• 2020/07/28
  • 連載企画
  • 私が死んだら何人悲しむか

『私が死んだら何人悲しむか』- 充実感は成長とイコール -(No.02)

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■連載開始にあたって

Te23です。
当サイト内で主に連載小説の『グロースハッカー佚』を不定期で執筆しています。

大好評の連載Web小説グロースハッカー佚

お陰様で愛読者が増えているようで次回作を期待する声もたびたび頂いており、とても有難く思います。

さて、今回実体験を元にもう1つの連載企画『私が死んだら何人悲しむか』を始めることになりました。

複業(パラレルキャリア)という働き方の概念がまだ国内で広く知られていなかった2006年、
私は2つの全く異なる本業を持つ形でキャリアをスタートさせました。
片方に関しては本業と呼べる安定した収入を得られるようになったのが2008年なので、本当の意味でのパラレルキャリアはその頃からになります。

これまで決してその2つのキャリアを交わらせる事はありませんでした。
そして今後もそのつもりはありません。

それは何故か。

単純に二つの全く異なる人生を同時に生きたいからです。私の場合、それは人生を楽しむ為の欲ではなく、精神を安定させる1つの方法でもあります。
人によっては片方の肩書を活かして、もう片方のキャリアを充実させていく方法もあると思いますが、私は1つの本業の中でもう1つの肩書を使う事は絶対にありません。
もし2つのキャリアを交わらせたら人生が1つになる気がして、恐怖すら感じます。人生は脆いから。
仮に1つが崩壊した時に自分自身を立て直す事ができるかを考えると、私には複数の本業が必要だったのです。

私自身、複業(パラレルキャリア)という言葉を知ったのはつい最近で、それまで意識をして行っていたわけではありません。でも概念的には、そう遠くはないかもしれません。

何を成功と捉えるかは人それぞれですが、もう1つのキャリアでは自分の夢のいくつかを達成させる事ができ、メディアを通じて世界中の多くの人がそれを評価してくれています。

一方、それとは無関係の全く異なるキャリアの中で今筆を執っています。

どちらのキャリアにおいても培ってきた経験だけは常に両方のキャリアにシェアしてきました。それによって間違いなく、人生は良い方向に変わっています。
自分を必要とする人が増える度に、脆かった私の人生は堅くなっていきました。

この連載では前述のとおり肩書きの詳細には触れませんが、
それら複業による経験談や考え、そしてこれからのキャリアを考える人に役立つコラムを不定期で書いていきたいと思います。
前回『私が死んだら何人悲しむか』- 問われる自身の市場価値 -(No.01)はこちら

『たったの1ヵ月』

セミが地上を自由に飛び回れる期間は大体1ヵ月程度と言われています。
一方で幼虫として地下で生活している期間は種類によって3年から17年と、昆虫の寿命としてはとても長い。

長期に渡る暗闇生活を経て、やっと大人になって日の当たる広い世界に出られて1ヵ月で生涯を終える、
あなたはその1ヵ月を短く感じますか?

案外セミにとっては、人が社会に出てから感じる一生と変わらないのかもしれません。
人が幼少期に感じる1年と歳を取ってから感じる1年では長さの感覚が全く異なります。
幼少期に比べ、物事を知り尽くし、新たな発見が減った高齢期は日が経つのを早く感じると言われています。

つまりは、例え10年20年の期間であっても、極端に言えば1ヵ月程度に感じる可能性もあるという事です。

私は10代前半から、時の流れがどんどん早くなるのを感じ、20歳に近づく頃には1年がまるで1ヵ月程度に感じていました。
今日が明日の記憶に消され、明日はまた明後日の記憶に消される、そんな上書きの1日が過ぎて行く。それだけ似たような日々を送っていたのかもしれません。
旅行のような楽しい期間はあっという間に過ぎるとも言いますが、それはその瞬間の感覚であって後から振り返ればイベントのあった1ヵ月は単調な1ヵ月と比べてきっと長く感じるはず。イベントの数が多くなればなるほど、最初のイベントが遠い昔に感じるようになります。

是非思い出して下さい。きっと幼少期の1年は今より長かったでしょう。その1年で得た知識や能力の量も直近1年と比べて大きかったと思います。
どれだけ今新しい挑戦をしていたとしても、幼少期の1年の長さには敵いません。
それは例え今未経験の物事であっても、過去の様々な経験や知識が土台となる以上は、今の多くの初めてが応用になってしまうからではないかと感じています。

