この記事では以下のようなことが分かります。
・アイデア発想フレームワークの1つ、「形態分析法」について
・形態分析法のやり方
形態分析法とは
形態分析法は、新アイデアや課題解決のための発想法です。テーマや課題を構成する変数や要素を書き出し、表にすることであらゆる組み合わせを考えるというものです。形態分析法はカリフォルニア工科大学の天体物理学教授F.ツイッキー博士によって考案されたものです。アイデアを頭の中で考えてひらめきを待つのではなく、考えられるすべてのパターンを試していき、その結果最善の策を見つけていこうとする思考のフレームワークです。
形態分析法における変数と要素
形態分析法において重要なワードに「変数」と「要素」があります。変数と聞くと難しそうなイメージを抱くかもしれませんが、変数とはテーマや課題を構成する基本的な項目のことを言います。そして要素とは「それぞれの変数における要素」のことです。 変数を横軸、要素を縦軸にして以下のテンプレートのように組み合わせを考えていきます。
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図の場合は、「動画配信サービス」をテーマにしたもので、動画配信サービスにおける基本的な項目として「ジャンル」、「特色」、「機能」を挙げています。この図では横軸の変数から見ていくと分かりやすいです。変数の「ジャンル」の中に「ビジネスキャリア」、「音楽」、「スポーツ」、「教材」といった要素があるというイメージです。
この図では横軸に3つの変数、3つの変数に対して縦軸に4つの要素がありますが、この数はテーマや課題ごとに変動して問題ありません。ただし、変数を基準にして要素を考えていくようにしましょう。ただ、変数が多すぎると時間がかかり過ぎてしまう、アイデア化するところまでたどり着かないという懸念が出てきますので、最初は3つから5つほどで実施するのがおすすめです。
形態分析法を実施する手順
形態分析法は以下のような手順で実施していきます。模造紙やホワイトボードに図を作成していくとよいでしょう。
テーマを決める
まず行うのはアイデアや課題解決法を見出したいテーマの選定です。たとえば「人気の出るカフェ」や「新しい文房具」、「営業活動の成功」など、自分たちがこれから行おうとしている内容について当てはめて考えていきます。
変数の設定
次にテーマにおける基本的な項目である変数を設定します。たとえば人気の出るカフェについて考えるなら、変数は「雰囲気」、「立地」、「機能」などとなるでしょう。テーマによって変数は増えても問題ありません。
要素を書き出す
図の横軸である変数を設定したらそれぞれの変数を構成する要素を縦軸に書き出していきます。たとえば立地という変数に対して、郊外、商店街の中、駅近といった要素を書き出していきます。変数や要素を考える際には、実現可能かどうかは考慮せずに思いつくまま書き出していきましょう。
変数と要素を組み合わせて、テストする
変数と要素が決まったら、左から順に組み合わせを考えます。それぞれの組み合わせについて分析やテストを行って、最終的な施策としていきます。
形態分析法を実施する上での注意点
形態分析法は、変数と要素を組み合わせて、課題やテーマに対して考えられるすべての解決策を見える化するものです。そのため、たくさんの組み合わせから1つを選ぶために使用するというよりは、あらゆる組み合わせを漏れなく確認できるようにし、吟味するためのツールと考えるとよいでしょう。アイデアとはゼロから生まれてくるものではなく、既存のものを組み合わせて生まれるのがほとんどです。そのため、アイデアは多ければ多いほどよいというのが、質の高いアイデアを生み出すためにも重要になります。
すべての組み合わせについて検討・吟味しよう
変数が3つ、要素が3つなら組み合わせの数は全部で9通りあります。形態分析法を行う段階では、どの組み合わせがベストなのかは判断できません。テーマや課題に対してベストな組み合わせを知るためには、すべての組み合わせについて検討することが必須です。コストや技術の問題で実現不可能に見えるものでも視点を変えることで実現できないかどうか考えてみてください。「難しそう」というだけでアイデアを削ってしまっては、新しい発見はないでしょう。
変数や要素を考えるときには、ブレインストーミングを行うのもおすすめです。アイデア出しの方法としてよく知られるブレインストーミングは、どんどんアイデアを発言していくものです。しかし、全体の場で発言することができない人でも気軽に意見を出すことができるように、発言ではなく各々が紙に自由に記述する形式をとってもよいでしょう。
形態分析法はアイデア発想だけでなく、他社の商品分析にも応用できます。ぜひさまざまなシーンで活用してください。
形態分析法のテンプレートダウンロード