この記事は「バリューポートフォリオとは?初心者でも分かるように解説します!」の後編になります。
前編をご覧になりたい方はこちらをクリックしてください。
バリューポートフォリオの4つの分類
2つの評価軸に対しての達成具合が高い・低いで分類することで、それぞれの事業は4つの領域に分けられます。本命事業
ビジョンとの整合性が高く、ROIも高い事業です。会社が将来あるべき姿にむけて、問題なくしっかりと利益を出すことができている理想的な事業です。本命事業に分類されたものは、さらなる拡大を狙うべき事業であると言えます。課題事業
経営ビジョンとの整合性はとれているがROIが低い事業です。会社としては続けていきたいが、利益が上がっていないので投資家・株主からは不満がある事業です。課題事業に分類されたものが目指すべきは、利益率の向上です。利益が向上すれば、本命事業へと成長できます。コストの削減や売上のアップのための施策が必要となります。機会事業
ROIは高いが、ビジョンとの整合性がとれていない事業です。利益は確保できているが、自社が将来目指すところにつながっていないという状況です。利益が上がっているので、それはそのまま残すという考えももちろんあります。しかし、ビジョンと整合しない事業を長期に続けると、従業員のモチベーション低下やブランド力の低下という悪影響が起こる可能性もあります。可能であれば、機会事業は、ビジョンとの整合性をとるのが望ましいとされています。ビジョンとの整合性をとるための行動としては、「事業内容を修正する」・「経営ビジョンを転換する」の2つがあります。事業とはビジョンを達成するために行われているものなので、事業内容を修正する方が容易です。
見切事業
ビジョンとの整合性がなく、ROIも低い事業です。そんな事業をそもそもどうして始めたのかと疑問が起きるかもしれません。たとえば利益確保のために一時的にブームに乗ろうと本来の事業と関連性のない事業を始めたが失敗した、ブームが去って利益が上がらなくなった、といった場合などが挙げられます。見切事業で行うべきは、テコ入れをして利益率を上げることでも事業内容を修正することでもなく、早期撤退です。ブランドにも傷がつき、利益も上がっていない状態であれば修正よりも、撤退の方が無難でしょう。
経営者と投資家の両方の視点で自社の事業を評価するバリューポートフォリオ。伸ばすべき事業と切り捨てるべき事業が可視化できるというのが最大のメリットです。さらには、強みや弱みを把握するのにも活かせます。
しかし「経営ビジョン」とは、抽象的なものであるのでそれぞれの事業が「ビジョンに即しているか」はデータや数値化しづらく主観的な判断となります。また、投資家目線での「利益」についても利益率を何%にするのかなどといった基準を設けづらいという問題もあることは、把握しておいた方がよいでしょう。