この記事では以下のことが分かります。
・ハーズバーグの二要因理論(動機付け・衛生理論)
・理論を活かした従業員のモチベーションマネジメント手法
ぜひ参考にしてください。
ハーズバーグの二要因理論とは
ハーズバーグの二要因理論(動機付け・衛生理論)は、従業員の仕事に対する満足と不満足に関する理論で、社員に満足を与える要因と不満を生む要因は別のものであるという理論です。満足を与えるものが欠けても不満にはつながらず、逆に不満を与えるものが満たされたところで満足にはつながらないとするのが特徴です。
この理論は、アメリカの心理学者ハーズバーグが、ピッツバーグのエンジニアと経理担当者の200人を対象に「仕事中に極度の満足または不満足を覚えたとき、その仕事の上でどのようなことがおきたのか」を尋ねる研究の結果、導き出されたものです。 従業員の満足に関わる要因と不満に関わる要因が別のものであることは以下のような図をイメージすると分かりやすいでしょう。
https://media.mar-cari.jp/article/detail/785
動機付け要因:満足に関わる要因
従業員の満足に関わる要因のことを「動機付け要因」と言います。動機付け要因には「承認されること」、「達成すること」、「成長すること」、「昇進すること」、「仕事そのもの」、などがあります。たとえば仕事において自分の成長が実感できると満足感を覚えるということです。動機付け要因は、自身の成長や外部から認められることと密接な関係があるとされています。一言で表すならば「やりがい」につながる要素と言えるでしょう。
動機付け要因は、不足しているもしくはかけているからといってすぐに不満が出るものではないものの、あればあるほどモチベーションにつながり、仕事に前向きになれる要素であるのが特徴です。
衛生要因:不満に関わる要因
従業員の満足に関わる要因が「動機付け要因」と呼ばれるのに対し、不満に関わる要因は「衛生要因」と呼ばれます。衛生要因には「給与」、「対人関係」、「福利厚生」、「会社の政策」、「作業条件」などがあります。衛生要因の特徴は、満たされることで不満の解消にはなるが、満足感にはつながらないこと。あくまで働く上での土台に過ぎず、長期的なモチベーションの向上にはつながらないとされています。
たとえば給与が低いことは不満の要因になりますが、一定水準の給与であってもそれが満足にはつながらないということです。給与が多少低くてもやりがいを感じられる仕事を選ぶ人が多いことは、給与が衛生要因であることを示していると言えるでしょう。
動機付け要因と衛生要因の両方を満たすことが重要
動機付け要因と衛生要因はどちらが欠けても、社員のモチベーションを高められなくなります。動機付け要因と衛生要因はお互いを補い合うような関係性だと考えてください。どんなに達成感や成長が感じられる仕事であっても、そもそも給与が水準よりも低ければ、続けていこうとは思えないでしょう。逆にどんなに給与が良くてもやりがいや将来性が感じられない仕事なら、このまま働き続けていいのだろうかと不安になり転職を検討する従業員が出てくるはずです。
従業員のモチベーションを高めるためには、動機付けと衛生要因の両方を満たすことが必須であることを忘れないようにしてください。
自社の従業員満足度を高めるために現状を把握しよう
近年では、従業員満足の先に顧客満足があるとして、従業員の満足度を高めようとする企業が多いです。超高齢社会にある日本では、すでに人口の減少が始まっています。今後はますます新たな人材の確保が困難になるでしょう。そのため業務効率化や離職防止を図るために従業員を大事にして従業員満足を高める活動は今後ますます活発になることが予想されます。
しかし従業員満足を高めるための施策が、動機付け要因や衛生要因のどちらかに偏ってしまっているケースが非常に多いです。衛生要因は不満を解消するもので従業員の満足にはつながらず、動機付け要因は満足につながるものの不満の解消にはなりえないことを、しっかりと意識しておくことが重要になります。従業員のモチベーションを高めたいのなら、衛生要因をしっかりと満たした上で動機付け要因を満たさなければなりません。
自己成長や上司からの承認だけを与えても、「やりがい」を標語にして安い給与で部下を働かせていることになります。逆に給与はそこそこで福利厚生が整っていようと、仕事にやりがいが見出せなければ会社の成長にはつながりませんし、離職者も増えていくでしょう。
とはいえ客観的に動機付け要因や衛生要因が満たされているかどうかを判断することは簡単ではありません。動機付け要因や衛生要因について従業員に周知させた上で、動機付け要因の大小、衛生要因の大小を匿名で回答してもらうなどをするとよいでしょう。
アンケートに回答してもらうことで、「やりがいばかりを重視して従業員の不満に気づけていなかった」、「安定した給与や福利厚生の整備に注力していたが、モチベーションを高める工夫ができていなかった」といったことに気づけるはずです。
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