この記事では、アイデアを発想するために役立つフレームワーク「シナリオグラフ」について解説しています。アイデアに行き詰まった場合に、強制的にアイデアを生み出すことができるので、ぜひさまざまなシーンで活用してください。
アイデアを出すのはブレインストーミングだけじゃない
アイデアを出すことはすごく難しいというイメージがある方が多いのではないでしょうか。アイデアは、しっかりと練られたものでなくまずは数を多く出すことが重要だとされています。アイデア出しと聞くと、思いつくままにアイデアやキーワードを出していくブレインストーミングが思い浮かびますが、今回紹介するシナリオグラフは、ブレインストーミングとは全く異なる発想のフレームワークです。
アイデアはゼロから1を生み出すものと考えてしまいがちですが、ちょっとした組み合わせで大きく変わるもの。自分の業界の常識が、他の業界では斬新であることも珍しくありません。
シナリオグラフとは
シナリオグラフは以下のような図のことを言います。
https://media.mar-cari.jp/article/detail/731
シナリオグラフは、スタンフォード大学の教授らが開発したツールで、誰が・いつ・どこで・何をするというシナリオをランダムで作り、アイデアを生み出していくものです。ブレインストーミングのように、ゼロから思いつく必要がなく、ある程度の条件が与えられた上で発想を行うため、アイデアが思いつきやすいというメリットがあります。
シナリオグラフの使い方
シナリオグラフを使用する際には、まず「何についてのアイデアを出すか」といったテーマを設定します。テーマがないことについて考えることはできないので、必ずテーマを設定しましょう。次にシナリオグラフの縦軸に「誰が」・「いつ」・「どこで」・「何をする」を、横軸には縦軸に相当するものを記入していきます。
例えば、「誰が」の横軸には「就活生」や「30代ビジネスマン」、「子育て中の主婦」、「学校の先生」、「高校生」などと記入していきます。アイデアの発想ツールとしてシナリオグラフを使用する場合には、求めるアイデアのテーマと関連性の薄いような選択肢を盛り込むと思わぬ発想につながることが多いです。
縦軸と横軸をある程度記入したら、上から順番にランダムにつなげていき、シナリオを作成します。例えば新しい製品やサービスのアイデアを出すのであれば、それぞれのシナリオで活躍する製品やサービスとはどういったものだろうかと考えていくわけです。ここで重要なのは、上から深く意識せずにランダムに選択肢をつなげていくことです。想像もしなかったシナリオが素晴らしいアイデアのヒントになるかもしれません。
縦軸の要素は「誰が」・「いつ」・「どこで」・「何をする」の4つが基本ですが、4つにこだわる必要はなく、順番を入れ替えたり、新たに増やしたりしても問題ありません。
シナリオグラフを使うコツと活用シーン
シナリオグラフは、発想がマンネリ化してきて新しいアイデアが出ないときに特に効果を発揮するツールです。ランダムに作り出されるシナリオは、あくまで発想を生み出すヒントに過ぎません。そのため、なるべく型にはまらずに行うことが重要です。
たとえば担当業務や立場が異なるメンバーなども集めて行うと効果的でしょう。横軸の選択肢はなるべく多く出すことも重要です。たとえば、学生向けのサービスのアイデアを集めたいからといって、「誰が」の項目を、「中高生」などと限定してしまうと、自然とアイデアの枠が狭くなり、自由な発想がしづらくなります。シナリオを作成する段階では、選択肢はなるべく絞らないことをおすすめします。
シナリオグラフは一般的に、製品やサービス、コンセプトなどや機能などのアイデア出しに使われます。しかし、新たなものをつくり出すだけでなく、既存のものを改良する際にも有効です。たとえば、若者向けのサービスを高齢者向けにアレンジするというだけで、新たなアイデアを1つ生み出すことができます。横軸の選択肢を多くしておくことで柔軟な発想が可能です。
シナリオ作りの際に意識したいのは、「インパクト」です。インパクトは常識にとらわれていないからこそ感じることができます。学習のサポートをするサービスを考えるなら、自然と対象が「勉強ギライの子」となってしまいがちですが、勉強を楽しいと思わせる工夫だけにとらわれるのではなく、そもそも「勉強好きの子」を対象としたサービスがあってもいいはずです。
サービスや製品を考えるときには、なるべく多くの母数があるものを対象としがちですが、他の企業が対象としていないニッチな市場にこそ、活路がある場合も少なくありません。シナリオグラフを使って、ぜひ柔軟な発想を起こすヒントとしてみてください。