あの年を思い出します。コロナがはじまった年始!
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年始から北陸の地震や、羽田での事故など多難な予感のする2024年の始まりになっていますね。被災地の方々は大変な状況が続いていると思いますが、いち早い環境の回復をお祈りしております。
個人的にはコロナが始まった年を思い出します。コロナが始まる前年、私の会社も業界的にもビジネスの状況はよい感じになっており、弊社は2月決算ですが、おそらく過去最高の業績になるであろう事が見えていました。翌期についてもさらなる成長を目指し、強気の計画を立て始めていました。業績的にはリーマンショックから立ち直り、7年ほどよい感じで成長を続け、リーマンの落ち込んだ時期から3倍くらいの規模に成長していました。でもなんとなくこのまま順調な感じが続くわけがないという予感がしていました。過去にバブル崩壊や、リーマンショック、東日本大震災など数々の世の中の激変に対する経験がそんな予感をさせていたのかもしれません。年始の幹部とのミーティングでも「このまま順調にいくとはかぎらない、何かが起きて経営環境が激変するような事も想定しておいた方がよい」と話していたのを覚えています。
実際年が明けて2月頃よりコロナの状況は日に日に悪化していき、新しい期が始まる3月頃には当時の主力事業であったイベントの見送りや延期が相次いで起きていました。外部役員のアドバイスや私自身の過去の経験もあり、最悪を想定して準備を始めた方がよいと早い段階から動き始めました。
主力事業であるイベントの売上は前期10億円ほどありましたが、これが基本的にはなくなる想定を立て、それでも会社が存続できるようにプランを立て直し日々修正しながら進めていったのを覚えています。ある意味で想定どおり、その期が終わると前期より8億円ほど売上が減少しており久しぶりの赤字決算となりました。ただ早期から対応していた事もあり、財務的にはそこまで大きな損失にならない形で着地する事ができました。当時スタートして3年目であったデジタルセールス系のサービスは、コロナで訪問の営業が出来なくなったこともあり、一時は商談が停滞しましたが後半には成長が加速する結果となりました。
年始というと明るい未来やよい年になる事を想像し祈願するのが当たり前という感じもありますが、一方では最悪の想定をしておくのも重要な事だと思います。そうする事で自分の期待値調整もできて、何かが起きた時にも慌てずに対応できるのだと思います。新年ですから、よい年になるよう期待をもってスタートしたいですが、経営者のリアリティとしては、悲観的な予測も立てておくことが重要な事だと感じています。とは言え、新年ですので皆さまにとってよい年になるようお祈りしています!今年もよろしくお願い致します!
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■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。