西さんの『反省記』 ~憧れの人!ワクワクする話~
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読んでいた本は『反省記』。アスキー創業者の西和彦さん著の本ですね。西さんとは世代も近く、当時パソコンが流行り始めていた時に私もパソコンにはまっていて、その時にたくさん雑誌に載っていた有名な若手社長でした。
日本人でまだ若いのにアメリカと日本を往復して、ビル・ゲイツなどのアメリカのパソコン業界の有名経営者と対等に議論していて、当時の私にとってはめちゃくちゃ憧れの人でした。西さんの活躍や挫折については、マスコミの報道や記事などである程度は知っていましたが、この本を読んでいろんな事がリアルに解ってとても面白かったです。
そもそも当時20歳そこそこの学生が、英文の雑誌で見つけたマイクロソフトのビル・ゲイツに国際電話をかけて、アポイントを取りアメリカまで行ってしまう行動力もすごいと思います。ものづくりオタクの興味・関心・熱意が常識を超えていて、それがすべての原動力になっていたようですね。この本には若き頃の西さんが、ビル・ゲイツの他にも、ソフトバンクの孫正義さんや、当時ソニーの社長だった出井伸之さんなどと関わる話がたくさん出てきます。アメリカと日本を行ったり来たりしていた飛行機のファーストクラスでそういった人達と知り合ったと書いてありましたが、そんな若さで年中ファーストクラスに乗ってアメリカへ行っている人はいないと思います。
この本の中で、マイクロソフトがまだベーシック系の言語しか作っていない時に、当時のコンピューター業界の巨人であるIBMからOSの開発依頼があり、とてつもない要望と納期でしたが、近い内容のOSを開発していた会社からそれを買って来て改良し、なんとか間に合わせてIBMへ納品したという話があります。この依頼を受けるかどうかの時に、ビル・ゲイツ、ポール・アレン、その後マイクロソフトの社長になるスティーブ・バルマーと西さんの4人がけんか腰の議論をして、西さんの「やるべきだ!絶対やるべきだ!」という発言もあって、チャレンジする事になったという話が文中に紹介されています。
結果、マイクロソフトが受けた、このOSがMS-DOSとして、IBM PCに標準装備される事になり、IBM PCの模倣品を作る各パソコンメーカーもマイクロソフトのOSを搭載する事になります。そしてこのMS-DOSが進化して、現在のWindowsになりマイクロソフトは世界を圧巻するソフトウェア企業になる訳です。
そういった世の中を変えるような歴史的な状況に一日本人の20代の若者である西さんが絡んでいる事自体にワクワクしますね。パソコンの普及期から、時代は変わり、インターネットの登場や、携帯からスマホ、そして今はAIやメタバースの時代へと変化しています。
おそらく何年か経ったとき、このAIやメタバースの時代で歴史的な変化を起こすような事が、今いろんなところで行われているのかも知れません。そしてそれは私たちが起こせる可能性もあるのだと思います。ワクワクしますね!いつの時代も一人の人間の知的好奇心や意志、そしてそれを実現する行動力から、大きな変化は生まれていくのだと思います。
■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。