• 2020/12/17
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P&Gに学ぶマーケティングのあり方

  • マーキャリ 編集部
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目次

この記事では、日用品をメインに販売展開するP&G社のマーケティング手法から、マーケティングのあり方について考察しています。P&Gの実際の事例なども紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

P&Gの製品

P&Gは、プロクター・アンド・ギャンブルという社名の略称です。大手企業なのでP&Gという社名を聞いたことがない方はいないでしょうが、ではどんな商品を売っているのかはパッと思い浮かばない方もいるかもしれません。


紙おむつのパンパース、衣料用洗剤のアリエール、柔軟剤のレノア、シャンプーのパンテーンやh&S、除菌用品のファブリーズ、電気シェーバーのBRAUNなど、これらがすべてがP&Gの商品です。P&Gの製品と意識していなくとも、多くの家庭で今挙げたブランドの商品を使っているのではないでしょうか。

P&Gのマーケティング

私たちの生活に身近で、実際に使っている商品が多い時点でP&Gのマーケティングが優れていることが分かります。近年では、優秀なP&G出身者が多くの企業で業績の回復や新たなブランドの確立などに携わっていることが多いこともマーケティングの業界ではとても注目されています。


P&Gのマーケティングでの基本理念は「Consumer is Boss」。Consumerとは消費者という意味です。P&G社員のボスは上司や株主ではなく、消費者であるという価値観を表しています。つまり、商品を売るためには上司や同僚を納得させるプランを立てることではなく、消費者理解が重要だということを表しています。  

日本企業で軽視されがちなマーケティング

マーケティングとは「モノを売る仕組み」をつくることです。モノを購入するのは消費者なわけですから、「Consumer is Boss」という考え方はとても理にかなっていると言えるでしょう。企業が成長をしていくためには、利益を上げることが最低条件です。良いモノであれば売れる、たくさん広告を打てば売れるという時代ではないため、販売戦略を担当するマーケティングは企業において非常に重要なポジションであるはずです。しかし、日本の企業においては、マーケティングというポジションがあまり重要だと考えられていないケースが多いです。


企業で働いている方であっても、マーケティングの関連職でなければ、マーケティングについて「市場調査をする部署」といったなんとなくのイメージを持っている方も多いでしょう。実はそれはマーケティングの一部に過ぎません。ひとくちにマーケティングといっても担当する仕事は非常に多岐に渡ります。


クライアントや消費者に実際に商品を買ってもらうためにアプローチをかけるのは営業職の仕事ですが、商品の企画や開発、値段設定、PR方法などを策定するのはマーケティング職の仕事です。こう聞くとマーケティングの重要性が分かるのではないでしょうか。


人々に欲しいと思ってもらえなければヒットにはつながりません。やみくもに新商品を企画するのではなく、ニーズを探ることも商品をヒットさせるための大切な前段階となります。たとえば熱帯地域で、身体をあたためるカイロを売ろうとしてもニーズはありませんよね。ものの良し悪しだけでなく、求められているものかどうかは非常に重要な要素と言えます。


そのため、マーケティングはニーズを探るところから始まっています。市場調査によってニーズを掴むことで「誰に・どんなもの」を売るのかが定まります。そして実際に商品を企画するまでがマーケティング職の仕事になります。

P&Gのマーケティング事例

マーケティングのプロフェッショナルとして知られるP&Gでも、すべての戦略が成功しているわけではもちろんありません。失敗から成功につなげたP&Gのマーケティング事例を1つ紹介します。


先に結論を言うと低価格帯のパンパースの失敗が高価格帯パンパースの成功を生んだという事例になります。どのようなマーケティングの失敗が成功へつながったのか見ていきましょう。紙おむつブランドのパンパースの名前を知らない人はいないでしょう。十分なブランド力があるので、低価格帯パンパースを発売する際も、市場調査では品質に対しての不安の声はありませんでした。予算の関係で大々的には広告を打たない代わりに、パッケージは既存製品のうすい緑色をベースにしたものではなくオレンジにすることで、店頭で目立つような工夫がされていました。


しかし広告を積極的に行わなかったことと、パッケージの色を変えたことで「パンパースの新製品」だという認知がされず、「安いけどパンパースだから品質は安心」といった感情を消費者に持ってもらうことに失敗しています。パッケージの色についても、テスト段階では反応は良かったのですが、実際の消費者の反応が伴わなかったという結果になっています。これはテストでは判断しきれない実際に消費者が商品を手に取るまでの心理を理解することが重要だという好例と言えます。


この失敗から高価格帯のパンパースには徹底した「安心感と安全性」を感じてもらえるように病院での利用を促進しています。小さな赤ちゃんに使用する商品を「病院が使っている」ことほど信頼を与えられるものはありませんよね。


低価格や中価格帯のものを使用している人を、高価格のものに移行させることは難しいですが、病院で生まれたときから使っているものなら退院後もスムーズに継続利用が期待できるというマーケティング視点も注目すべき点と言えるでしょう。


マーケティングにおいてはリサーチやテストは重要なものです。しかし結果が伴わなかったときの理由の解明や商品の改善はそれ以上に重要です。マーケティングを行う際にはその視点を忘れないようにしておきましょう。

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