はりこらむ　第68回「キャリア選択新卒採用始めます！ ～就職してからキャリアを考えよう！～」

　エムエム総研も新卒採用を始めて10数年たちます。リーマンショックの直後と、コロナ禍に入ってからの2年間は新卒採用を控えていましたが、また新しい形で始めようと思っています。

　過去の新卒採用者を見ると、それぞれに事情はありますが、一定の確率で離職しています。嫌な感じで辞めた人は少なく、今もよい関係を保っている人たちが多いですね。一方で残った人材は取締役になったり、事業部長クラスになったりして活躍しています。ある程度の離職は仕方ないけれど、幹部人材がその中から育ってくれたらよいかなと思い、採用を続けてきました。新卒人材が入ってくると会社も活性化して刺激になりますしね。

　でも、ずっと感じていた事があって、そもそも新卒時の就活で自分の生き方やキャリアの方向性を決めるのは、難しいのではないかという事です。ちゃんとした軸が出来ていない状態で就活して、でも親の言うところの安心感とか、大学の先生や大人の言っている一般論に従って、就職する感じでしょうか。そして実際に働き始めて、仕事のリアリティがちょっとずつ解って来て、多くの場合はそこから本当の意味で再選択する感じになるのではと思います。

　人材事業をやっているので、勉強のためにと、最近多くの学生さんに会って話を聞く機会が多いのですが、殆どの学生さんが、昔からの就職観（例えば大手思考や安定性を求める、親が安心するところに行きたいと言う感じ）で、自分なりのオリジナリティがあってしかもリアリティのあるイメージを持っている人は少ないですね。

　一方で、一部の革新的な学生さんは、ベンチャー企業でインターンやアルバイトをしていて、すでに実務レベルで一般サラリーマンと変わらないハードワークをしている人や、小さいながらも自分でビジネスをスタートしている人もいますね。そういった経験で実際の仕事やビジネスの仕組みのリアリティを持ち始めると、そもそも就活しないで起業を目指す人もいます。

　就職して一流企業に入れば一生安泰だと本気で思っている学生さんたちがどのくらいいるのかは解りませんが、大事な事は、20代の間に本質的に仕事ができる力を身に着ける環境に身を置く事です。さらに言えば今後成長するであろう業種や仕事に就くほうが将来の選択肢は広がると思います。

　いつか聞いた話ですが、戦後間もない頃、優秀な学生は石炭産業に就職したようですが、彼らが入社して10年後には石炭産業はほぼなくなってしまいました。例えば現状の自動車産業とかも、電気自動車や自動運転が当たり前の世の中になれば、サプライチェーンも含めてほとんどの仕事がなくなるもしくは変わります。入れば安定と言われていた銀行の営業マンも10年後にこんなに人数がいるとは思えませんね。そういう意味では、学生さんたちには、古い時代の神話を語る多くの大人たちとは違う情報を得て、未来を想像し自分なりの仮説を立てて判断をしてほしいと思います。

　そんな中、弊社エムエム総研では、新卒で正社員として採用するけれど、その後のキャリアは転職やフリーランスへの独立も含めて、自由に選択できる事が前提の新卒採用を始めます。さらに、私たちが目指しているデジタルセールスやマーケティングの世界は、日本において今後間違いなく必要性が上がり、成長分野であると思います。うちの会社に継続的にいるかどうかは別にして、この新しい分野で活躍できる人材を採用し、育成して輩出していく事を会社のミッションにしているので、はじめから選択肢のある採用でよいのでは！と思うに至りました。

　日本には、このデジタルセールスやマーケティングが出来る人材が足りません。海外に比べての営業生産性の向上の為にも必要なテーマです。今後ともこの状態は続くと思います。

　はっきりとした将来ビジョンが固まっていなくてもまずはうちに来て将来に役に立つ知見やスキルを身につけて成長してもらい、その後、いろんなリアリティが出来てきた段階で次の選択肢を考えてもらってよいかと思います。もちろん、エムエムに残って幹部やコンサルタントとして活躍してもよいし、顧客先に転職してもかまいません。うちは事業で転職サービスをやっているので、それを使って成長中のSaaS企業や、変革を目指す大手企業への転職の可能性もありますし、すでにそういった実績が多数でています。

　今までの概念とは違う感じの新卒採用ですが、新しい時代への架け橋としてチャレンジしていきたいと思います。