• 2020/11/11
  • ノウハウ
  • マーケティングフレームワーク

バリュープロポジションキャンバスを作成してニーズのズレをつかむ

  • マーキャリ 編集部
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この記事では、自社が提供する製品やサービスが顧客ニーズと合致しているかを分析するためのフレームワーク「バリュープロポジションキャンバス」について詳しく解説しています。 使い方や作り方自体は難解なものではありませんが、使っていく上での注意点がいくつかあるので確認しながらぜひ最後までご覧ください。

バリュープロポジションキャンバスを作成する目的

バリュープロポジションとは「提供価値」を意味します。バリュープロポジションキャンバスは、絵を描くキャンバスのように自社の製品やサービスが提供している価値が、ユーザーのニーズを満たしているかを分析するために行うものです。


現代は、作れば売れる、よいものであれば売れるという時代はとっくに終わりを告げ、良いものであることは前提に、他社との差別化が重要になっています。しかし、企業は差別化を意識するあまり顧客のニーズに沿っていないものを作ってしまいがちです。たとえば洗濯機やオーブンレンジなどの家電製品などで、長年使用しているにも関わらず、ほとんど使ったことがない機能がどなたにもあるのではないでしょうか。


差別化する際には「競合他社と違ってさえいればよい」のではなく、「競合他社より顧客ニーズを満たしている」という点で差別化を図らなければなりません。自分本位な差別化ではなく、正しい差別化をするため、または正しく差別化ができているかをチェックするためにバリュープロポジションキャンバスの作成が重要になります。 バリュープロポジションキャンバスは、以下の図のようなテンプレートを用いて作成していきます。


https://media.mar-cari.jp/article/detail/756

バリュープロポジションキャンバスの作成手順

バリュープロポジションキャンバスは、左側の四角と右側の丸いパーツに分かれています。左側の四角いパーツ全体をバリューマップ、右側の丸いパーツ全体を顧客プロフィールと呼ぶことが多いです。左側にあるバリューマップが自社が提供している製品やサービスについて記入する欄で、右側にある顧客プロフィールは顧客について記入する欄です。


バリュープロポジションキャンバスは、会社で行っている事業全体に対して行うものではなく、商品やサービス、ターゲットとなる顧客を絞って行うものです。たとえば自動車メーカーであれば、たとえばファミリー向け自動車や、一人暮らしの男性向け自動車というようにそれぞれのカテゴリごとにバリュープロポジションキャンバスを作成するのが望ましいです。


バリュープロポジションキャンバスを作成するにあたっての基本ルールは、顧客プロフィールから埋めること、簡潔に1文で表現することの2つです。 右側の顧客プロフィールから埋める理由は、バリュープロポジションキャンバスを作成する目的を考えれば必須のことだと分かります。バリュープロポジションキャンバスを作成するのは、自社の製品やサービスが顧客のニーズに合致しているかを確認するためです。左側のバリューマップから埋めてしまっては、それに合わせて顧客のニーズを埋めてしまうという本末転倒な作業になりかねません。バリュープロポジションキャンバスを作成する際は、必ず右側から埋めていきましょう。  

顧客プロフィール1:顧客の解決したい課題

顧客プロフィールは「顧客の解決したい課題」から埋めていくとスムーズです。図にある「顧客の解決したい課題」とは、言い換えれば顧客のニーズです。これは、家事の手間を減らしたいといった実用的なものだけでなく、周りから評価されたいなどの社会的なもの、安心したいといった感情的なものも含まれます。  

顧客プロフィール2:顧客の悩み

顧客の悩みとは、顧客プロフィール1の顧客の解決したい課題に取り組むにあたって顧客が避けたいネガティブな結果のことを言います。たとえば費用がかかりすぎることなどが顧客の悩みに該当します。言葉だけでとらえると課題と悩みは同じように思われますが、別のものであることに注意してください。  

顧客プロフィール3:顧客にとってのメリット

顧客にとってのメリット欄には、1の顧客の解決したい課題が、どのように解決されたら嬉しいかを記入します。顧客が達成したいポジティブな結果だと言い換えてもよいでしょう。たとえば、家事の手間を減らしたいという「課題」に対して、費用がかかりすぎるという「悩み」があれば、お金をかけずに家事の手間を減らすことが「メリット」になります。


3つの顧客プロフィールを使用し、企業が価値を提供する対象となる人を分析し、それに対して自社製品やサービスでアプローチすれば顧客のニーズに合致した価値提供となるわけです。


顧客プロフィールを作成する際には、イメージで行わないことが重要です。例えば自社のターゲットと重なる社内の人間に意見を求めたり、一般の人を対象にアンケートを行ったりといったテストが必要になります。アンケートなどのテストをしっかりと行うことで顧客が求めるニーズがはっきりと浮かび上がってきます。  

バリューマップ1:製品・サービス

バリューマップの製品・サービスの欄に、自社の製品・サービス名を記入します。  

バリューマップ2:顧客の悩みを取り除くもの

バリューマップ1で挙げた製品やサービスが、どうなれば顧客の悩みを取り除けるか、顧客プロフィール2の顧客の悩みをなくしたり減らしたりできるかを記入していきます。  

バリューマップ3:顧客に利益をもたらすもの

顧客プロフィール3の顧客のメリットを満たすものに対応する項目です。顧客に利益や良い感情をもたらす自社製品やサービスの内容を記入します。


バリューマップを作りこむことで、自社の製品やサービスがどのように「顧客の悩み」を緩和し、「顧客のメリット」を創り出すかを明確にできます。 バリュープロポジションキャンバスを作成していくと、顧客プロフィールにもバリューマップもたくさんの項目が書き出されるでしょう。優れたバリュープロポジションマップであるほど、バリューマップに書き出された項目が、顧客プロフィールに書き出された項目に対応しているものになります。


とはいえ、元々のビジネスモデルに欠陥があれば、バリュープロポジションキャンバスを作成してニーズのズレを認識しても、それを埋め合わせることは難しくなります。フレームワークは気づきを与えてくれるものですが、どのようにマーケティングに活用するかはフレームワークの結果から自ら考察する必要があることは忘れないようにしましょう。

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