今回の記事では、就職者の立場にたって、この2つの案件をひも解いてみましょう。
マーケティングの特定業務を実行できる人がほしい場合
まず前者の場合ですが、これはその案件がすでに回っていて、前任ないしは経験のある(または仕組みが分かっている)人間(上司)が存在していると推測できます。なぜなら、「業務内容の詳細が記載されている」という事は「その業務を熟知している人が社内にいる」という前提なしには成り立たないからです。募集要項は基本的に求人企業の担当者が作成しますから、ここを具体的に書ける=その領域について理解している…という事になります。
つまり、この手の求人に対しては、あなたがもし「ある程度分かっている」とか「似たような業務をしていた」(たとえば、広告の運用はしていないけどSNSの運用はしていたとか)場合、必要要件を「満たさなくても」合格する可能性があります。
なぜなら、受け入れる企業側にはその業務について「教える人」がいるからです。配属先の上司の方に不明点を聞きながら(仮に退職されるとしても1~2か月の猶予はあるでしょうから)業務を進行していくという可能性があるという事です(もちろん、すべてがそういうわけではありません)。
ですので、もし必要要件を満たしていなくてもアプローチしてみても良いかもしれません。
「Webプロモーションができる人」と求人票に記載されている場合
次に「Webプロモーションができる人」と求人票に記載されている場合です。
これはおそらく「Webプロモーションにかかわるすべての情報」が漠然としていることが予想されます。たとえば「管理職」として入る場合は、特に「自分で1から起こすこと」を想定する方が健全です。
これは言うは易しですが、この状態の求人というのは、そもそも企業側が「Webプロモーションを始めたいんだけど、なにからやったら正解なの?」くらいの感覚であることも非常に多いです。その前提として「Web広告やるんだよな」と漠然と決まっているものの、それはあくまで本なり知人なりから聞いた知識でなんとか成り立っているものだったりします。
ここで必要なマーケティングスキルとは
このレベルの求人の仕事を完全にこなすには、「専門的な実務経験があること」が大前提です。「近いことをしていた」なんてスキルを持って仮に入社しても、なにせ自分で1から起こすことが前提になる可能性が高いですから、業務をこなせなくなってしまうかもしれません。ものすごい苦労(リターンも大きいですが)が伴うかもしれないという事ですね。ただ、この形の求人にもメリットはあります。それは「本当にその分野に詳しければ自らが主体的に裁量を持って働くことが出来る」という事です。なにせ、自分が一番詳しいわけですから、社内のイニシアティブをとれる可能性は非常に高いんですね。若くして管理職に抜擢、なんていうのもこのパターンです。
ただ、リスクもあります。「マーケティング組織がなかった」という事は「マーケティングを大事にする文化もなかった」という事なんですね。たとえば、営業のパワーがすごく強くて、マーケ側からハンドリングできない(協力を依頼しても聞いてくれない)とか「上司に予算を通したいが、Webの仕組みすらよく理解できていないから全然前に進まない」とか、そういう「本来のマーケティング業務とは関係ないハードル」が多数存在している可能性はあります。
自分の実力に自信がある方だとしても、このあたりの「折衝」は社風をよく見て、考えて動く方が良いでしょう。それがメリットの裏側に存在するデメリットでもあります。同じような求人ですが、「そこに何が隠れているか?」は気にしてみると良いかもしれませんね。