そういったことから、私は豊かな経験によって生まれる人生の充実感は、人としての成長に直結していると考えるようになりました。成長した部分をどれだけアウトプットできるかによって、その後の充実感にも差が出るものです。当然得られる経験が少なければ、アウトプットできる幅や量も少なくなります。

例えば夏休みに祭りや花火、プール、旅行など沢山遊んで充実した期間を過ごせたとします。もう一方は、自宅での勉強や夏期講習、模擬テストの繰り返しの毎日で全く充実した期間を過ごせなかったと本人が思っていたとします。
学力の面では当然毎日学業に努めていた後者の方が成長しますが、前者も後者が得られなかった経験を得ることで知識や感性などの成長が見込めます。
どちらが良いかという話ではなく、どうやってその成長をその後にアウトプットするか(活かすか)が重要になります。

学力であれば先ず目的が目の前の試験であるため成長を一定数測る事が出来ますが前者の場合、中々アウトプット先を意識することがないので成長も直ぐには実感できません。しかし必ずしも意識したアウトプット先だけが成長であるとは限りません。

例にあげるなら、夏休みに家族や友人、恋人と花火をした経験があったとします。将来再度同じようなシチュエーションに直面した時に、火の着け方や持ち方、そしてどんなふうに光や煙が広がるかなど知識がある分、更に楽しめる可能性があります。これも所謂成長なのかもしれませんが、私が思う本当の成長はそこではありません。

独特な花火の香り、花火の光によってできた自分たちの影、夏の虫の鳴き声と混ざり合う花火の音、火が消えた後の儚さなど、人それぞれ受ける感情があり、それに加えて相手との1度しかないその瞬間の大切さを知る事で、無意識に時間に対する向き合い方も変わるかもしれません。当たり前ですが、自分との時間を楽しそうに過ごしている相手を自ら悲しませようとする人はいないでしょうから、少なくとも相手の気持ちを意識しつつ自分も楽しむようになります。これは社会に出た時に凄く重要となる能力の一つでもあります。



同時に感受性が養われれば、相手の気持ちを汲む能力や日常の中での変化に気づく能力も高まり、会社であれば自分がチーム全体の創造性を高められる可能性も広がります。

もちろん花火だけの要素でこうはなりません。そもそも、その花火を「つまらない思い出」と感じていたら、成長の種類や度合も全く変わります。
印象を受け入れる能力は、過去の経験によって養われていくものです。
だから豊かな経験を積み重ねてアウトプットの幅を広げていくことが大事だと考えています。

自宅での勉強と夏期講習、模擬テストの繰り返しの毎日を充実した期間だったと捉えていたら、きっと成長幅も大きくなるでしょう。目的としていた試験では良い結果を出せるかもしれません。志望校に入学出来れば、さらに充実した日々を過ごしアウトプットの幅を広げられます。

一定の期間が充実していたかどうかは、意識して思うことではありません。
仮に1年間何か目標に向かって打ち込んだとします。その結果、目標の達成はできなかったけれど、充実した期間を過ごせたと自分では思っていたとします。

しかしそれが本当にそうだったのか確かめる方法は、打ち込み始めた1年前を遠い昔に感じるか、つい最近のように感じるかです。それによって本当の充実の度合を測ることができます。もし、つい最近のように感じるのなら、実際は余り充実した期間は過ごせていない、言い換えれば余り成長はできていなかったと私は捉えています。つまり充実したと思っているのは、目標達成できなかった自分を慰める為だったと。

結局のところ、何をしたら1年を長くできるかは一概に言うことはできませんが、少なくとも何もせずに同じような日々を繰り返していたら、1年はどんどん短くなります。
それは同時に成長の機会をどんどん失っていると捉えるべきです。

今いる環境には、必ず始まりがあります。その始まりと現在までの長さが実際より短く感じるとするなら何かを変える必要があるかもしれません。
私はそう考えるようになっってキャリアの転換を迎えていきました。
同時に成虫のセミの1ヵ月を、だんだん長く感じるようになりました。


『私が死んだら何人悲しむか』- 人生の時間 -(No.03)はこちら

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■Te23 Profile
弱冠22歳にして数多くの企業のBtoBマーケティングを支援。2008年以降、複数のグローバル企業と契約を結び、いち早く複業という新たな働き方を体現しながら、彼らの日本参入に大きく貢献。また、自らのブランディングと並行し、某音楽配信企業や国内機材メーカーのアドバイザーとしても活躍、ファンマーケティングを通じてそれら企業のグロースハックを経験。別名義でのSNS総フォロワー数は8万人を超える。近年、自身のこれまでの経験とクリエイティブなポテンシャルを活かし当メディア内で執筆も行っている。

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