この記事は「アンゾフの成長マトリクスとは?使い方や特徴について紹介します」の後編になります。
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多角化戦略はさらに4つに分けられる
アンゾフの成長マトリクスが提唱された時代背景には、当時のアメリカでM&A(合併買収)が盛んだったことが挙げられます。複雑化するそれぞれの企業の状況を見てアンゾフは成長マトリクスを提唱したと言われています。新商品を新市場に投入しようとする多角化戦略は、さらに4つのパターンに分けられました。
水平型多角化
水平型多角化とは、同じ業種・同じ分野の中で事業拡大を図るものです。分野を絞ることで既存のノウハウや設備を利用することが可能です。自動車メーカーがレンタカー事業を始めたり、アパレルメーカーが、高級なラインと比較的手に取りやすい価格帯の2つのブランドを運営したりするなどがこれにあたります。垂直型多角化
商品の開発や仕入れをして、消費者の手に届くまでの行動をバリューチェーンといいますが、垂直型多角化では、既存のバリューチェーンから上流・下流行程へ事業を拡大させること指します。メーカーが販売事業に進出したり、販売事業から生産事業へも拡大させたりすることなどが該当します。水平型とちがい、既存のノウハウが生かせず新たな設備が必要になるといったコストもかかるデメリットがありますが、生産や仕入れから販売に至るまでのコントロールがしやすくなるメリットもあります。
集中型多角化
既存の商品やサービス、技術などの中から核となるものを選び、そこから起点に事業を拡大させていくことを指します。既存商品に近い種類の商品を開発して新市場の開拓を狙うことが多いです。PCメーカーが音楽プレイヤーやスマートフォン市場に進出するなどは集中多角化の例と言えます。集成型多角化(コングロマリット型多角化)
コングロマリットとは「複合」を意味する言葉で、既存の事業とは直接的な関連性がない事業に参入する戦略を指します。新しい商品で新しい市場へ挑戦する、多角化を象徴するような戦略と言えるでしょう。当然リスクが大きくなり、既存事業とのシナジー効果(相乗効果)がとれるかが課題となります。アンゾフの成長マトリクスでは市場と商品を軸にしますが、コストに対するリターン、つまり投資対効果のバランスにも留意する必要があります。参入コストが高いから避けるべきだといった画一的な判断ではなく自社の特性との相性も考慮した上で戦略を練るのが重要になります。成長を続けるというのは短期的な目標ではなく、中長期的に目指すものですので成長戦略を練る際も同様に先を見据えて判断することが推奨されます。
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