ペルソナとは
ペルソナ(persona)とは、商品やサービスを利用するユーザーの中でも、「最も典型的なターゲットとして近い人物像」を創り出す、マーケティング手法のひとつです。年齢、性別、家族構成、職種、年収、趣味嗜好など、実在する人物かのように細かく人物設定をして、ユーザー像を明確にすることを目的とした、マーケティングで非常によく使われる手法です。
このユーザー像は「架空の人物」ですが、実在する誰かしらの写真を用いたり、本当に存在する人として細かく設定することがポイントです。
ペルソナを設定する目的は?
「なぜ、わざわざペルソナ設定が必要なの?」
「ターゲット像は市場調査で明らかになってるのでは?」
と思われるかもしれませんが、ペルソナを基にマーケティングを進めることは非常に有効です。
旅行会社の商品企画、マーケティング担当と仮定して、例を考えてみたいと思います。
「夏休み沖縄1週間10万円ツアー」というざっくりした企画の方向性が決まって、では具体的にどういうツアー内容にするか、年齢・性別の違う5名の企画チームのメンバーで考えるとなった時、出てくる案は当然人によって変わってきます。
ここは観光するべき、ここのホテルを抑えるべき、このアトラクションはいれるべき、などなど。年齢・性別・趣味嗜好が違えば、旅行に求めることが違うので無理もありません。このままで議論を進めていけば、発言力のある誰かの意見が採用されがちになったり、ここはAさんの意見、ここはBさんの意見のように平等な採用をすれば、「統一感のない、誰のためのツアー企画?」となりかねません。
こういう時に、ペルソナ設定が役に立ちます。
上記はすごくざっくりしたペルソナ設定ですが、ペルソナがあるのと無いのでは考えやすさが全然違いますよね。「シュノーケリング、初めての沖縄」、この2つのキーワードだけでも企画を絞っていくことが可能です。
日常的なことでイメージすると、もう少しわかりやすいかもしれません。
例えば、「とある友人から、彼女の誕生日になにをプレゼントすれば良いか悩んでる」と相談を受けたとします。その彼女と自分も友人や知り合いであれば、こういうのが良いんじゃない? とアドバイスしやすいですが、年齢も見た目も趣味嗜好もわからなければ、ありきたりなアドバイスしかできないでしょう。
その話のターゲットがどういう人かを具体的にすることがペルソナの目的です。
ペルソナを設定するメリット
ペルソナ設定がどう役立つかはイメージできたかと思います。さらにメリットを考えていきます。①ターゲットのイメージ像を共有できる
前述した旅行会社の例のように、企業において商品企画を複数人で検討することはよくあることです。人によってターゲット像のイメージが違うと、出てくるアイデアの方向性も微妙に違い、話し合ってもなかなか折り合いがつかない状況になってしまいます。そんな時に、「この人をイメージして考えよう」という共通認識の人物が1人いるだけで、効率的に同じ方向性で議論を進めていくことができます。
②ターゲットの事を深堀りして考えることができる
旅行会社の例でしたペルソナ設定は、設定のほんのごく一部だと思ってください。本来は朝何時に起きて何時の電車に乗って出勤して、休日は何をしているという予定や、好きなTV番組は何で、好きなビールの銘柄は何で、など、とにかく細かく人物設定していきます。ここまですることによって、この人の価値観や、こういうことに喜びを感じるのでは? という予想、つまり、ユーザー目線で考えることができるようになります。そうなれば、より魅力的な企画が検討できそうですよね。
③プロモーションをどのようにするかの参考にもなる
商品企画が出来上がって、それをどのようにユーザーに知ってもらうか? 広告という手段を取ったとして、とにかくいろんな人の目に留まるように闇雲にさまざまな媒体で宣伝するのか、それともターゲットとするユーザーにだけ特に目の留まりやすい媒体を使うのか。どちらがコストパフォーマンスが高いかは言うまでもないでしょう。ペルソナを設定する時の注意点
ペルソナは、商品やサービスを利用するユーザーの中でも、「最も典型的なターゲットとして近い人物像」であることを意識することです。自分の頭の中で”それっぽい人”を創れば良いというわけではありません。口コミなどリアルな声からリアルなユーザー像を構築することがポイント。自分の家族や友人の中に、ユーザー像に当てはまる人がいれば、そういった人を思い出しながら構築するのは良いですが、妄想で創り出すのとは違います。
また、ペルソナは基本的に”1人”なので、リアルな声を反映する時も、そのペルソナ像に近しいものを採用することがポイントです。性質の異なるリアリティが複数あると、この人は一体何者? と議論がややこしくなってしまいかねません。自分用ではなく、議論に参加するすべての人が共通認識を持てる人物像を創ることを意識しましょう。