この記事では、大学卒業後に新卒として法人営業を目指す方に向けて、法人営業の仕事内容について詳しく解説しています。基本的の年間を通して未経験可の求人募集が多いという特徴がありますが、単純に「サービスや商品、情報を売る仕事」とだけ考えていると入社後にイメージと違ったなんてことが起こりやすくなります。
社会人としての経験がない新卒では、仕事に対するイメージも抽象的であることが多いはず。現在就活中の方はもちろん、転職で営業職に正社員として採用されることを狙っている方も、ぜひこの記事を参考にしてください。
法人営業の「法人」って何?
営業にはターゲットとする相手の違いで、法人営業と個人営業に分けられます。法人営業に対して営業をかけるのが法人営業、個人に対して営業をかけるのが個人営業です。「法人」とはビジネスの世界では企業や会社を指します。法人営業とは法人、つまり企業に対して営業をかけるビジネススタイルのことです。新聞や雑誌に広告を掲載してもらうことで利益を上げる広告代理店などは法人営業ですね。
一方で私たちが普段買い物をするスーパーや、食事をする飲食店、生命保険、不動産などは消費者(=個人)向けに事業を営んでいますので個人営業となります。企業によってターゲットとする層が異なることをまず頭に入れておきましょう。
BtoBとBtoC
BtoB企業、BtoC企業といった言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。これら2つの言葉はそれぞれ法人営業、個人営業を指します。BtoBとは「Business to Business」の略で法人営業という意味で、BtoCは「Business to Consumer」の略で個人営業を意味します。BtoB、BtoCはB2BやB2Cと表記することもあります。
法人営業の営業手法の種類
同じBtoB企業という括りの中にあっても、会社によって法人営業のやり方は異なります。法人営業の営業方法は大きく次の2つに分けられます。
新規開拓
常に新しい顧客を取り込んでいく営業方法です。これまで取引がない企業にアプローチし、アポイントを得るところから始まります。アプローチ方法は電話やHPへの問い合わせに対するリアクションはもちろんのこと、リストに対して順番に電話をかけていくテレアポと呼ばれる方法や、飛び込み営業なども含まれます。ゼロから顧客を獲得していくので達成感は大きいですが、常に新規顧客を獲得し続けなければならないので、目標(=数字)に追われやすいとも言えます。ほとんどの企業では新規開拓は行われています。
ルート営業
既存の顧客に対して継続的な受注がもらえるようアプローチする営業方法です。顧客との長い信頼関係を築いていくことがポイントになりますので、商品を売る力よりはきちんと相手の課題やニーズを引き出すことが求められます。一見御用聞きのように思えるかもしれませんが、信頼関係というのはふとした気のゆるみで大きく揺らいでしまうことも珍しくありません。相手の立場になって、常に新しいニーズを掴むスキルが求められます。
法人営業職がアポを取るまで
営業職を目指す方の多くは、コミュニケーション能力に自信がある方がほとんどです。実際にプレゼンや商談といったシーンになれば、力を発揮できるタイプの人は多いです。しかし、商談をすすめる際には必ずアポイントメントが必要です。相手といつどこで商談を行うかといった約束をすることで、初めてプレゼンへとつながるのです。そのため、アポ取りは法人営業職にとって、最重要とも言える業務の1つ。
「プレゼンまで行ければ」と考えている人でさえ、アポ取りに苦戦することは珍しくありません。ルート営業の場合は、すでに関係性が出来上がっているためアポ取りは難しくありませんが、問題は新規開拓の場合です。どのようなアポ取りの方法があるのか簡単に確認しておきましょう。
テレアポ
文字通り電話でアポイントを取得する方法です。会社が用意していたり、自分で作成したりしたリストを見ながら、1件ずつ電話をかけていきます。相手からすれば「付き合いのない企業からどんどん営業をかけられたい」とは思わないもの。100件電話してもアポが1つも取れないといったことは珍しくありません。そしてテレアポの難易度は、実は企業のブランドによってもあまり左右されません。たとえば「業界大手だからアポが取りやすい」なんて説明を企業説明会で受けることがありますが、あまり鵜呑みにしない方がよいでしょう。
飛び込み訪問
直接企業を訪問してアポを取得する、またはそのまま商談へつなげようとする方法です。実際に足を運んでアポ取りをするわけですから、オフィスで電話をかけるのよりも体力的に大変です。営業手法の中では最もきついと言われるものです。
テレアポと飛び込み訪問のほかには問い合わせをきっかけとして営業を行う反響営業というものがあります。反響営業の場合は、相手が既に自社の商品に興味を示していますので、アポは取りやすいです。ただ、問い合わせだけで法人営業職全員のアポが埋まることはそうそうあるものではありませんので、問い合わせにプラスしてテレアポなども行うのが一般的です。
法人営業は良くも悪くも実力の世界
自分の頑張りが数値となって表れる法人営業は、魅力のある仕事です。しかし、結果が数値化されるということは、結果がそのまま評価につながるということでもあります。法人営業には、ほぼ必ず「ノルマ」があります。「ノルマ」という言葉でなくても「目標」や「数字」という言葉で存在します。毎月の目標を達成できれば給与にインセンティブとして反映される場合や、未達成が続けばボーナスがカットされるというパターンもあります。目標達成すれば手取り50万など大きな金額が稼げる企業でも、固定給が少なく達成できなければ10万円や15万円しかもらえないということもない話ではありません。
そして営業職である限りは、永久に数字にとらわれざるをえないのも事実です。たとえキャリアアップして現場のプレイヤーを指示する側になったとしても、結局はそのプレイヤーたちが出してくる数字によって進退が左右されることになります。
高給が狙える点や、直接顧客とやりとりができるという魅力的なところだけでなく、実際に自分がずっと営業としてやっていきたいと思えるかどうかは、新卒から法人営業職の世界に就職する前にしっかりと確認しておくことをおすすめします。