ベテランになっても再新再生する重要性
~一人でスナックに飛び込む~
⇒第64回「歴史を変えた人たちの思い ~すべては個人の知的好奇心からはじまる~」はこちらから
もちろん長い経験で信念になっている事や、本質的に変えない部分もありますが、常に新しい経験をする機会を自らに課して、そこから学ぶ努力をする様にしています。遊びもそうですね。食事する場所や飲み屋さんも、定期的に新しいところを探すようにしていますし、地方に出張に行くと会食の後に、一人であえて飛び込みでスナックに行くようにしています。若い時に飛び込み営業していた時の感じを思い出して、その緊張感の中にいる自分の感覚が楽しくなります。
カラオケもずっと前に覚えた歌しか歌わなくなるとやばい感じがするので、新しい歌を覚えるようにしています。ちょっと前まではあいみょんで、最近はUruにはまっています。感覚的ですが、今の自分の行動特性や関心事が、ここ1~2年くらいの間に新しく学んだ事である比率が半分以上ないとやばいのではと思っています。
自分の中でここ1~2年くらいでの新しい事というと、一つは筋トレですね。腰が悪い時期が長く、手術もしているので、その治療のために体幹を鍛えるトレーニングは以前よりやっていましたが、家にダンベルセットを買って、週2~3回くらい筋トレするようになって1年半くらい経ちます。ダンベルを使って行うトレーニングの種類や正しいフォームとか、筋肉が大きくなる仕組みとか、食べ物や睡眠の影響など、かなり勉強しました。大きな変化ではないですが、腕や胸肩回りのシルエットが変わって来ているのがわかるので、無理せずに楽しみながら続けています。
仕事系で言うとメタバースですかね。今年の正月にメタクエスト2を買って、VR世界を楽しんでいます。VRチャットという無料のメタバース空間があるのですが、そこに入っていろいろなワールドを経験したり、中国の人やアメリカのケンタッキー州の人と、ラジオ体操のワールドで知り合いになって一緒に体操したりしています。メタバースがどんな感じでビジネスになり、今の会社事業にどうかかわってくるかはこれからですが、知見や感覚を理解しておく事は重要だと思い、これも楽しんでやっています。
また会社では2年ほど前から、社員5名くらいを1グループにして毎月実施する「スタンス研修」を全7回やっており、今も3グループを回しています。この研修のコーディネーターをやる事で私自身も新しい発見がありますね。先日、新しい試みでうちの会社に転職してきた人たちを対象に座談会みたいなインタビューをやりましたが、ここでもこのスタンス研修で私自身が学んだスキルが役に立ったと思っています。
過去の経験と新しい学びとのOutputのバランスが大切だなと感じていて、新しく学んだ知見によるinputが少なくなってきて、昔の経験だけで人に接したり、マネジメントするようになったりしたらトップの座を降りるべきかなとも思っています。
こういった感覚って、一概に年齢だけでは測れない感じがして、先日会食した社長さんはリクルートの先輩ですが、65歳になってリスクをとってIPOにチャレンジしようとしていましたし、一方30代後半から40歳くらいでも、すでに昔の成功体験から抜け出させずに、自分を変化させられなくなっている人も多いかと思います。そういう状態にある事を自分でも気が付けず、まわりもその人がベテランだからこそ言えないケースも多いので、今の自分がどのくらい新しいものを受け入れてやれているのか、客観的にチェックする事が必要ですね。私が以前に働いていた、リクルートの社訓に「自ら機会を作り出し、機会によって自らを変えよ」というものがありますが、常にあたらしい機会を作って、自分を変えて行く気持ちを大切にしていきたいです。
■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。