• 2024/05/16
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はりこらむ 第98回「地位の力と他者の意見を聞ける力」

  • 萩原 張広  
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地位の力と他者の意見を聞ける力


 ⇒第97回「コンピテンシーの重要性!~練習を継続すればフォームは変えられる~」はこちらから


 最近いつも行く家の近くの温泉施設に、ずっと独り言を言っているおじさんがいます。年齢は私と変わらないかむしろ年下かも知れません。声が大きいので、話している内容が聞こえてきてしまいます。「君の客観性に問題があるんだよ!」とか、「全体最適の観点から言うとものの捉え方が違うんだよね」とか、なんだか経営者かそれなりの規模の会社役員か管理職経験がある方のように見受けられます。

 そばにいるといろいろなワードが頭に入って来てしまい、せっかく温泉に来ているのに心が休まらないので、近くにその人が来ると別の温泉に移動する事にしています。何故お一人で難しそうな独り言を言っているのかは解りません。でも現在はそういったお話をする相手がいない状態になったんだろうなというのはなんとなく想像できます。メンタル的な病気とか、認知症的な事になっている方かもしれませんが、私的には、同世代でもあり、いろいろと考えさせられます。

 ある程度の年齢になってそれなりのポジションに付くと、職務上で部下やメンバーを持つようになります。また独立して経営者になって社員を雇用するようになる、そういった地位にいる状態がある一定期間たつと、その地位によって人が言う事を聞く事や指示に従う事、また時によっては迎合したりされる事に慣れて来てしまう事があるのかと思います。本当に自分が、他者からどう見られているのかが解らなくなる事もあるのかと。ある意味裸の王様ですね。そういった間違った認識を持った人がそのポジションを失うと、以前のように接してくれる人がいなくなり、言う事も聞いてもらえず、戸惑い、孤独感や自己概念の崩壊などが起こって、誰もいない空気に向かって独り言を言うようになるという話を聞いたことがあります。

  一方、高い役職や地位を得ても、謙虚で立場や上下でなく相手の声に耳を傾けて接し、可能な限りフラットな判断をしようと務める人もいますね。そういう人は日常的に、立場や地位に関わらずちゃんと他者の意見の客観性を受け入れて、自己課題と認識して自分を変える努力をしてきているのだと思います。自分自身もそうありたいし、そういった努力をしてきているつもりですが、残念ながらそれが実を結んでいるかは確認しようがありません。それなりの地位や役職になると、他者に聞いたところで、そこにすでに忖度が入っている可能性があるからです。結局のところ、他者の意見を聞き、自分との自己対話の時間を増やして、自己客観性を上げる努力をして、自分の価値感や信念を信じて続けていくしかないですね。

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■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。

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