この記事では以下のことが分かります。
・VUCAとは何か
・VUCA時代に対応するための考え方や行動
VUCA(ブーカ)とは
「VUCA」とは、ビジネスや市場におけるあらゆるものについて、将来の予測が困難な状況を指す言葉で、読みは「ブーカ」です。 VUCAは不安定な要素を表す以下の4つの英単語の頭文字を合わせたものです。
・Volatility:変動性
・Uncertainty:不確実性
・Complexity:複雑性
・Ambiguity:曖昧性
VUCA自体は古くからある言葉なのですが、ビジネスシーンで用いられるようになったのは2010年頃からです。
VUCA(ブーカ)の4つの要素
VUCAは「Volatility:変動性」「Uncertainty:不確実性」「Complexity:複雑性」「Ambiguity:曖昧性」の4つが合わさった状態です。それぞれの4つがビジネスシーンにおいてどのような状態を表すのか見ていきましょう。
Volatility:変動性
変動性とは、変化が激しい状態のこと。日々目まぐるしい変化が起きるので、これからどうなっていくのかといった予測が困難な状況を指します。これはIT技術の進歩を考えると分かりやすいです。インターネットが発展したことで今までにない新しい商品やサービスが生まれ、市場のニーズも変化しています。たとえば携帯電話が進化してスマートフォンとなりましたが、スマートフォンが進化したらどのようになるのかは予測が困難ですよね。
先の予測ができないからこそ、変化への対応力が求められます。周りに先がけて変化に対応できれば新しいビジネスチャンスが獲得できるという側面もあります。
Uncertainty:不確実性
不確実性とは、不確実な要素が多く「これをやっておけば間違いない」というものが存在しない状況のことを言います。不確実であるがゆえに先の計画が立てづらい状況です。
ビジネスシーンで言えば、従来当たり前のこととされてきた年功序列や終身雇用は崩壊しつつありますよね。またもっと広い視野で考えれば「新型コロナウイルスの感染拡大による経済への影響」も不確実なものと言えるでしょう。不確実性に対しては常に情報を更新し、瞬間瞬間で成果を挙げることが重要になります。
Complexity:複雑性
複雑性とは、さまざまな要素が絡み合っていてピンポイントに解決策を導き出せない状態のことを言います。複雑性が高まれば、他企業の成功事例をそのまま自社に応用できなかったり、1つの企業では問題の根本的な解決ができなかったりといった問題が起きやすくなります。
複雑性に関しては複雑に絡み合った要素を分解して考えることや、たくさんの情報を集めて客観的・多面的に分析できるようにするといった対策が必要になります。
Ambiguity:曖昧性
曖昧性は、不確実性と似ています。「こうすれば問題解決できる」といった絶対的な解決方法がない状態のことを言います。曖昧性は、VUCAの他の3要素である「変動性」「不確実性」「複雑性」の結果として曖昧な状態になっているとも言えます。答えがないからこそ、常に試行錯誤をして問題の本質をつかむ能力が求められます。
VUCA(ブーカ)に対応するには
不安定な要素が多いVUCAの時代だからといって、何の対策も打てないわけではありません。不安定だからこそ、柔軟なスピーディな対応が重要になるのです。それでは、柔軟性や臨機応変な対応力を組織全体で養うにはどのような行動が必要か紹介していきます。
客観的な情報共有
現在の企業や組織においてどんな不安定要素、VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)があるか情報収集します。まずは先行きの分からない不安定な要素が存在していることを認めることから始めましょう。そして情報収集したら社内で共有するわけですが、ここで注意したいのは情報の収集も共有も客観的なデータを基に行うことです。なぜならVUCAには「こうしたら解決できる」という答えがないからです。主観を入れずにまずは客観的なデータを収集・共有しましょう。
具体的な施策を考える
不安定で先が分からないからといって、何も対策を取らないのは有効ではありません。客観的なデータを基に、どのような対応をしていくかを決めていきましょう。
施策を実行する習慣をつける
VUCAに対しては、どんな施策を行うかよりも施策を行動に移す方が重要になります。なぜなら、VUCAの性質状、考えられた施策が解決につながるかは分からないからです。重要なのは、問題が起きたときにすぐに対応できるようにしておくこと。施策を実行することに組織が慣れれば、いざというときにスピーディな動きができます。
VUCA対策として有効な「OODA(ウーダ)ループ」というフレームワーク
めまぐるしく状況が変化するVUCA時代においては、計画を立てることさえ困難であることが多いです。そのため仕事の流れとして、計画を立てるところから始める「PDCAサイクル」よりも「OODA(ウーダ)ループ」というフレームワークが注目されるようになってきています。
OODAとは「Observe:観察」「Orient:状況判断」「Decide:意思決定」「Act:実行」の4つの英単語の頭文字をとった造語です。計画通りに行くことが困難なVUCA時代においては、計画ではなく観察や状況判断から始める方が効果が出やすく、計画ありきではなく状況に応じた柔軟な行動が求められるということを端的に表しています。
計画から始めると、計画が遂行できないとなった段階で、その後のすべての行動がムダになってしまいます。OODAループは4つの行動を繰り返すものになっています。実行に移して終わるのではなく、常に観察・状況判断をすることが不安定なVUCA時代を生き抜くために不可欠な行動であることは、ぜひ頭に入れておいてください。