• 2020/05/07
  • 連載企画
  • はりこらむ

はりこらむ 第2回「バブル崩壊、リーマンショック ~そして2020年今思うこと(2)~」

  • 萩原 張広  
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前回のあらすじ バブル崩壊編その①


◆メロンを持ってお金を取りに来た社長◆
バブル崩壊の時に、買掛金をとりにメロンを持って来た社長が、翌日から行方不明に
◆会社設立1年半でバブル崩壊◆
メインクライアントが倒産し、1,000万をこえる未回収債権ができたが、大丈夫なふりをして忘年会へいき、会社の移転資金でなんとか乗り切る……そして!

⇒第1回「バブル崩壊、リーマンショック ~そして2020年今思うこと(1)~」はこちらから



バブル崩壊編その②


作れば売れる時代から、売る技術が必要な次代へ


バブル崩壊による短期的なピンチはしのぐことができましたが、世の中の状況は一変して、人事系のサービスはほとんど売れなくなりました。多くの企業がリストラを進め、採用ニーズは激減して、従業員向けのサービス導入を考えられない時代になったのです。

当時のエムエム総研のサービスは、ほとんどが内製ではなく外注さんを使っていて、独自のものではありませんでした。そんな中、私のリクルート時代の営業マンとしての経験を買ってくれて、「営業マンへの研修をやってほしい」とか

「営業マニュアルを作りたい」「売れる営業ツールを制作したい」などの、引き合いをいただくことが増えてきました。時代はものが売れない時代になり、売るための技術が、より重要な時代になったのです。しかし当時はまだマーケティングという概念にまでは行きついていませんでした。

とは言うものの、今までの人事周辺サービスはほとんど売れません。ということで、事業領域を営業支援に大きくシフトして事業を展開することになったのです。ここからが今のエムエム総研へ繋がる第一歩ということになると思います。

当時はまだインターネットが普及していなかったので、FAXの一斉同報機能を使っての販売促進サービスや営業マンに特化したアンケート調査などを手掛けて行きました(余談ですが、このころに創業間もないオプトさんとかリクルートのFNX事業部とアライアンスをして事業をやっていました。そのころの仲間が今IT業界でたくさん活躍しています)。

その後、不況が長く続くことになり大きな成長をすることができませんでしたが、念願の東京への進出、オフィス移転も実現し、次のインターネット成長期まで事業を継続することができました。


バブル崩壊から学んだこと


会社設立1年半でバブル崩壊というこの現実は、振り返ってみると2つの大きな収穫をエムエム総研(もしくは私自身)にもたらせたと思います。

『1つは、粗利益とキャッシュフロー前提のリアル経営』


当たり前ですが、売上が上がっても、粗利が薄ければ、粗利があっても入金がなければ会社は回らなくなります。少額の資金で会社を立ち上げ、社員も雇って、いきなりバブル崩壊なのでキャッシュフローが大変な場面は何回もありました。

私が会社を始める前、要はバブル絶頂期に会社を立ち上げて、何年かよい思いをした先輩の経営者は、ほとんどがバブル崩壊でいなくなってしまいました。たぶんあまりにも簡単に商売がうまくいき、お金を使える環境に慣れてしまって、その後の苦境に耐えきれなかったのだと思います。 

私自身はわずか設立1年半というスタート時でのバブル経験でしたので、良い意味で悪しき習慣を身につける前にピンチを迎え、それを乗り切る術を学ぶことができました。(本音で言うと、もう少し社長としてバブルを楽しみたかったというのもあります……)。
今、スタートアップに資金が集まりやすい環境になっており、そういった資金が潤沢にある経営になれている経営者も多いかも知れません。時代が変わった時にどう対応するのか、考えておく必要があるかも知れません。

2つ目は、自社の本当の強みからビジネスを展開することです。

設立当時は、リクルートで求人広告を扱っていた経験があったので人事のお客様が多く、 少なくとも自分は、人事周りのサービスのプロだと思っていました。そのため、人事周辺のサービスを仕入れて売る事業からスタートしたのです。
しかし、よくよく自分のキャリアを振り返ってみると、リクルート入社前から、他の商品サービスの営業経験もあり(ご興味のある方は拙書『営業の科学』をお読みください)、その営業の仕事での実績でいろいろな機会を得てきました。
自分の中にある専門性は人事の知識ではなく、営業であるということに会社を創ってから気づいたということです。そしてその知見やノウハウを会社として積み上げていくことが重要で、それがお客様へ提供できる独自の価値の源泉となり、利益の源泉になるということです。

どちらも当たり前の事ですが、設立間もない経営者の私にとっては、腹に落ちる的な感覚で、体と魂で学ぶことが重要だったのだと思います。

次回 『マンハッタンの営業マンは飛び込み営業をしているのか?』へと続く


⇒次の記事はこちらから


■萩原 張広Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる

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