• 2020/06/08
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経営の見直しができる三次元事業定義モデルとは!?

  • マーキャリ 編集部
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起業して5年以内に80%の会社が倒産するというデータからみると業績が毎年右肩上がりで上昇し続ける企業は少ないでしょう。長期的なトレンドでは業績が伸びていても、どこかで沈むポイントがあります。下落するポイントがあるからこそ企業として何が足りないのか見つめ直し再び売上が伸びていきます。そこで本記事では三次元事業定義モデルを使いどのように経営の見直しを図ればよいのかということについて解説します。

三次元事業定義モデルとは

三次元事業定義モデル
https://media.mar-cari.jp/article/detail/736

三次元事業定義モデルとは事業の見直しを顧客目線で読み解くフレームワークです。こちらは1980年、イギリスの経済学者でデレク・F・エーベルという方が著書「Design The Business」にて提唱しました。事業領域を定義するには顧客層・技術・顧客価値の三次元から分析する必要があるとうたっています。


三次元と表現した理由はエーベルが発表するまでは二次元で定義付けされていたからです。イゴール・アンゾフが1957年に顧客と技術の観点から会社の事業領域を決定することが正しいと提唱していました。つまりエーベルは顧客価値という項目を加えることでより洗礼された事業定義モデルを完成させたことになります。


顧客価値が必要になった理由は市場の変化です。エーベルが提唱するまでは物が足りない時代でした。需要が供給を上回っていたこともあり生産すれば売れる時代です。しかし生産技術の向上により供給が需要を上回りはじめました。するとただ作っただけではプロダクトが売れなくなり、価値を新しく提供することで物が売れるようになるとエーベルは気付きました。このようないきさつがあり三次元事業定義モデルは誕生しました。

三次元事業定義モデルを解説

では三次元事業定義モデルについてもう少し詳しくみていきます。ポイントは顧客志向ということです。当時の時代背景もあり、画期的な技術力があったとしても顧客のニーズに合っていなければ価値がないというのが前提です。そして顧客目線で考えるためには顧客層・顧客価値・技術の順で事業ドメインを定義する必要があるとしています。事業ドメインとは事業領域のことを表しています。まず3つの軸からみていきます。


顧客層

顧客層とはターゲティングのことを指します。欲をいえばペルソナまで設定すると事業ドメインを定義しやすいですがターゲットを狭ませ過ぎるのはよくないです。


顧客価値

顧客価値とはターゲットのニーズです。何に価値を感じるのかを定義します。


技術

技術とはニーズを実現するためには自社のどのリソースを活用すればよいのかということです。


以上のように最初にターゲット設定から事業ドメインを定義付けしていくと、自然と全て顧客志向で物事を考えられるようになります。ここが三次元事業定義モデルの優れている点です。三次元事業定義モデルについて理解したところで、「なぜ事業ドメインを定義する必要があるのか」ということについて、次からみていきます。 

ドメイン定義の必要性

ドメイン定義の必要性について情報化社会になったことが理由の一つに挙げられます。情報化社会になると時代の流れも早く、顧客のニーズもすぐに変化します。そのため少し前にターゲティングした顧客が3年後には志向が全く異なっている可能性もあります。現に2020年の新型コロナウイルスの影響で、約3か月という短い期間でオンラインMTGの対応を迫られた企業が山程あるくらいです。


情報化社会になる前までは変化スピードも遅く、物理的ドメインや機能的ドメインにより定義付けをすればいい時代でした。しかし現代で、物や機能だけに特化したサービスでは数年で時代に置いていかれてしまいます。 また情報が乱立する社会では消費者の方が企業より詳しいという現象も起こりえます。そのような逆転現象が起きないためにも顧客のニーズを随時チェックした適切なアプローチが重要です。 

三次元事業定義モデルのメリット・デメリット

それでは三次元事業定義モデルのメリット・デメリットについてご紹介します。 

メリット

メリットとしては選択と集中・経営の多角化・信頼関係向上があげられます。 

選択と集中

三次元事業定義モデルにより経営の見直しをすることで、会社の方向性に合っていない事業を見つけ切り捨てられます。事業削減した分コストが浮き、コアコンピタンスに力を注ぐことができるので競合他社をより圧倒できます。 

経営の多角化

経営の多角化は一見さきほどのメリットと矛盾していますが、ここでの多角化の意味は集中した事業において新しい分野を開拓するということです。コンセプトのない多角化はよくないですが、戦略的多角化なら行うべきでしょう。分散投資をすることで企業としての力はより強固になります。 

信頼関係向上

ドメインコンセンサスは信頼関係を向上させます。事業の方向性が外部にも明確だと投資家も投資しやすいです。ステークホルダーの信頼も勝ち取れ業務効率化が実現できます。 

デメリット

デメリットはペルソナの設定・事業ドメインの慎重な選択・意思決定スピードがあげられます。 

ペルソナの設定

三次元事業定義モデルでは顧客志向を重視するあまりに、ペルソナの仮説が間違ってしまうと全く機能しないという側面があります。そのため、ターゲット選定から行って、随時絞っていく方が成功はしやすいです。 

事業ドメインの慎重な選択

事業ドメインを限定する場合は、自社の方向性や経営資源の活用を入念に検討し、注意深く決めていく必要があります。慎重に選択しないと会社の業績を大きく傾けかねないからです。抱えているリソースを正しく把握していれば経営判断を間違う可能性は少ないでしょう。 

意思決定スピード

中小企業の場合は問題ないですが、大企業の場合はデメリットになる可能性があるのが意思決定スピードです。せっかく選択と集中ができたにもかかわらず、上層部がなかなか決断を下せなかった場合は手遅れの状態になります。競合他社に持っていかれることも考えられるでしょう。そのように考えると本来得られるはずの利益が得られない状況になるので、意思決定スピードが遅い組織では事業ドメインを再定義している時間はデメリットになります。

具体例の紹介

モスバーガーを例に成功例を紹介します。都市部から地方まで全国展開しているハンバーガーチェーンのモスバーガーは顧客満足度を一番に考える事業ドメインを設定しています。例えば店舗の空間設計からイベント実施、人材育成における研修プログラムに至るまでコンセプトが統一されています。


その結果低価格で勝負する競合のハンバーガーチェーンとは差別化でき、売上を伸ばし続けています。また品質重視な戦略のため安心安全という点がコアコンピタンスとなっているのがモスバーガーです。 

まとめ

三次元事業定義モデルは会社単位で取り組むのもよいですが、事業部ごとに取り組み、リソースの再分配をするのもおすすめです。今一度事業ドメインを見直し、強固な経営基盤を確立しましょう。

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