• 2019/02/01
  • インタビュー
  • 突撃!となりのマーケター

デザイナーからの挑戦。世界で通用するコミュニケーターを目指して

  • マーキャリ 編集部
article-image

今回は、AWPジャパン株式会社の片倉さんへインタビューを行いました。同社は日本ではなかなか聞きなじみがなくても、世界でも有数の保険・金融グループです!
メイクアップアーティスト専門学校卒業からキャリアが始まっているという異色の経歴である片倉さん。どのような経験や出会いが、マーケターとしての片倉さんを形成していったのでしょうか。

*各種保険サービスをワールドワイドに展開
――御社の事業内容を教えてください。

片倉さん(以下敬称略)
AWP(アリアンツ・ワールドワイド・パートナーズ)は金融・保険グループ会社で、その日本事業部が弊社です。国によって事業の大きさも異なっていて、グループ全体では自動車やトラベル・レジャー、ホーム関連などの各種アシスタントサービスをワールドワイドで展開しています。
日本では主に、自動車関連の各種保証サービスやコールセンター・BPOを提供しています。例えば旅行先での車両故障が起きた時に、レッカーの手配や緊急時の応急処置、車両の管理、ドライバーの移動手段の手配など、現場での突発的な事故やアクシデントが起こった際のサポートを全面的に行っています。また、ロードサイドアシスタンスだけでなく、トータルで車の販売に関する総合的なサポートサービスも行っています。

――グループ企業とのことですが、どれぐらいの規模の会社なのでしょうか?

片倉
アリアンツグループの本社はドイツにあり、その傘下には保険・金融関連の企業が多く入っていて、年間のグループ総保険売り上げは約16兆円です。例えば日本の損害保険会社を全て合わせた年間の保険総売り上げは約8兆円なので、その2倍を1社で稼いでいるグループですと説明すると規模が分かっていただけるかと思います。

――16兆円!凄く大きな規模の会社なんですね!

片倉
会社の規模に従業員さえも気付けていないですね(笑)弊社はCMを多く打っているわけでもなく、広告看板が多いわけでもないので、アリアンツという会社がどれぐらいの規模なのかという事はあまり認知されていないです。実際にはかなり大きな規模のグループなのだということに社内コミュニケーションを通じてようやく従業員も気付けているのだと思います。
*社内の何でも屋として幅広い業務を担当
――マーケティング課で片倉さんはどのような業務を担っているのでしょうか。



片倉
マーケティング課は何でもやる課ですね。「何をやる課ですか?」と聞かれたら何でもやる課ですと答えるようにしています(笑)私が担当しているポジションは「マーケティング&コミュニケーション」です。コミュニケーションには、社内だけでなく、社外も含まれます。一般的な企業であれば社内の広報担当者、社外の広報担当者で分かれていますが、弊社の場合、マーケティング・経営戦略部がそれらの役割も担っていますね。

――社内での役割がすごく広いですね!具体的にはどのような業務があるのでしょうか?


片倉
プロジェクトや経営の動きによって業務の優先順位が変化するので、未経験の業務も多く、日々のタスク管理が大変なポジションです。弊社は2016年10月1日付けで社名を「AWPジャパン株式会社」に変更したのですが、その際の社名変更プロジェクトをマーケティング・経営戦略部が取り仕切りました。会社全体を横断するような全社的なプロジェクトにも取り組んでいます。

また、人事関連の業務も携ります。直近では、本社人事部から採用戦略に伴ってエンプロイヤーブランティングを各地域で展開して欲しいという依頼があり、それを実行する際に上層部とのコミュニケーションが発生します。人事部長やCOO等とコミュニケーションを取りながら、日本での活動内容を整理してアクションを起こします。その際のポスター制作なども私が担当しました。社内の製作会社ですね(笑)それに伴ってWebの管理やWebの更新、動画制作、ライティング業務なども発生します。これらの業務は全てマーケティング・経営戦略部の管轄ですね。
*マーケターに求められる人材要件
――まさに社内の何でも屋ですね!アリアンツに入社する以前の片倉さんの経歴について教えてください。

片倉
私はもともとメイクアップアーティストを目指していて、メイクアップアーティストの学校を卒業したのですが、メイクで生計を立てることは難しいと思い、社会人向けのグラフィックデザインの学校に通い2年間勉強して、WEBデザイナーを経た後にWeb制作会社にてWebディレクターとして入社しました。

WEBデザイナー当時はまだWebの黎明期だったので、指示されたデザインを言われたままに形にするだけでWebデザイナーとして通用していたのですが、実務経験を積む中で、裏側のシステムを理解し、サイトの構成案からお客さんとディレクションをしていかなければ、実践的なWebデザインを身に付けることはできないと感じるようになりました。

その後WEB制作会社にてディレクターを担当。クリエイティブチーム制だったので、私の下に5人ぐらいディレクターがおり、その他にデザイナー・コーダー等全体で20名ぐらいのチームでした。多い時では60件ぐらいの案件を抱えていました。お客さんはアパレル関係が多かったですね。そこの制作会社で働いていたのは28歳から31歳までの丸3年間で、そこでの経験が私のスキルのコア部分を作ってくれましたね。

その後は、1つのマーケティングに集中的に取り組みたいと思い、保険会社に入社しました。そこでは、代理店さんとのコミュニケーションやコールセンターの管理、WEBのリニューアルを担当していました。いわゆるクライアントサイドでの仕事は初めてだったのですが、クライアント側に立つことで様々な経験をさせて頂きました。その時に、保険会社に勤めていた上司と付き合いがあり、仕事の話をしていたときにアリアンツに来ないかとお声がけ頂いたのが、現在のアリアンツに入社したきっかけですね。
*マーケターに求められるスキル
――マーケターに転職する際に、大変だったことや準備したことはなんですか?


