この記事は、自社の製品やサービスを顧客がどのような流れで購入に至るのかを示す「カスタマージャーニー」について詳しく解説しています。企業がマーケティング活動をしていく上で、自分本位な行動にならないように客観視する上で、カスタマージャーニーはとても有効なもの。作り方や目的などを基礎的なところから詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
カスタマージャーニーとは
カスタマーとは顧客、ジャーニーとは旅という意味です。カスタマージャーニーは、顧客が商品を認知してから購入に至るまでのプロセスのことを言います。カスタマージャーニーを分析することで、顧客の心理や段階ごとにどのようなアプローチをすべきか把握できるようになり、効果的に戦略を練られるようになります。
カスタマージャーニーが注目される理由
現代は「良いものを作れば売れる」という時代ではありません。従来であればテレビや新聞、雑誌などといったメディアで大々的に広告を打つことがそのまま売上に直結することも少なくありませんでした。しかし、インターネットやSNSの登場から、消費者が商品を購入するまでのプロセスに変化が生まれています。たとえば新しい家電製品を購入する際には口コミを投稿するWebサイトで検索するのを習慣にしている方は多いでしょう。
時代とともに消費者が商品を購入するプロセスは変化します。消費者がどのような心理や行動を経て購買に至るのかを可視化する方法としてカスタマージャーニーを整理することに注目が集まっています。
カスタマージャーニーを考える際には、カスタマージャーニーを図に表した以下のようなものを使用します。この図はカスタマージャーニーマップと呼ばれています。
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カスタマージャーニーマップの作り方・使い方
ここからはカスタマージャーニーマップの作成方法を順序立てて解説していきます。カスタマージャーニーは横軸が時間、縦軸がアクションを指して示しています。左上のマスから一番下のマスまで埋めたら一つ右の行の一番上のマスに進み、その行の一番下までといった流れで作成していくものです。このことをまず頭に入れておいてください。
ステップ1:ターゲットとする顧客層(ペルソナ)を明確にする
マーケティングの世界ではペルソナという言葉が用いられることが多いです。普段から耳にする言葉ではありませんが、これはターゲットとする対象のことを言います。20代や30代、男性、女性といった大きな括りではなく、なるべく細かく絞ったものを指します。自社の商品やサービスが誰を対象としたものなのかが明確でないと、それに適したアプローチが取れませんので、ペルソナの設定は重要なものになります。
ステップ2:ゴールの設定
自社の製品やサービスについて、ターゲットにどのような行動をしてもらいたいかといったゴールを設定します。通常であれば商品やサービスの購入がゴールとなりますが、問い合わせをしてもらう、サイトの記事を読んでもらうなどでも問題はありません。
ステップ3:カスタマージャーニーのフレームを設定する
この記事で紹介している図のカスタマージャーニーは、商品やサービスの購買をゴールとしています。横軸には「認知」「興味・関心」「比較検討(情報収集)」「意思決定」といった行動プロセスを取ることが多いですが、状況に応じて「認知」と「興味関心」をひとつにまとめたり、「比較検討」をなくしたりしても問題はありません。縦軸はタッチポイント(ペルソナとの接点)、そのタッチポイントで企業がすべき「行動」、そのときのペルソナの「思考(感情)」、「課題」などを取ることが多いです。ただ、項目が多いと複雑になるので初めてカスタマージャーニーマップを作成する場合などは、最低限「タッチポイント」、「行動」、「思考(感情)」の3つがあればよいでしょう。
ステップ4:各項目を埋めていく
カスタマージャーニーマップのマスの数やフレームが決まったら、実際に各項目について左上から埋めていきます。ここで重要なのは、なるべく客観的なものとすること。自分の都合に合わせたカスタマージャーニーマップを作っても意味はありません。極端な例ですが、20代の専業主婦をターゲットとしている商品の「認知段階」のタッチポイントがビジネス街でのイベントであるならば、現実的なものとは言えませんよね。 可能ならばペルソナがどのような思考でどのような行動をするのか、といった市場調査や分析を前もって行うとよいでしょう。
カスタマージャーニーマップを作成するメリット
カスタマージャーニーマップの作成方法することで、多くのメリットが得られます。代表的なメリットについて確認していきましょう。
顧客目線が得られる
客観的な視点でカスタマージャーニーマップを作成することで、顧客目線でものを見られるようになります。顧客のニーズはどこにあるのか、自社の製品や商品が提供している価値が顧客のニーズと合致しているかどうかといったチェックにもなるでしょう。顧客の目線が分かることで、効果的なアプローチ方法が迅速にとれるようにもなります。
顧客の行動に対する共通認識が持てる
カスタマージャーニーマップを作ることで、顧客の心理や行動の流れが分かります。そしてせっかくカスタマージャーニーマップを作るなら、マーケティング部署だけでなく営業や開発、バックオフィスなどさまざまな部署で共同で作り上げるのがおすすめです。
1つの部署のメンバーだけで作るとどうしても偏りが生まれやすく、せっかく作ったものが絵に描いた餅になってしまうことが多いです。異なる部署のメンバーを集めてつくることで、顧客の行動に対する共通認識が持てるようになります。マーケティング施策やPR手法というのは営業担当からは机上の空論と思われることが多いですが、共同で作り上げればその心配もなくなります。その後の社内コミュニケーションを円滑にする意味でも、カスタマージャーニーマップの作成は大いに意義があります。
カスタマージャーニーのテンプレートダウンロード