目標設定に必要なSMARTとは
1981年、ジョージ・T・ドランという人によって提唱された、「SMART」という目標設定におけるフレームワークのことです。現在でも多くの企業で目標設定に際して用いられている考え方で、ビジネスの世界における目標設定のスタンダードと言っても過言ではありません。
SMARTは、以下5つの頭文字を取ったものです。
M:Measurable(メジャラブル:測定可能な)
A:Achievable(アチィーヴァブル:達成できる)
R:Related(リレイテッド:関連した)
T:Time-bound(タイムバウンド:期限を決める)
そもそも、目標設定は必要?
目標設定とは?わかりやすいところで言えば、お店の売上げとか営業数字です。「今月の売上げ目標は100万円」と数字があるのと無いのでは大きく違いますよね。目標が定められていなければ、現在良い状態にあってこれを継続するべきなのか、それとも何か改善が必要な状況なのかが判断できません。目標を達成しそう、もしくは達成している状態にあれば当然”達成感”を感じられるので、自信が出たり、モチベーションの維持にも効果がありますが、天井なく数字を追うというのはなかなかモチベーション維持が難しいもの。
また、評価する側も何を基準に評価すれば良いのかわかりません。なんとなく良かった・悪かったという感覚で決めれば、評価にバラつきも出ますし、人によって評価項目が違っていて、比較しずらい抽象的な項目が並べば平等な評価はできないでしょう。
目標設定をすることによって、従業員それぞれが今どのような状況にあるのか、従業員側も管理者側も健康診断のように見ていくことが可能となります。改善点がわかればPDCAサイクルを回すのにも役立ちます。
SMARTをひとつずつ解説
SMARTのそれぞれの項目の意味をもう少し深堀りして解説します。・S:Specific(スペシフィック:具体的に)
目標設定は”具体的に”しましょうということです。例えば、「スキルアップする」という漠然とした目標では、何のスキルを伸ばすの?となりますよね。業務に関連する資格を取るための勉強をするとか、セミナーに行って知見を広げるとか、ビジネス書籍を読むとか、具体的な行動内容で設定することがポイントです。・M:Measurable(メジャラブル:測定可能な)
目標を”数値化”しましょうということです。例えば前述した「業務に関連する資格を取るための勉強をする」を仮に目標のひとつに組み込んだとして、このままだと評価は勉強をしたか・してないかの2択です。これでは目標に対してどれだけの活動があったかが測れませんし、どれだけ勉強するべきなのかもわかりません。「毎日30分、継続して勉強を続ける」のような勉強時間に対する設定にするか、それとも「テストで何点取る」という成果に対する目標にするかはモノによりますが、何かしら数値化することがポイントです。
・A:Achievable(アチィーヴァブル:達成できる)
「目標は大きく」ではありますが、大き過ぎて達成不可能な目標設定では意味がありません。「こんな目標絶対達成できないよ」と現実離れした内容だったら、追う前から諦めてしまいますよね?例えば、毎月違う資格テストを1年間受験して、12種類の試験すべてに合格するとか。睡眠時間ゼロでも厳しいでしょう。「努力すれば達成できる目標」に設定することが重要です。・R:Related(リレイテッド:関連した)
会社、部署、役割に関連した目標にしましょうということです。目標は個人的な目標ではありますが、プライベートな目標設定をするものでないことは言うまでもありません。「今年こそは結婚する」としても、それは会社的には何も関係ないですから。・T:Time-bound(タイムバウンド:期限を決める)
これまで検討してきた目標を”いつまでに”やるか、タイムリミットを設定します。本来1ヶ月あれば達成できることを3ヶ月後の目標として、悠々達成してもまったく意味はありませんし、本来達成に1年必要な目標を6ヶ月後としても意味がありません。一般的に上半期・下半期で評価を分ける企業が多いと思うので、その期間内、努力を継続できたとしてどこがマックス値かを推測する力が必要です。
目標設定をする上での注意点
・形式上、設定しただけの目標にしないこと
スタートアップ企業のような、トライ&エラーを繰り返す状態の企業だと特に、社内の人事が流動的なケースがよくあります。兼務する仕事が増えたり、急に配置転換があったり。目標の再設定をせず、評価の時期が来た時に、あれもこれも経験したけどどれも目標に合わないし、どれも中途半端な関わりだから実績もない。だから評価が付けられないね。となっては、モチベーションガタ落ちです。せっかくの目標設定が無駄になって終わらないよう注意が必要です。会社と自分の意志を合わせること
会社や上司から、「こういう人物になってほしい」と期待される姿と、自分のなりたい姿の意志がズレると、成果が良くても評価を与えづらい・もらいにくい関係になってしまいかねません。成果至上主義なのか、プロセスも重要とするのか、何に対して評価されるのかを理解することから始めましょう。まとめ
同じ会社内でも、部門や上司によって評価に対する考え方は異なりますが、達成をわかりやすく明確に伝えることができて、最も評価を得やすいのは「数字で示すこと」でしょう。販売数、売上げ、業務効率化によるコスト削減といった数値で示しやすい項目以外も、「スキルアップをする」とか、「努力する」といった表現を避け、なんでも数字で示すことを心がけてSMARTに目標設定する意識を持ちましょう。