片倉
私自身マーケターになるための準備はほとんどしていないですね。マーケターは求められるスキルや業務内容に幅がある職種なので、職務経歴書で経歴や実績、スキル面をアピールしたとしても採用担当者がマーケティングに明るい人物でなければ、なかなか理解されづらいですね。企業によって、マーケターはキャンペーン担当者というような認識を持っている面接官もおられ、求職者側と企業側でミスマッチが起こりやすい職種だと思います。

――片倉さんが考える、マーケターに必要なスキルは何でしょうか?

片倉
大きく分けて2つあって、1つはコミュニケーション能力ですね。お客様のニーズに寄り添い、実現したいビジョンをヒアリングして実行する能力が求められます。専門技術に特化して集中的に実戦経験を積みたいのであれば、外部の委託業者にいたほうが幸せかもしれないですね。

2つ目はプロジェクトマネジメント能力ですね。プロジェクトの進捗状況に合わせて、何が優先される業務なのか、どのように進行させるのかなど、計画的に日々の業務に取り組んでいく必要があります。

――マーケターに求められるスキルはコミュニケーション能力とプロジェクトマネジメント能力だという事でしたが、これらのスキルは現在マーケターでない方であっても身に付けることができますよね。

片倉
そうだと思います。私自身いつかマーケティング部で仕事をしたいと思っていたわけではないので(笑)最低限コミュニケーション能力とプロジェクトマネジメント能力があれば、マーケターとしての入り口に立てると思います。私はコミュニケーションとマーケティングは同じものだと思っていて、例えばキャンペーンで広告代理店にキャラクターを作ってもらい、ファンを獲得する一連のアクションは全てコミュニケーションですね。そう考えると、プロジェクトの一部分だけがマーケティングではなく、全てのアクションがマーケティングであり、コミュニケーションなのだと思います。
*マーケターの面白さ、やりがい
――マーケティングの面白さを教えてください。



片倉
マーケターはどの業務においても社内コミュニケーションが発生するポジションなので、自社の強みが見えやすいと思います。他社では提供できないサービスや自社独自の差別化ポイントなどをメディアとして社外に向けて発信していく過程で、マーケティングや社内コミュニケーションの中で培われた思考が活かされる時があります。例えば、営業が施策している取り組みをWeb上で発信する、展示会に出展してそこで獲得したお客様のリストを営業に渡し、別な用途に活かすというように1アクションを起こすことで、様々なマーケティング活動に展開させることができます。顧客のニーズや市場が立体的に見えてくることが面白さですね。

――マーケターとしてのやりがいは何でしょうか。何かエピソードはありますか?

片倉
弊社には子持ちのお母さんが派遣で勤務されているのですが、ファミリーdayのイベントで中学生のお子さんを会社に連れていらっしゃった方がいました。

コールセンターで働いているというと、電話で受け答えするぐらいのイメージを持っていたと思うのですが、実際に会社に来てみると社長はフランス人で、外人の社員さんが多く勤務している中で、タイの人達とテレビ会議をするなど、グローバルな企業でお母さんが活躍しているのだという認識を持ったと思います。お母さんに対する意識が変わったような表情をしていたのが印象的でした。

弊社での社内の取り組みが実際に広報会議でも取り上げられ、グローバルでも紹介されることで、日本のプレゼンスが上がり、それを記事化することで弊社の会社としてのブランドを上げる事に繋がりました。従業員のエンゲージメント向上にも寄与しているという実感が得られた時は嬉しかったですね。

――最後にマーケターとして今後目指していきたいキャリアについて教えてください。

片倉
もっと自分の考え方を日本語でも英語でも誰にでも伝わるようにスキルを身につけたいです。それは英語が話せるというだけではなく、自分が意図した内容が少しでも多く相手にしっかり伝わるように説明できるスキルやプレゼンテーションスキルを身につけることで世界で通用する「コミュニケーター」になれたらいいなと思っています。

――「マーケターは自分の業務範囲を制限してはいけない」とは私自身も思うし、いろんな方がそう言うのを聞いて来ました。が、広報も採用もポスター制作もweb制作も社内イベントも…『何でもやる課』をここまで徹底しているマーケターはなかなか居ません。そして、それをいかにも楽しそうにお話する片倉さんが印象的でした。片倉さん、お忙しい中ありがとうございました!

「マーキャリNEXT CAREER」無料キャリア相談実施中

マーケタースキル診断公開中!!

関連記事

検索条件を変更する

フリーワード

記事カテゴリ
タグ