• 2023/07/14
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はりこらむ 第82回「顧客満足度を100%にするのは可能か? ~顧客理解とサプライズ~」

  • 萩原 張広  
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顧客満足度を100%にするのは可能か? ~顧客理解とサプライズ~


⇒第81回「自分の頭で考え抜く! ~勉強した内容に答えがあるのではない~」はこちらから


 青山に1~2か月に1回は通っているお気に入りのイタリアンレストランがあります。サービスがよいと評判のお店です。

 先日も友人の上場企業の社長を連れて行って、最初にその店の支配人を紹介したのですが、デザートタイムに出てきたコーヒーの上に、その上場企業のロゴがホイップでデザインされて出てきて、その社長も喜んでいました。私がお願いした訳ではなく、おそらくお店側でいただいた名刺をもとにデザインしてサプライズを演出してくれたのだと思います。

 私自身も法人向けですがサービス業を営んでいるので、お店のサービスには関心が高く、サービス業で働く人間は質の高いサービスを受ける経験をすべきだという考えもあり、会社の人たちもよく連れて行きます。

 以前、麻布にある有名なフレンチレストランのオーナーに聞いた話があって、その店では1テーブルに一人、担当がつくのですが、担当はそのテーブルのお客様を100%満足させることがミッションになります。一方でフロアを任されているマネージャーは全体で80%の満足を勝ち取る事がミッションになるのだと話していました。

 なんか矛盾しているような気がしますが、担当しているテーブルが一つなら、そこにすべてをつぎ込んでよいけど、複数のテーブルを担当する人は物理的・時間的にどうしてもお客様の要望を両立し得ない状況が起きてしまうからだそうです。同じタイミングで別々のテーブルから声がかかった時にどうするのか?その店で一番のロケーションが一つしかなく、そこを二組のお客様が指名してきたらどうするのか?

 対応すべき複数のお客様がいる時にすべてを100%にする事は実質不可能な事もあります。むしろそういった状況の時にどう判断して対応するかが全体を見るマネージャーに求められる事ですね。このフレンチのお店は超高級店なので、1テーブルに一人担当がつきますが、普通のお店では複数のテーブルを担当する事も当然ありますし、私たちのような法人向けのサービスでは複数のお客様に対応するのはむしろ当たり前の事になります。何らかの事情で一方のお客様を優先しなければならない状態の時に、どう他のお客様に配慮するのか?事前にそういった状況を想定して如何に準備しておくのか?そういった万全の準備と配慮があった上で、良い意味でのサプライズがあると満足度は上がりますね。

 また自分が努力を100%したからといって、必ずしもお客様の満足が100%になる訳ではありません。ここはどれだけお客様を理解しているかがポイントになると思います。それも俗人的な対応ではなく、お店としてチームとして。前述の青山のレストランに10年ぶりに友人を連れて行った時に、料理が運ばれて来てマヨネーズ風味のものとキュウリが入っていました。私は心の中で「しまった!彼はマヨネーズとキュウリが苦手だったんだ。お店に伝えるのを忘れた!」と思いました。しかしそれは杞憂でした。彼の前に運ばれてきた料理には、マヨネーズ風味のものもなくきゅうりもありませんでした。

 おそらくお店の顧客台帳みたいなものがあってちゃんと10年前の記録が残っていたのですね。フロアで働いている支配人以外のスタッフは10年前とは変わっていると思われるので。彼は「おっ、ちゃんと私が嫌いなやつは伝えておいてくれたんだ!」と言ってくれて、私の株は上がりました。こういう配慮をされるとまたリピートしていまいますね!

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■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。

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