今回は「総合満足度No.1」のCRM/SFAである「eセールスマネージャー」を販売するソフトブレーン株式会社の西川さんへインタビューを行いました。Webマーケティングの指標を案件単価に変えることによって、案件数は昨年同期比140%を達成。案件化率は6.4ptも改善したそうです。「マーケティングのミッションは、製品の素晴らしさを伝えていくこと」と語る西川さんに、CRM/SFA市場の変化やマーケティング活動の内容などについて聞きました。
*現状のマーケティング活動概要と課題
■現在のマーケティング課題
――個々のマーケティング活動の連動性向上
――リードジェネレーションからナーチャリング、営業部門への送客の効率化
*中小企業でも認知度が高まっているCRM/SFA
――「eセールスマネージャー」はどんな製品ですか?
西川さん(以下、敬称略)
「eセールスマネージャー」とは、集客から商談、案件管理や分析までのプロセスを一元管理することで営業課題を解決するCRM/SFA(営業支援システム)です。1999年に販売を開始し、今では導入社数は国内企業中心に4500社を超えています。
当製品の最も大きな特徴は、営業現場で使いやすく、マネージャーがマネジメントしやすいため、組織営業力を強化できることです。CRM/SFAといえば外資系のイメージがありますが、外資系のプロダクトは個人のパフォーマンスを高めることを目的に設計されています。日本はアメリカなど諸外国と異なり、個人ではなく組織をあげた営業が主体なので、外資系のCRM/SFAでは必ずしもフィットしない部分があります。そういった国内企業の営業文化にフィットしているのが「eセールスマネージャー」なのです。
――CRM/SFAの利用者300名を対象に行ったアンケートでは「総合満足度No.1のCRM/SFA」に輝いたそうですが、どのような点が評価されているのでしょうか?
西川
使い勝手の良さが評価されています。プッシュ通知で関係者全員に一律で情報が届くほか、多重入力を防ぐ仕組みがあります。一度入力すれば関係する案件リストなどに自動で反映されるだけでなく、ToDoリストなど、社内のさまざまなデータやグラフが自動更新されるようになっています。この「シングルインプット、マルチアウトプット」という製品の設計思想が「総合満足度No.1」という評価につながったと思います。また、使い勝手だけではなく、業務改善満足度や導入効果実感、サービス満足度、システム満足度などの項目でも1位の評価をいただいており、おかげさまで近年は他社のCRM/SFAからの乗り換えが増えてきました。CRM/SFAを導入後3~5年経過し、より使いやすいプロダクトや導入効果を得られるプロダクトを探しているお客さまの目に留まることが多いですね。
当社独自の定着支援の取り組みも評価されているポイントです。お客さまの使用状態を把握したうえで、CRM/SFAが有効に活用されるよう具体的にアドバイスをしています。
一般的にCRM/SFAはライセンス単価が高いため、導入までに越えなければならないハードルが多く、これまでは大手企業の利用が中心でした。ところが「働き方改革」や「リモートワーク」などが声高に叫ばれるなか、CRM/SFAに対する中小企業のニーズが徐々に高まってきています。実際、この数年で問い合わせの件数は右肩上がりに増加しており、CRM/SFAを使用した業務効率化に対する意識の高まりを実感しています。
――たしかに「SFAを導入したけど、社内でちゃんと使われていない」というお話はよく聞きますね。西川さんのご所属である営業企画・支援部では、どんな活動をしているのでしょうか。
西川
私の部署は営業企画と営業支援、2つの役割を担っています。MAやメルマガ、セミナーなどを企画するのが営業企画。営業支援はリードへのコールのほか、アポイントの日程調整や経費精算などを担当しています。弊社の場合、経費精算は営業メンバーがやるのではなく営業支援のメンバーが行っています。このような進め方が珍しいのか、中途入社の営業メンバーはとても驚いていますね(笑)。また、私たち自身も「eセールスマネージャー」を使用して業務効率化に取り組んでいます。使用するなかで気づいたことは社内にフォードバックし、製品開発に生かしています。
*案件化率の向上を目指し営業と密接に連携
――これからのマーケティング活動における新しい取り組みはありますか?
