• 2021/11/10
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はりこらむ 第37回「事業サイクル(PLC)における変革 ~変わらないものなどない。変革のピンチを機会に変える事~」

  • 萩原 張広  
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事業サイクル(PLC)における変革

~変わらないものなどない。変革のピンチを機会に変える事~


⇒第36回「オリンピック開会式 ~テレビを見ないし選挙に行かない若者と、高齢者と政治~」はこちらから


 私の会社はもう設立して30年以上たち、社長歴がもう人生の半分、ビジネス歴の2/3を超える様になりました。PLC(プロダクトライフサイクル)と言う言葉がありますが、経営目的は、設立後5年たった時に設定したテーマからほとんど変わっていません。

 しかし、30年間同じ事業やサービスをやって来た訳ではありません。そもそも会社を始めたばかりの頃、ネットはここまで普及していませんでしたし、バブル崩壊前の昭和ですから環境や文化もずいぶん違います。

 そんな中、リーマンショック等で何度かの劇的な環境変化の度に、事業やサービスをなんとか再編できたので、ここまで続けて来られたのではと思っています。

 まさしくコロナの影響を受けた、この1~2年も、そういうタイミングでした。特に昨年度はコロナで売上シェアの高かったリアルイベントとコールセンターのビジネスが低迷して、10億円規模での売上を失いました。これはほぼ飲食業界と同じくらいの影響でしたね。しかし、4年前より手掛けていた新規事業であるインサイドセールスの人材及びコンサルビジネスやデジタルマーケティングが堅調だったため、一時の危機は乗り切りました。

 事業サービスのシェアが変わったことで、以前より収益性が改善し、売上はコロナ前までには戻っていませんが、今年度の上半期は営業利益ベースでは過去最高益になる予定です。ある意味、結果だけを見ると、コロナ影響下におけるV字回復です。でもこれは、コロナに対応したという事だけではなく、何年も前から想定して準備した結果だと思っています。主力であったイベントやコールセンターで収益が上がっている時に次の事業の準備を始めていたのが大きかったですね。そうでない状況でこのコロナを迎えていたら選択肢はとても少なかったと思います。

 コロナ禍で、一昨年からうちの経営チームでたくさんの議論をして、対策を講じて進めて来ました。そんな経験も含め、こういった変革期の経営チームとしての考え方やスタンスについてちょっと考えてみました。

◆経営チームとしてのスタンスについて

・再度経営目的を確認し、そもそも自分たちは何のために事業をやっているのかを明確にして、その指針に則った判断、行動をしていく事

・常に最悪を想定し、希望的な観測でも悲観的すぎる事でもなく、感情的ではないリアルなシミュレーションを行い、複数の選択肢を準備し、優先順位をつけ対応していく事

(もうこれしかないという状況を可能な限り作らない)

・改革に向けた戦略シナリオを精緻に作成し、社員と共有し、変更がある場合はすみやかに共有する事

・いかなる状況での仕事でも、それは社員及び事業の次の成長に向けた機会であり、それをよい意味で楽しむというカルチャーを生み出していけるように努める事

・社員に正しく情報開示を行い、リスクとチャンスが両方ある事を真摯に伝える事

・世の中での社員の長期的な幸せの実現に目を向け、会社視点の一律的、短期的な見方だけではなく、正しい情報公開と選択肢の提示によって、自らが自立して仕事を選択できる機会を社員に与える事

 ここらへんは難しいところですが、今の世の中は、正社員である事が安定ではなく、市場価値の高い人材になる事が安定だと思います。社員に市場価値の高い人材になれる機会や成長環境を与える事が一番社員を守る事になるのだと考えています。

 まだまだ変革は半ばですが、次の成長に向けて引き続き頑張っていきたいと思います。


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■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。

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