西川
2018年上期(1月~6月)は新たな取り組みとして、Webマーケティングの指標をCPAから案件取得単価に切り替え、リード単価と案件単価がチャネルごとに把握できるようにして運用してきました。というのも、弊社のマーケティング活動を詳細に見ていくと、リードの件数は獲得できているものの、案件単価で見るとパフォーマンスが低い例や、CPAで見るとパフォーマンスが高いが案件単価で見るとそうではない事例が多く見られたからです。営業企画・支援部のミッションは案件数を生み出すことですので、今のところこの指標がしっくりきています。
――なるほど。指標を変えてから、案件数は実際どの程度変化したんですか?
西川
上期はこの取り組みが功を奏して、17年同期比で約140%の案件数を獲得できています。案件化率で言えば6.4pt改善しており、効率的なマーケティングができていると手応えを感じています。しかし、これはマーケティング活動だけの成果とは言い切れないでしょう。製品力があってこそのマーケティングですから。弊社は2014年に「eセールスマネージャー」の大幅なリニューアルを行い、UI/UXを刷新しました。そのころから売り上げは右肩上がりで伸長しています。製品力の強化とマーケティング活動がうまく合致したからこそ、よい結果が得られたのだと思います。マーケティングのミッションは製品の素晴らしさを伝えていくこと。今後も開発や営業と連携しながら、このミッションを一貫して果たしていきたいと考えています。
――ありがとうございます。お話を伺っていると、組織内でPDCAを回し続け、きちんと成果を出す理想的な活動ができているように感じます。この成果の維持・向上を目指す上で、今後の課題となることはありますか。
西川
現在、営業企画・支援部全体として、これまでばらばらに行っていたマーケティング活動を統合しようと考えています。具体的には、MAツールである「SHANON MARKETING PLATFORM」とeセールスマネージャーが連携していますので、獲得したリードをナーチャリングして営業に送客する仕組みの構築です。WEB問い合わせや、資料請求、WPのダウンロード、セミナーなど当社では様々なきっかけでリードを獲得していますが、そのリード全てが「案件化」するわけではありません。そうしたリードのインサイトを分析し、ニーズが顕在化してないリードに対してどのようなコンテンツを当ててナーチャリングしていくのか、課題を自覚し始めたリードに対してどのようにアプローチするのか、こうした仕組みを整え、リードジェネレーションからナーチャリング、そして営業部門へ「案件化するリードを送客」するまでのプロセスの効率化を図っていく。ここが、マーケターとしての腕の見せ所だと考えています。
*マーケターに求められる人材要件、これからのマーケターになる方へ一言
――マーケターに求められる人材要件とは何でしょう?
西川
当然のことかもしれませんが、情報を持っている人とそうでない人では判断が違ってきます。自分自身が成長し、よりよい判断をするためにはインプットの量を増やしていくことが大切でしょう。書籍やウェブメディアを読むことはもちろん、新しいツールを試してみることや展示会に行くこともおすすめです。ちなみに、私は他社からの営業を積極的に受けるようにしています。対面でいろいろなことを話すと、思わぬ発見を得ることもあるからです。それにウェブだけで物事を見ていると考えに偏りが出てしまうとも思っています。マーケティングは地道な活動。一歩一歩の着実な積み重ねが大きな成果につながると考えています。
――最後に、これからマーケターを志す方へ、メッセージをお願いします。
西川
私は前職でBtoCのマーケティングを経験しましたが、BtoBはBtoCと違い、衝動買いはほとんどありません。お客さまは企業ですから、緻密に計画を立ててマーケティング活動を実行し、認めていただくことで初めて購買に至ります。実際のマーケティング活動は、限られた予算のなかで実行しなければなりませんが、想定以上の効果を得られたときの喜びは格別です。繰り返しになりますが、マーケティングは地道な活動。この地道さを楽しめる人はマーケターに向いているのではないでしょうか。
――「自分たちが誰よりも自社サービスを使い倒すことで、ほかの何よりも使い勝手の良いサービスへと進化させ続ける」という姿勢がとても印象的な取材でした。愛情深くサービスに向き合えること、マーケター冥利に尽きますね!西川さん、本日はありがとうございました!